【捨て駒】派遣介護職員に求められるのは即戦力と肉体労働系介護

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派遣介護職員として私が派遣された先は「従来型多床棟の特養」です。

1フロアに50名超えの利用者が生活をしています(ショートステイも混在)。

特養ですから、利用者の多くは要介護3以上で日常生活の殆どに介助が必要な状態です。

そして、派遣を雇っているくらいですから派遣先は常に人員不足の事業所になります。

人員不足ですから業務量が多くなったり負担が大きくなるのは必然ですが、ここで肝に銘じておかなければならないことは、人員不足でなければ(人員が充足していれば)派遣介護職員は不要」という事実です。

つまり、「派遣介護職員は人員不足の事業所にしか派遣されない」ということであり、派遣先での業務量や負担は常に大きいと思っておいて間違いはないでしょう。

もっと言えば、派遣先の人員が充足すると派遣切り(任期満了で契約終了)になる可能性が高くなるため、同じ派遣先で働き続けたいと思っている場合は人員が充足しないように祈りながら働く」という不健全な状態となってしまうのが介護派遣の実情です。

そういった意味で「派遣介護職員は捨て駒」であると言えるわけですが、実際の業務も即戦力が求められ、肉体労働系の介護が主となります。

以下で詳しくご紹介していきます。

即戦力の派遣介護職員は重宝される

派遣介護職員に介護業務の経験があったり、介護福祉士の有資格者である場合は事業所や職場のスタッフに大変重宝される存在となります。

何故なら、すぐにでも利用者への身体介護(食事介助・排泄介助・入浴介助・移乗介助等)を任せられるからです。

もちろん、利用者の状態や派遣先の職場の決め事などは事前に知っておく必要がありますが、とりあえず基本的な介助ができる存在となるため、人員不足の事業所にとってはありがたい存在となります。

派遣介護職員自身も、周りの職員に重宝され、ありがたがられるわけですから悪い気はしません。

すぐに皆に受け入れられることでしょう。

業務は毎日肉体労働系介護

即戦力となる派遣介護職員は、周りの職員ともすぐに打ち解けることができ、働きやすい環境を自ら呼び寄せることができます。

しかし、即戦力の派遣介護職員が任せられる仕事は毎日朝から晩まで肉体労働系介護となることが多く、段々と体が悲鳴をあげていきます。

肉体介護系介護とは、主に「排泄介助(トイレ誘導とオムツ交換)」と「入浴介助」を指します。

これらの介助は、一定以上の介護技術が必要な上に体力を消耗し、腰にも負担が掛かる業務になります。

私が派遣された職場では、1日の業務の担当が決まっていて、ホワイトボードに「Aさんはトイレ誘導」「Bさんはオムツ交換」「Cさんは入浴介助」「Dさんはフロアで見守りと配茶」「Aさんの休憩は12時20分~13時20分」などとスケジュール化されていました。

私は派遣初日の午後からトイレ誘導を教えられ、3日目から入浴介助を教えられ、5日目からオムツ交換を教えられ、その後は「トイレ誘導」と「オムツ交換」と「入浴介助」ばかり任せられる日々となりました。

もちろん、それらも大切な業務ですし派遣介護職員なのですから肉体労働系介護ばかりすることになるのは仕方がないことだと頭ではわかっていても、「なんせキツい」のです。

肉体労働系介護①:トイレ誘導

トイレ誘導は、定時になると利用者がトイレに10人前後並び、トイレ待ちの人数が減ってくるとまたトイレ待ちの利用者が並び、正に流れ作業状態

ちなみに、平常時は職員2人~3人で対応しますが、人員不足であるため1人~2人でトイレ誘導を行っていました。

約2時間ほど掛けてトイレ誘導を一通りこなしパッドなどの物品を補充していると、2時間前にトイレに行った利用者が「またトイレに行きたい」と訴えトイレへ誘導します。

するとまたどんどん「私もトイレに行きたい」という利用者が並び始め、トイレ誘導の2ラウンド目が始まり、終わりの見えないエンドレストイレ誘導となるのが多床棟特養の実情です。

肉体労働系介護②:オムツ交換

オムツ交換は、平常時は職員2人で行いますが、人員不足であるため主に1人で行い、2人対応が必要な時だけ手の空いている他職員を探して一緒に行うという状態でした。

約20人前後の利用者がオムツ対応でしたので、1人のオムツ交換を3分で終えれば、

3分×20人=60分

となり、1時間ほどで終えることができますが、なかなかそうスムーズにはいきません。

何故なら、

  • フロアに起きて座っている利用者を居室へ誘導して臥床させてからオムツ交換をする(寝たきりの利用者を除く)
  • 介護拒否(掴みかかってくる・引っ掻いてくる・オムツを交換させないように抵抗する等)の利用者が数名いる
  • 衣服やシーツ類まで尿便汚染をしているため更衣介助とシーツ交換が必要
  • 尿も便も出ていないのに「(尿又は便が)出ました」と何度もナースコールで呼ぶ利用者がいる

という状況が往々にしてあるからです。

ですから、オムツ交換を一通り終えるのに2時間半前後は掛かっていたので、

150分÷20人=7.5分

という計算になり、1人平均7.5分ということになりますね。

オムツ交換はトイレ誘導や入浴介助に比べると体力の消耗は大きくはありませんが、一番腰に負担が掛かる業務だと個人的には感じています。

肉体労働系介護③:入浴介助

入浴は、座位式リフト浴と臥床式リフト浴(俗に言う特浴)がありますが、ここでは座位式リフト浴についてご紹介します。

ちなみに、派遣先の多床棟特養では「個浴(一般浴)」はありませんでした。

平常時は4人の職員で20人弱の利用者の入浴介助をしますが、人員不足であるため職員2人~3人で対応をしていました。

平常時であれば1人の職員当たり約5人の利用者の入浴介助ですが、職員2人~3人で対応した場合は職員1人当たり約10人~6.5人の利用者を入浴させなければならず、3時間経っても4時間経っても入浴介助が終わらないという事態が発生してしまいます。

ですから、「トイレ誘導」や「オムツ交換」を担当している職員が、自分の業務が早く終われば入浴介助を手伝いに行く、というフォロー体制で何とか入浴介助を終わらせているのが実情です。

とは言え、トイレ誘導もオムツ交換もそう早く終わるものではなく、また、自分の担当業務以外に更に入浴介助を上乗せされる身体的心理的負担は大きいものであるため、「担当業務が早く終わっても地獄、全然終わらなくても地獄」という四面楚歌状態になってしまいます。

入浴介助が一番体力的にキツいのですが、その理由としては、

  • 衣服の着脱介助が必要
  • 車イス、シャワーチェア、リフトへの移乗介助が必要
  • 洗身・洗髪の介助が必要
  • 浴室内は滑りやすくなっているので利用者が滑らないような配慮と介助が必要
  • ヒートショックを起こさないように室温は冬は暖房、夏の冷房は高めの設定なので職員には暑い

という点があげられます。

また、人員不足であるため多床棟特養でありながら外介助・内介助に分けられておらず、1人の職員が外介助も内介助も行う「あたかも個別ケア」のような状態ですから、利用者にとってそれがいいのかは別として、職員の負担は大きいと言えます。

個別ケア(ユニットケア)については下記記事にまとめていますので、お時間があればご参照下さい。

見守りや口腔ケアの担当は殆ど回ってこない

ここまで申し上げてきましたように、派遣介護職員には肉体労働系介護ばかり割り当てられて、見守りや口腔ケアや配茶などの業務は殆ど回ってきません。

厳密には、「即戦力の派遣介護職員には殆ど回ってこない」ということになるのですが、つまり、「無資格未経験の派遣介護職員は見守りからスタート」ということはあるようです。

現に、私が派遣されてきた1か月後に派遣されてきた50代の男性派遣介護職員は見守りからスタートでした。

無資格ではあるものの、他の介護施設等で介護経験はあるとのことで派遣されてきましたが、介護派遣をしていて期間満了で契約終了となり(要は派遣切り)色々な事業所を転々としているようです。

それを「介護の経験」と言えるかどうかは首をかしげたくなりますが、まぁ経験と言えば経験で間違ってはいません。

毎日、肉体労働系介護をしている私としては、滝のような汗をかきながらヒイヒイ言っている横で落ち着かない利用者と一緒に廊下を散歩している見守り担当の姿を見ると、ある種の羨ましささえ感じてしまいますが、恐らく私より低い時給で派遣されているでしょうから、「そう考えれば仕方がないのかなぁ」と思う次第です。

同じ「派遣社員」ですから、陰ながら応援しています。

担当が偏りすぎると他の業務がわからない

さて、そんな肉体労働系派遣介護職員の私にも月に1~2度ほど見守り担当が回ってくるのですが、毎日肉体労働系介護ばかりやっていると見守り担当がするべき業務がわからない(教えられていない)という困った状況に陥ります。

見守り担当がする業務は、利用者の見守りだけでなく

  • お茶作りと配茶(とろみの要・不要やとろみ剤の量を間違えないように)
  • 口腔ケア(利用者ごとのケア用品で利用者ごとのケア方法で行う)
  • ナースコールの対応(ピッチに部屋番号が表示される、センサーコールの可能性もある)

などもあり、派遣先において殆ど見守り業務をしたことがない私としてはいちいち確認しながらやっていかなければならないので、これはこれで大変です。

「ここにケア方法の一覧表が貼ってありますから」などと紙1枚に介助方法と利用者の運命が託されますが、せめて3日間くらい連続で見守りを担当させてもらわないとスムーズなケアはできません。

そんな状態ですので、派遣先の介護主任に「見守り業務を覚えたいので暫く見守り担当にして欲しい」と訴えましたが、どこかの介護事業所の上司が言いそうな「うんうん、そのうちね~」などという頼りない返事しか返ってきませんでした。

あれから早数か月、その訴えは無かったことのような日々が続いています。

【見守り業務の闇】縄張りがあった!

慣れない見守り業務をするとうろたえてしまいますが、いつも見守りを担当している中年女性職員が私にこう言いました。

「ね?見守りも多変でしょ?」

その時は、当たり障りなく「そうですね」という返答をしましたが、見守りも大変であることはわかっている上で、それでも身体は楽だと思うわけです。

要は、見守り担当をさせてもらえないから見守り担当者がしなければならない業務に不慣れなだけであり、暫く担当させてもらえればテキパキできるはずです。

しかし、その職員は

「そうだよね~、私くらい慣れていないと難しいと思うよ。トイレ誘導してる方が楽でしょ?」

などと続けて言いました。

なるほど、見守り業務がこの職員に偏っているのは、「見守り業務はこの職員の縄張りであり、自分以外の人が見守り業務をできるようになっては困るのであまり教えたくない」という実情があるのだと悟りました。

どおりであまり仕事を教えてくれず、「一覧表を見ろ」しか言わなかったわけです。

皆が全ての仕事をオールマイティにできるようになった方が職場にとっても利用者にとっても得策だと思うのですが、

  • 良く言えば適材適所も必要
  • 悪く言えば縄張り意識がある
  • 派遣介護職員には肉体労働系介護をしてもらいたい

という実情があるため、あまり出過ぎた真似をすると派遣先の生態系を崩してしまうことになるのです。

とは言え、自分の身体や利益も守っていかなければなりませんので、「介護派遣はそういうもの(捨て駒)」と割り切って働くか、新たな派遣先を探すかになろうかと思いますが、どの介護事業所も似たり寄ったりの実情である可能性が否定できないので、割り切って働く方が賢明なのかもしれません。

見守りの大変さについては下記記事にまとめていますので、併せてご参照下さい。

さいごに

今回は、実際に私が派遣介護職員として働いてみて感じた「派遣介護職員に求められるのは即戦力と捨て駒のように肉体労働系介護をしてくれる人であるという実情」についてご紹介しました。

もちろん、違う介護事業所に派遣先を変えれば違う実情があるのかもしれませんが、今回書いた内容は大なり小なり当たっているのではないでしょうか。

そもそも、派遣社員という時点で介護福祉士の資格者であろうと即戦力であろうと切られる(任期満了で派遣契約終了)可能性は0ではありません。

「切られても次の派遣先はすぐに見つかる」と高をくくっている人もいるかもしれませんが、またスーツを着て職場見学という名の面接に行き、採用されてもまた人間関係も1からスタート、利用者の名前も顔も覚え直し、という状態が繰り返されることは大きな負担となります。

「そんな状態なら正職員になる方がマシなのではないか」と思われるかもしれませんが、介護派遣にも多少はメリットがありますので、その詳細については下記記事をご参照下さい。

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コメント

  1. かず より:

    二人とも今のところ辞める考えはないみたいです。今月から夜勤も入りますし、生活があるからと言っていましたね。実務者研修キャンセルした人は個人的に色々な事情があるみたいでキャンセルしたみたいです。色々思うところもあるみたいですが頑張ってくれています。自分が今の職場にいるうちは協力してやっていこうと思っています。しかし先がどうなるかわからない業界ですからどうなるやらって感じですね。

    • アバター画像 介護職員A より:

      >かずさん

      こんにちは~、お返事遅くなりすいません><

      そうなのですね、一応頑張っておられるのですね。
      まぁ先のことは誰にもわかりませんが、ヤバい会社からは逃げ出したくなるのは当然ですよね。

  2. かず より:

    派遣から正社員になったのはいいのですが
    二人とも先行き不安は感じていて生活の為になんとか働いている感じです。ミャンマー人の実習生と一緒に率先してやってくれてますが…僕に職場の特殊性に対しての違和感を話してきました…。特に一人は実務者研修キャンセルしましたから…。

    • アバター画像 介護職員A より:

      >かずさん

      こんにちは~、返信ありがとうございます^^

      今まで他業種で働いていて、初めて介護現場で働くと言い知れぬ違和感を抱くことがありますよね。
      私もそうでした。
      逆に違和感に慣れてしまう方がヤバいのかもしれません。
      違和感を抱きながら働くことはつらいことですが、そういう人の存在が違和感を解消できる可能性を秘めていたりしますよね。
      実務者研修キャンセルはもったいないですね、もう辞めるつもりなのでしょうか><

  3. かず より:

    去年の9月と10月に男性の派遣社員を二人いれました。今は正社員で働いてくれてます。二人とも未経験で入ったのですがウチの職場が三大介護をひたすらやるだけというのと、仕事に対して積極的なのと、介護以外で何種類か仕事経験していてコミニュケーション力が高いのが幸いして慣れるのも早くてバリバリやってます。人間性も悪くないです。ふたりに他の所も受けたんですかって聞いたら受けたんですが未経験は取りませんと断られたと言ってました。その特養も仕事はけっこう大変な所だから経験者が欲しいからと言われたそうです。

    • アバター画像 介護職員A より:

      >かずさん

      こんばんは~、コメントありがとうございます^^

      派遣から正社員はいい流れですね。
      正社員が絶対的に良いというわけではないですが、その人に合った働き方を全うできることが最善ですよね。
      Win-Winの関係ならば一番いいでしょうね^^