介護職員の人材不足は深刻なため、どんな人材でも雇い入れているのが現状です。
ですから、価値観も十人十色で様々な性格や人間性の介護士がいます。
中には「クビになっても当然」というようなことをしていた介護士もいましたし見聞きしたこともあります。
しかし、そんな人でもクビ(懲戒免職)にはなっていません。
現在も同じ法人で働いている人もいれば、クビではなく依願退職や諭旨解雇という形で辞めていった人もいます。
つまり、世間一般の考える「異常さ」や「懲戒免職の基準」とはまた違った独特の考え方があるように感じています。
今回は、「介護職員はどんなことをしたらクビになるのか」ということについて記事を書きたいと思います。
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介護職員はどんなことをしたらクビになるのか
様々なケースをもとに「介護職員はどんなことをしたらクビになるのか」ということについて考えてみたいと思います。
※最終的な判断は事業所の人事権や任免権の裁量によります。
ケース①「介護技術や能力が伴わない」
介護職員として働き始めてある程度の月日が経っているのに、いつまで経っても介護技術や能力が伴わない人はクビになってしまうのでしょうか。
答えは「No」です。
そういう介護職員の存在は日常茶飯事で普通にあり得る話です。
それくらいではクビになることはまずないでしょう。
人員不足であるために、どんな人でも雇い続けるのが介護の世界です。
しかし、それによって「周りの職員の負担が増える」「人間関係がギスギスしてくる」「いじめやパワハラの温床となる」というような問題が出てきます。
そしてそんな問題が出てきても事業所は放置し続けるために介護現場はどんどん混沌としていきます。
ケース②「不倫」
本人たちは隠せていると思っているようで意外と周りは知っているのが職員同士の不倫や良くない関係です。
これくらいでは当然クビにはなりません。
上司が知っていれば「配置するユニットやフロアを別々にする」「同じ日に夜勤に組まないようにする」という対応を行っているくらいです。
職場でイチャイチャされたら周りの職員や利用者が迷惑します。
「迷惑を掛けないならご勝手にどうぞ」というスタンスでしょう。
ケース③「セクハラ」
男性介護職員が女性介護職員に対して日常的にセクハラを行っていたということもありました。
内容としては、2人っきりになった時に
- 卑猥なことを言う
- 胸やお尻を触る
- 抱きつく
などです。
女性介護職員が上司に相談して発覚したのですが、結果的にこの場合も男性職員はクビにはなりません。
それどころか、事業所は「触られて強く拒絶しなかった女性職員も悪い」「本人(男性職員)はスキンシップのつもりだった」「本人(男性職員)はとても反省している」というトンデモナイ結論で男性職員を守りました。
いくら人員不足とは言え、被害者を責め加害者を擁護するのが福祉だとすればおかしな世界です。
案の定、男性介護職員は辞めずに働き続けているのに対し、女性介護職員の方が辞めていくことになりました。
事業所がこのような裁定をするのですから、介護現場にはおかしな介護職員が多くなるのは必然と言えます。
ケース④「窃盗」
介護現場で普通にあるのが「お金が盗まれる」ということです。
完全に内部的な犯行です。
しかしこれは警察が介入しても証拠が無ければなかなか立件が難しいために、犯人が断定できることはあまりありません。
周りの職員が「あの人が犯人ではなかろうか」と薄々気づいている程度です。
事業所も警察沙汰や大ごとになるのは避けたいようで
「会社に大金は持ってこないように」
「ロッカーのカギをちゃんとかけるように」
「最終的には自己責任」
などと言って責任転嫁をしてきます。
犯人が確定し逮捕されたケースを経験したことがないので、会社内で泥棒をしてもクビになるのかならないのかはわかりませんが、さすがに警察に捕まるようなことになればクビになるのではないでしょうか。
いや、ひょっとしたら諭旨解雇止まりかもしれません。
要は、犯罪を起こしてもクビになるかはっきりとは言えないレベルであることがわかります。
ケース⑤「横領、着服」
誰もやりたがらない親睦会の役員、しかも会長を自らやりたがる介護職員がいました。
とても不思議に思っていたのですが、その本当の目的は「皆から集めた親睦会費を横領、着服すること」だったのです。
金額にして「200万円前後」です。
普通はここで警察へ通報するはずですが、事業所はその判断をせずに内部的に解決しようとしました。
隠蔽体質は健在です。
その結果、「本人は反省している」「分割で返金を約束した」ということになりクビではなく依願退職という形になりました。
セクハラ職員の時然り、犯罪者に甘いのが特徴的です。
つまり、このレベルでもクビにはならないのです。
ケース⑥「虐待」
さすがに利用者に虐待をすればクビになるかと思いきやそうでもありません。
虐待と言っても殴る蹴る馬乗りになる等の暴力的なものではなく、「ワンオペ夜勤で徘徊利用者が何度も転倒し成す術がない」という状況を事業所が把握しておきながら放置したために、介護職員が苦肉の策として行ったのが「一時的に利用者を拘束して動けなくする」という方法です。
そうでもしなければ、他の利用者の対応もできず夜勤が成立しないのです。
しかし、それが発覚した後(行政処分後)に事業所は虐待をしてしまった介護職員数人に対して
- 責任を介護職員になすりつけた
- 忠誠を誓うならクビにはしない
- 法人内の別事業所へ異動(配置転換)をさせた
ということをしました。
確かに実際にやってしまった介護職員は自責の念と罪悪感で正常な判断ができず、そこに付け込まれた形ですが、元はと言えば「事業所が介護職員のSOSを無視したから発生した虐待」です。
結果的に、事業所は介護職員に恩を売り忠誠を誓わせる形でクビにすることはありませんでした。
但し、暴力的だったり悪質で悪意のある虐待の場合はクビになる可能性は十分にあります。
ケース⑦「副業禁止違反」
介護事業所の多くは副業を禁止していますが、それに背いて事業所に内緒で副業をしていた介護職員がいました。
副業の内容は水商売です。
それを事業所に知られてしまったわけですが、これも最終的に
- 介護現場に支障が出ないような働き方をする
- 内緒にしていたことを真摯に反省する
- 事業所に忠誠を誓う
ということで何の問題もなく解決しました。
つまり、クビにはならず事業所公認で副業をできるようになったのです。
但し、「反省をさせられ、忠誠を誓わされた」というおまけ付きになります。
ケース⑧「業務中にパチンコ」
これは介護職員ではなく法人内の居宅介護支援センターの居宅ケアマネになりますが、業務中にパチンコをしていた職員が事業所に見つかったということもありました。
居宅ケアマネですから外回りの業務も多く「訪問行ってきます」と言って出掛けたあとに、利用者宅には行かずにパチンコをしたり、訪問を簡単に済ませてパチンコをしたりしていたようです。
この場合も結局、「本人は反省している」という理由でクビになることはありませんでした。
最後に
今回は、「介護職員はどんなことをしたらクビになるのか」ということについて記事を書きました。
結論として「クビになることはほぼ無い」ということになります。
但し、
- 犯罪として起訴される
- 新聞やメディアに大々的に報道される
- 反省せずに反抗的な態度を取り続ける
ということがあればクビ(懲戒免職)になる可能性もあり得ます。
簡単にはクビにならないことが良いことなのか悪いことなのかは立場や状況によって様々でしょうが、その結果、周りの職員や利用者が迷惑したり不満や不信感を持ったり人間関係が劣悪化してしまうようでは本末転倒ではないでしょうか。