私が介護派遣を始めて1か月後に50歳代の男性派遣介護職員が入ってきたことは過去記事でも少し触れました。
彼は、無資格ながら派遣介護職員として数々の介護施設等を転々としているという意味で「一応経験者」ということで入職してきましたが、結論から言えばタイトルにもあるように2か月で派遣切りになりました。
せっかく同じ派遣社員の仲間が入ってきたので、一緒に頑張っていきたかったのですが、介護現場や事業所の派遣介護職員への風当たりや対応はなかなかシビアなものであると実感しました。
これは、その50代派遣介護士の技術や能力が足りていなかったという理由も大きいのでしょうが、例え仕事ができようが技術や能力があろうが、どっちにしても「派遣社員はいつでも契約を切ることができる存在」という点で戦々恐々としたものを感じます。
今回は、同僚であった50代男性派遣介護職員が2か月で派遣契約を切られ更新してもらえなかった5つの理由についてご紹介します。
50代派遣介護職員が派遣切りされた5つの理由
「派遣切り」というのは、派遣契約期間満了後に契約の更新をしないということを指しますので、違法でもなんでもなく、全く以て契約上何の問題もない行為です。
ですから、多くの場合の派遣契約は2か月~3か月程度の短期間の更新制となっています。
つまり、年に4回~6回もお互いの意思を確認するターニングポイントがあり、その度に「契約を更新する、又は、更新しない」という意思表示をしなければなりません。
これは、すぐに他の派遣先に変わりたいと考えている派遣社員にとっては好都合なシステムですが、暫くは同じ派遣先で働きたいと考えている派遣社員であれば戦々恐々とする頻度が非常に高い状態と言えるでしょう。
何故ならば、何かのタイミングやイレギュラーな事態が発生し、事業所側から「今回の契約期間が満了したらもう来なくてもいいです」などと適法に(ごく当たり前に)契約終了を通告されてしまうリスクがあるからです。
自分は仕事もそこそこやっているし、職場の皆とも良好な人間関係が築けているし、職場もまだまだ人員不足だから派遣切りの対象になることはないだろうと高をくくっていても、立場の危うさは解消されません。
何故ならば、その高をくくっていた理由のどれかが解消されれば、たちまち自分も派遣切りの対象となる可能性が高い不安定な雇用形態に変わりはないからです。
では、職場に派遣されてきた50代の男性派遣介護職員は何故2か月という短期間で事業所側から派遣切りをされてしまったのでしょうか。
本人や同僚の職員や上司等から話を聞いた結果、以下の理由が考えられます。
- 周りのスタッフと良い人間関係が築けなかった
- 介護の基礎がわかっていないため即戦力にならない
- 教えても覚えが悪かった
- 派遣社員を教育する余裕がない
- そもそもダメな人であろうというレッテル
以下で詳しく説明していきます。
周りのスタッフと良い人間関係が築けなかった
派遣社員は給料の支払者が派遣先の事業所ではなく派遣元の派遣会社となりますので、あくまで「外部の人」です。
そういった意味で、必要以上に派遣先のスタッフと仲良くなる必要はないのですが、仕事は仕事なのですからある程度の人間関係の構築は大切です。
この「ある程度の人間関係」というさじ加減が難しい場合があり、0か100かの極端な人間関係となってしまうと派遣切りに遭ってしまう可能性が高くなります。
「不愛想であろうと、何を考えているのかわからないミステリアスな派遣介護職員であろうと、仕事さえちゃんとしてくれれば問題はない」と考える職場が大半でしょうが、これはつまり仕事だけは最低限しっかりこなしてくれる前提なのです。
仕事は半人前なのに、ぶっきらぼうだったり不愛想だったりよそよそしい態度の派遣介護職員を歓迎する職場はまずありません。
同僚だった50代派遣介護職員の男性は、そういった状況があったため派遣契約を更新してもらえなかったという理由があるようです。
介護の基礎がわかっていないため即戦力にならない
介護派遣には即戦力が求められる実情については過去記事でもご紹介しました。
とは言え、即戦力にならないであろう派遣介護職員であっても、1回契約をしてみて様子を見てから切るか切らないかを判断するということがあるようです。
つまり同僚の50代男性派遣介護職員は、契約期間2か月で雇われ、様子を見た結果「2か月で派遣切り」という判断になったようです。
要は、「能力不足のため派遣契約期間満了で終了」ということになります。
派遣介護職員に即戦力が求められている理由については、下記記事にまとめていますのでご参照下さい。
教えても覚えが悪かった
曲がりなりにも派遣介護職員として職場に入職してきたのですから、最初は誰かが仕事を教えてくれます。
しかし、教えても「覚えが悪い」とか「この派遣使えない」などと思われてしまうと派遣切りに遭いやすくなります。
「新人なのだから仕事がわからなくて当たり前」
「すぐに覚えられなくても根気強く教えていくのが上司のあるべき姿」
などという正論は通用しません。
何故なら、先述したように「派遣社員は外部の人」だからです。
派遣介護職員にとって、派遣先の上司も上司であって上司ではありません(派遣社員の雇い主は派遣会社になるため)。
直接雇用の新人であれば時間を掛けて根気強く教えていく必要がありますが、「外部の人なのに何故根気強く教えていかなければならないの?」という風潮があるのです。
つまり、お互いがお互いをすぐに切れる契約関係にあるので、少し教えてダメそうなら派遣切りという選択や扱いになりがちなのが介護派遣の実情です。
同僚だった50代派遣介護職員の男性も、少々覚えが悪いということがあり、派遣切りになってしまった理由のひとつであったようです。
派遣社員を教育する余裕がない
派遣社員が派遣される最大の理由は、派遣先が人員不足だからです。
つまり、人員不足であるが故にマトモな新人教育はないと思った方がいいでしょう。
せいぜい、上司や先輩などが横についてやり方をレクチャーしてくれるOJTのようなものがある程度です。
しかし、OJTをしながら業務をすると時間が掛かってしまうため、常に人員不足の事業所ではそれすらもできない状況が発生します。
となると、介護の基礎を知らない派遣介護職員にやってもらう業務がどんどん限られていき、「毎日見守り業務だけ」というような状況になってしまいます。
派遣介護職員を雇って肉体労働系介護を任せたかった事業所としては、その意図に反する状況になってしまうため、結局は派遣切りという選択をすることになるのです。
同僚だった50代派遣介護職員の男性も、毎日見守り業務を任せられていて、最後の最後まで見守りのまま見守られて去っていきました。
介護現場のヤバい新人研修については、下記記事にまとめていますのでチェックしてみて下さい。
そもそもダメな人であろうというレッテル
新たに派遣社員として入職してくる人がいた場合、事前に現場にもある程度の情報が伝えられます。
ある程度の情報とは、
- 年代
- 性別
- 介護経験
- 保有資格の有無
などです。
その際に、「無資格で色々な介護現場を転々としている50代の派遣社員」という事前情報であった場合、どう受け止められるでしょうか。
多くの場合が、
- 派遣切りされて転々としているのでは?
- 派遣切りに遭うような人は仕事ができない人なのでは?
などというネガティブな憶測がなされるのではないでしょうか。
ネガティブな憶測をすることは良くないことではありますが、良くないと言われようが実際問題そういったネガティブイメージが形成され、そしてそのイメージがやがて事前のレッテル貼りとなってしまいます。
つまり、恐ろしいことですが入職する前からマイナススタートになってしまうのです。
そして、入職してからも、少し教えただけで「あ、やっぱりね」などという「ダメな派遣介護職員」というレッテルが重ね貼りされ続け、やがて派遣切りをされてしまうという負の連鎖に陥ってしまうのです。
同僚だった50代派遣介護職員の男性は、レッテルにレッテルを貼られ、それを剥がすことができずに派遣切りをされてしまったと言っても過言ではありません。
ダメな介護職員の特徴とその解決方法について、下記記事にまとめていますので、またお時間があればご参照下さい。
さいごに
今回は、同僚であった50代派遣介護職員の男性が2か月で派遣切りをされて辞めていってしまった理由についてご紹介しました。
やはり派遣介護職員は即戦力が求められる傾向にありますが、仮に未経験であっても、良好な人間関係が築けて、教えられたことはすぐに覚えることができれば、望まぬ派遣切りは回避できる可能性があります。
ただ、根本的に派遣という契約上、期間満了で終了という可能性を0にすることは不可能なので、同じ職場で長く働き続けたい人は直接雇用で期間の定めのない契約で働かれることをおすすめします。
とは言え、介護派遣も下記のメリットがありますので、
- 履歴書不要ですぐに働きたい
- 派遣会社の前払い制度を利用して今日明日の生活費を稼ぎたい
- 副業として生活費の足しにしたり欲しい物を買いたい
という人には全然ありだと思います。
コメント
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OUT 20
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>zihisyuppannさん
こんにちは~、応援いつもありがとうございます^^
外国人労働省がなぜ重宝されるか…八年近くいた社会福祉法人の理事長が言ってたセリフに全てがつまってると思います。
『外国人は給料安くても文句いわず真面目に働くから日本人雇うよりまし。』結局カネかい!って思いました。
だいぶ話ずれましたが自分もアラフィフで転職考えてる身です。転職したらブログの記事を心に秘め新しい環境うまくやって活きたいです。謙虚に学ぶ姿勢が大切と思いますから。
>かずさん
こんにちは~、お返事が遅くなり申し訳ないです><
その理事長の言う通りの実情がありますね。
経験と資格があればアラフィフでも転職先は見つかるでしょうし、あとはできるだけマシな会社を見つけたいところですね。
外国人労働者についてはAさんも取り上げるだろうと思っていました、
雇用形態や賃金とかの事も含まれますよね。Aさんの記事を見てまたコメントしたいと思います。
しかし、わかってない経営者から見たら介護職員は日本人だろうが外国人だろうが駒としか見てないんですよね…
>かずさん
こんにちは~、返信ありがとうございます^^
外国人労働者は真面目で一生懸命働いてくれる人が多い印象ですが、実情としては日本人の非正規労働者の雇用機会を食ってきていますね。
これは誰が悪いわけでもなく、国の方針や制度が悪いのですが、経営者もその尻馬に乗って労働者を駒扱いしやすい状況ができてきていますね。
確かに募集してもこないしヤバいからウチの職場派遣社員入れまくってる時ありましたね。そのため色々な人が来ましたが、今は受け入れてません。なんでかと言うと今年の4月からミャンマーから技能実習生二人受け入れてます。理事長が派遣は金がかかるからって。でもアパート代や携帯代、通勤のための自転車代施設持ちなんですよね…
満床でなく待機者ゼロで母体の病院含め法人全体で経営難なのに、そっちのほうが金かかるのに…他にもムダ金使って夏はボーナスカットです。救いは受け入れたミャンマー人が真面目に働いてくれてる事です。しかし、Aさんの言うとおりヤバいです、冬はボーナス出ない、給料銀行から借りてるって話もあります。冬のボーナスホントに出なかったら大量退職者でそうです。そうなったらさっさと辞めます。
>かずさん
こんばんは~、コメントありがとうございます^^
かずさんの仰ってることは、かなり肝の部分で、核心なんですよね。
そうなんです、日本人の派遣社員より、直接雇用の外国人介護士の方が優位的地位にあるのが日本の現状です。
実は、今後の記事で書こうと思っていました。
それにしてもボーナスカットはヤバすぎますね><
ウチでもそんな派遣社員いましたね。60後半ですが、4以外の理由全て当てはまってました。年下の女性職員が指導に入って教えても薄笑いして覚えようとしない、便の利用者を清拭して逆に回りを便まみれにしてもそのまま…で便のついたエプロンのままで他の仕事しようとしていて(注意したらわかってますよとニヤニヤしながら言われたのでさすがになキレました。)…そのほか色々…で2ヶ月で切られました。
>かずさん
こんばんは~、コメントありがとうございます^^
かなりヤバい派遣さんですね><
そもそも、世間には「派遣はヤバい」というレッテルがあるようにも感じますが、まぁ、「派遣を雇わなければならない事業所もヤバい」と個人的には思っています。
それにしても、ヤバい派遣さんは確かにいますよね。