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介護事業所で行われる腰痛健診の実情「検査項目や内容は?」

投稿日:2019年4月16日 更新日:

 

介護職員の職業病は「腰痛」です。

腰痛にならないように各自で予防したり対策をされているでしょうが、 既に腰痛になってしまっている人も 少なくないかと思います。

予防や対策をしていても腰痛になるリスクを避けられないほど、介護現場は身体(特に腰)に負担が掛かる仕事です。

そういう職業なので、厚生労働省が「腰痛予防指針」を改訂し、事業所は介護職員や腰に負担の掛かる仕事をしている労働者に年2回(6か月以内に1回)、定期的に「腰痛の健康診断」を実施することを努力義務としました(法的な義務ではない)。

今回は「その腰痛健診の実情と検査項目や内容」について記事を書きたいと思います。

 

 

 

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腰痛予防指針とは

 

事業所は定期の健康診断とは別に、「腰痛についての健康診断」を実施する努力義務があります。

近年、高齢者介護などの社会福祉施設における腰痛発生件数が大幅に増加していることを受け、このたび厚生労働省が「職場における腰痛予防対策指針」を改訂しました。

改定内容としては、適用対象を、従来の「重量物を取り扱う事業場」などから、福祉・医療分野等における介護・看護作業全般に広げるとともに、腰に負担の少ない介護介助法などを加えています。

改訂の詳しい内容は、下記厚生労働省のホームページをご覧ください。

厚生労働省「職場における腰痛予防の取組を!~19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」を改訂~」

 

【引用元】公益財団法人 ちば県民保健予防財団

 

 

 

腰痛健診の検査項目と実情

 

それでは具体的に腰痛健診の検査項目を見ていきたいと思います。

これはひとつのモデルケースですので、検事業所や個々の腰痛の状態によって検査項目が変わってきます。

また、検査名が正式名称と異なる可能性がありますし、検査の順番も前後してくる可能性もあります。

  1. 問診票の記入
  2. 受付
  3. 身長・体重測定
  4. 血圧測定
  5. 指先の温度測定
  6. 指先感覚検査
  7. 準備運動
  8. 前屈測定
  9. タッピング測定
  10. 握力測定
  11. 握力維持測定
  12. 胸筋・肩筋力測定
  13. 診察

その他、プラスα

 

①問診票の記入

受付をする前に、事前に問診票に必要事項を記入しておきます。

 

②受付

問診票を提出し、受付をします。

 

③身長・体重測定

普通に身長と体重を測定されます。

 

④血圧測定

普通に血圧測定をされます。

 

⑤指先の温度測定

専用の温度計で指先の温度を測定されます。

 

⑥指先感覚検査

シートのようなものを指先で触らされて「ツルツルしているか」「ザラザラしているか」を答える検査です。

 

⑦準備運動

ここから先は身体を使った検査になるので、体の筋肉や筋をほぐすために準備運動をします。

 

⑧前屈測定

測定台の上にあがり、膝を曲げないようにして前屈をします。

マイナス何センチ~プラス何センチを測定します。

つま先の位置が±0センチです。

 

⑨タッピング測定

中指だけを専用の機械の中に入れ、指を上下運動をさせることでセンサーが感知し、30秒間でどれだけの回数を上下運動(タッピング)できるか測定します。

 

⑩握力測定

握力測定器で両手の最大握力を測定します。

 

⑪握力維持測定

⑩で測定した最大握力の60%の握力値で、30秒間維持するように測定器を握り続けます。

 

⑫胸筋・肩筋力測定

握力測定器の「胸筋・肩筋力版のような測定器」で胸の前で測定器を内側に押したり引いたりして測定します。

 

⑬診察

最後に検査や測定の結果をみて、医師が診察をします。

個々の状態により簡易ベッドに寝かされて診察されます(状態が問題なさそうな人は肩や腰を押さえられて「痛くないですか?」と聞かれて終わりです)。

最後に全員に「腰痛予防エクササイズ」が掛かれたA4サイズのプリントを貰って、業務前のストレッチを推奨されます。

 

その他プラスα

実は上記以外にも体力測定さながらの検査がある場合もあります。

例えば

  • 上体反らし測定
  • 背筋力測定

などになります。

しかし上記2つの測定をした直後に「腰痛を訴える職員が多発」したために、この測定は検査項目から除外されている事業所が多いようです。

「腰痛健康診断を受診したことによって腰痛が発生したり悪化する」

という目も当てられないような摩訶不思議で本末転倒な健診では、実施する意味がないどころか「やらない方がマシ」ということになりかねません。

以上が「腰痛健康診断の項目と実情」になります。

 

 

 

健診の結果

 

結果は後日事業所に送られてくるので、その後に各自に配布されます。

問題が無ければそのままですし、問題があれば病院受診や検査を勧められます。

しかし、問題がある人は既に病院を受診していたり、精密検査を済ませて治療中の人も多くいます。

ですからそういう人にとっては「あなたの腰の状態は悪いですね」という現実を改めて知らされるだけのものに過ぎません。

ということは、腰痛健康診断の存在価値は

  • 腰痛がない人への注意喚起や予防ストレッチの推奨
  • 腰痛が酷いのに病院受診をしていない人の発見
  • 腰痛はないと思っていた人が結果内容から問題点を発見するキッカケ
  • 従業員の腰痛の有無を事業所が把握する役割
  • 結果内容によっては配置転換を検討する材料

になろうかと思います。

厚生労働省の指針が「腰痛予防」であることから、「これ以上、腰痛患者を発生させないこと」が目的だとすれば、本来は「現在、腰痛になっていない人」が対象なのかもしれません。

個人的にはあまり効果的な健診ではないように感じています。

可能であれば、厚労省は「腰痛健康診断を年2回実施したことによって腰痛発生率がどう変遷したのか」という統計を取って欲しいと思います。

 

 

 

最後に

 

今回は、介護施設などを対象とした「腰痛予防指針と腰痛健診の実情」について記事を書きました。

実際問題、健診を受けるだけで時間も取られますし、内容によっては筋肉が疲労したり筋に違和感を覚えてしまう項目もあります。

あくまで「事業所の努力義務」なのですから、腰痛健診を実施していないからと言って、法的な責任や処罰が下されるわけではありません。

しかし、実施していないまま従業員に腰痛が発生し労災などになれば、安全配慮義務や健康管理義務に反することになり法的な責任を負ってしまう可能性があります。

ですから、腰痛健診をしていないことを突かれないように「事業所は体裁として実施し、従業員も体裁として受診する」という「意味がよくわからない構図」が出来上がっているのも事実です。

「脊柱管狭窄症」だとか「椎間板ヘルニア」などの重度の腰痛を患っていて、病院等で治療をされている人は「受診しなくてもいい」と言われることもある健康診断です。

本当に従業員の腰痛が心配なら、「抱えない」「持ち上げない」「引きずらない」という方針の「ノーリフティングケア」を推奨していく方がよっぽど有益で腰痛予防にもなるのではないでしょうか。

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