「出来るだけ高齢者が在宅生活を継続出来るように支援していく」という国の方針もあり、特養は要介護3以上でないと申し込みさえ出来なくなりました。
ショートステイも30日を超えての利用は基本的には出来なくなりました(ロングショートステイという謎の利用法もありますが)。
今後、団塊の世代の人達が後期高齢者になっていく2025年問題に向けて、益々「高齢者問題が深刻化」していくことが予想されます。
そのひとつの問題として「認知症ドライバー」の問題があります。
認知症ではないにしても、高齢者になっていけば心身機能も衰えていきますし、判断能力も鈍っていきます。
2019年4月19日に発生した「池袋での車の暴走事件」も高齢者が引き起こした事件でした。
今回は「日本には5.7万人もの認知症のおそれのあるドライバーが走っていることの恐ろしさ」について記事を書きたいと思います。
「不便なのだから高齢者から免許を取り上げるのはおかしい」「取り上げたいなら運転しなくても良いシステムが必要」という意見があるけど、高齢者関係なく認知、判断、身体能力が衰えてきている人から免許を取り上げるのは当然。個人の便利さだけのために他者の生命が犠牲になって良いわけがない。
— 介護職員A@介護福祉士ブロガー (@kaigosyokuinA) May 3, 2019
「認知症おそれ」ドライバー3万人→5.7万人
高齢運転者対策強化から半年、「認知症おそれ」判定が3万人
相次ぐ高齢ドライバーの事故に対し、今年3月、道交法が改正され、認知機能の検査が強化されましたが、施行からの半年間に、およそ3万人の高齢者ドライバーが認知症のおそれがあると判定されたことが、警察庁のまとめで分かりました。
警察庁によりますと、今年3月からのおよそ半年間で、全国で認知機能検査を受けた75歳以上の高齢ドライバーは111万人あまりで、このうち認知症のおそれがある第一分類と判定されたのは、3万170人にのぼったということです。そのうち697人が免許の取り消しや停止の行政処分となりました。
去年10月、横浜市で6歳の男の子が死亡した事故では、軽トラックを運転していた87歳の男性から遺族に謝罪の手紙が届きましたが、その文面は・・・
「本当にごめんなさい」「これからは運転しません」(加害者からの手紙)
「字も震えたりとか、抜けてる字があったりとか、この手紙を見たときに、やっぱり認知症なんだなって」(男の子を亡くした父親)
男の子の父親は、免許の取り消しなどは一歩前進だが、高齢者の生活の足を支える対策などもあわせて議論していく必要があるのではないかと話しています。
【引用元】TBS NEWS
※2017年11月2日に配信されたニュースです。
今から約1年半前にも、この度の「池袋暴走事件」と似たような事件の後日談が報道されていました。
やはりその状況は、今もあまり変わっていないことが窺い知れます。
また、昨年の報道では認知症のおそれのあるドライバーの人数が一気に「5.7万人」にまで増加しています。
改正道路交通法「認知症恐れ」のドライバーは5.7万人
75歳以上のドライバーの認知機能検査を強化した改正道路交通法が昨年3月に施行されてから今年3月末までの1年間に210万5477人が検査を受け、5万7099人が「認知症の恐れがある」と判定されたことが警察庁のまとめで7日、明らかになった。最終的に免許取り消し・停止処分を受けたのは1892人で、同法施行前の約3倍に上った。
【引用元】毎日新聞
今後、2025年に向けて、益々大きな社会問題となっていくことでしょう。
そして、年金や介護保険などの社会保障費や、直接的な介護が必要となってくることで、若者の負担はどんどん増加していきます。
それだけにとどまらず、こうした「高齢者ドライバー」の事件によって「直接的」「物理的」にも若者が倒れていく時代が到来するのです。
とても恐ろしいことです。
高齢者は運転をしたがる恐怖
在宅介護は寝たきりの高齢者が多いイメージがあるかもしれませんが、実際は機動力が高く「ワシはまだまだ若いもんには負けんぞー!」というような血気盛んな高齢者が多く存在します。
もちろん、要介護認定を受けていない高齢者の中にもそういう性分の高齢者が多いため、「家で生活をしている高齢者の多くは頑固で負けず嫌いな人が多い」と言えます。
運転をしたがる理由
そういう高齢者によくあるのですが、どんなに高齢になっても、いつまでも車の運転をしたがります。
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という理由が考えられますが、実はそういう高齢者が増えてきている現状があり、「とても危険な車社会」になっています。
また、田舎では高齢者が「軽トラック」に乗っていることが多く、その殆どが「マニュアルミッション(MT)」です。
MTは操作が難しく、高齢になればなるほど操作を誤りがちです。
私も、エンジンを空ぶかししながら走る軽トラックを何度も見たことがあります。
そのドライバーは必ずと言っていいほど「高齢者」です。
運転をさせることの危険性
家族がそういう状況を心配して「運転免許証を返納するよう」勧めても、耳を貸さないどころか怒り出す人も多いようです。
しかし、たとえ認知症ではなくても、身体能力や瞬発能力や判断能力は衰えてきてきているので、事故を起こすリスクは高いと言えるでしょう。
もしそんな高齢者に運転をさせて、自損事故で済めばまだマシで、人様に迷惑を掛けたり、これから将来がある若い命を危険に晒すことになってしまったら責任の取りようがありません。
運転をした本人だけの責任ではなく、運転を容認したり黙認している家族の責任も問われかねません。
高齢者ドライバーへの対応策
自主的に運転免許証を返納するような「他人を思いやれる高齢者は少ない」ので、まずは家族から返納を促す必要があります。
しかし、先ほど書いたように「拒否したり怒り出す」人が多いのが現状です。
制度としては、免許更新の際に75歳以上の人は「認知機能検査の受検」と「高齢者講習等の受講」が義務付けられています。
しかし、更新期間は一般の人と同じで、無違反やゴールド免許の場合は70歳以上の場合最大4年、それ以外は3年という設定のままです。
3年~4年もあれば、高齢者の状態は大きく変化します。
その期間内に大きな事故や事件が発生してしまう可能性がとても大きいのです。
ですから、高齢者の場合、更新期間を「半年~1年程度」に縮めることが必要だと考えます。
そんな短いスパンでの更新は大変でしょうが、人様の命がかかっているのですから「それが嫌なら返納」してもらえばいいのではないでしょうか。
「もみじマーク・高齢者マーク」を車に表示するのも「努力義務」となっており、貼っていなくても罰則もなければ違反でもありません。
これを義務化すれば、周りの人からも「高齢者ドライバー」の認識がしやすくなります。
介護施設での認知症ドライバー
介護施設に入所している高齢者で運転免許を返納していない人はほぼいないと思います(介護保険外の介護施設は別)。
介護施設に入所すれば車を運転する機会はないですし、そもそも体が不自由だったり認知症があるから入所しているのです。
しかし、中には「返納したことを覚えていない」「まだ免許証があると思い込んでいる」利用者もいます。
毎日何度も
「ポケットに入れていた免許証がない」
「免許証を盗られたから警察に電話してくれ」
という訴えをしてくるのです。
職員が
「家族さんが免許証を返納されたのでもう無いですよ」
という正確な情報を伝えても
「そんなことはない、さっきまであった」
という発言を何回も繰り返すのです。
最終的には、まだ返納していない体(てい)で
「また探しておきますね」
「見つかったらすぐに知らせますね」
と伝えることで落ち着いてもらうことになります。
介護施設ではこうして、職員が常に対応可能なので免許証を返納した高齢者が、実際に車を運転するという事態は避けられるのですが、在宅生活をされている高齢者が、「もしまだ免許証を返納していなくて(もしくは、返納していないと思い込んで)車を運転をされていたら…」と想像するとゾッとします。
恐らく、全国でもこういう高齢者が多いと推測します。
そして、今後益々こういった「認知症ドライバー」が増えていき、事故や事件が多発する時代を迎えるのではないでしょうか。
こういう場合の対応策として
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が必要となってきます。
一般市民として身を守る方法
とりあえず、認知症ドライバーから身を守る制度や対策がまだ不十分である以上、何かしらの自己防衛をしていかなければなりません。
認知症であれば、「責任能力なし」という判断で無罪放免になる可能性もあり得ます。
事故は一瞬の出来事で不可抗力となりますが、出来うる対策として
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という防衛策が必要となってきます。
すごく不自由な状況ですが、現に5.7万人の認知症のおそれのあるドライバーが街を走っている以上、そういったリスクマネジメントをしておかないと生死を分けることにもなりかねないのです。
最後に
今回は、「5.7万人もの認知症ドライバーが日本に存在する恐ろしさとその対応策と防衛策」について記事を書きました。
高齢者や社会的弱者を保護したり支援していくことは必要ですが、それによって若者に負担を掛けたり潰していくような制度や現状では日本に将来性を感じません。
我々が現状でできることは「自己防衛」しかありません。
高齢者ドライバーの被害に遭わないように、十分注意して街を歩きましょう。
そして、高齢者の方々は、今まで日本を支えて下さったり、社会に貢献されたり、名のある官僚であったりされるのでしょうが、「晩節を汚す」ことのないように「自分のため」にも「周りのため」にも「社会のため」にも、賢明な判断をされることを願っております。