人手不足が常態化している介護現場では、派遣の介護職員を受け入れている介護事業所も多くなってきているようです。
派遣社員として介護現場で働くことにはメリットとデメリットの両方あるわけですが、それは直接雇用であってもメリットとデメリットがあるわけで、要は「どちらの働き方の方が自分にとってメリットが大きくデメリットが小さいか」ということが重要です。
今回は、介護派遣のメリットとデメリットを踏まえて、派遣介護職員としての働き方が向いている人についてご紹介していきます。
派遣介護職員としての働き方が向いているのはこんな人!
介護派遣という働き方にはメリットとデメリットがあります。
派遣社員として働く方が自分にとってメリットが大きい場合は迷うことはありませんが、少なからずデメリットもありますので自分の状況に置き換えてご検討下さいね。
派遣介護職員としての働き方が向いている人は以下になります。
- 即戦力として働ける
- いつ派遣切りをされても問題ない
- 辞めたくなったらすぐ辞めたい
- 多少の冷遇も我慢ができる
- 掛け持ちで働きたい
- とりあえず短期的に稼ぎたい
- パート職員よりも高時給で働きたい
- 職場の人に必要以上の人間関係を求めていない
- 責任の大きい業務を避けたい
- 出世したくない
- 履歴書や面接なしですぐに働きたい
- 日払いで即金が欲しい
1.即戦力として働ける
介護初心者を育成して最終的に直接雇用に繋げる紹介予定型の派遣や新人育成を目的としたプロジェクト等は別として、多くの場合、派遣介護職員に求められているのは「即戦力」です。
中にはそれら以外で「初心者歓迎」の介護派遣もありますが、初心者歓迎の介護派遣を噛み砕いて言うと、
「覚えが凄く良くてドンドン成長してくれる派遣の初心者さんなら歓迎するけど、そうじゃなかったらすぐに切るよ~」
ということになります。
つまり、平均点以上の成長や働きをしなければ、すぐに派遣切りに遭ってしまうリスクがあるため、やはり求められているのは「即戦力」ということになるのです。
ひどい話のように聞こえるかもしれませんが、派遣先の介護事業所も高い派遣料金を支払っているのですから、それに見合っていないと判断すればそういう結果になってしまうのも仕方がありません。
そもそも、派遣はそういうシステムの働き方なので何の問題もないのです。
ですから、ある程度の介護現場での経験があって介護知識や介護技術を持っている即戦力の人には向いていますが、そうではない人にはデメリットが大きいと言えます。
介護未経験者や即戦力となる自信がない人は、派遣ではなく期間の定めのない直接雇用を選択された方がメリットが大きいでしょう。
2.いつ派遣切りをされても問題ない
多くの場合、派遣期間は2~3か月の更新制になっています。
期間満了に際してお互いが望めば、更に2~3か月期間が更新されるシステムです。
しかし、どちらかが更新を望まなかった場合は「そこで勤務終了」となります。
自分が契約更新を望まない場合はいいですが、自分は更新したいと思っていたのに派遣先から断られてしまう可能性があるのはデメリットになります。
これは、仮に派遣介護職員が即戦力となっている場合でも起こり得ることです(介護業界は慢性的な人手不足なので派遣切りの可能性は高くないにしてもゼロではない点に注意)。
例えば、
- 直接雇用の職員が増えてきたので派遣介護職員が不要になった
- 仕事ぶりはいいのだけど他のスタッフとの折り合いが悪いため派遣切りをする
- 人件費をカットするためにまずは派遣から切る
などという状況は普通にあり得るからです。
ですから、仮に派遣切りに遭ったとしても、
- 別に他に収入が確保できるから問題ない
- すぐに他の働き口を見つけることができるから問題ない
- 扶養内で働いているので生活維持がに大きな支障がないから問題ない
という人にはメリットが大きいため派遣介護職員が向いているでしょう。
3.辞めたくなったらすぐ辞めたい
前述したように、派遣契約は概ね2~3か月と短期間になるため、辞めたいと思ったら契約期間満了で簡単に辞めることができるのは大きなメリットです。
もちろん、契約期間がまだ残っている場合や、契約更新をすると言っておきながら直前になって「やっぱりや~めた」というのは問題がありますが、比較的短いスパンで継続するか辞めるかを選択できるので、無期限の直接雇用の場合と比べてかなり辞めやすいと言えるでしょう。
期間の定めのない直接雇用の場合は、辞意を伝えても引き止められたり、保留にされて一向に退職できないということがあったりします。
また、ある程度長らく働いていたら、辞める時に各ユニットやフロアや部署に挨拶回りに行くわずらわしさもあります。
ですから、「辞めたい!」と思った時に何のわずらわしさも労力もなく退職したいと思っている人には派遣介護職員が向いています。
4.多少の冷遇も我慢ができる
誰しも冷遇をされるのは気持ちの良いものではありませんが、派遣社員であるが故に一見合理的に見える「格差や冷遇、デメリット」は存在します。
例えば、
- 職員の昼食の給食代が直接雇用の人より高い
- 出勤するたびに入浴介助等の体力的にキツい業務ばかりやらされる
- 洗い替えの制服を支給して貰えない
などです。
介護施設などでは、職員の昼食として利用者と同じメニューの給食がある程度安価で食べることができる事業所も多くあります。
この給食代の設定が、直接雇用の職員は1食200円、派遣社員は1食300円というような格差があったりします。
1食200円であれば20日間食べても4000円ですが、1食300円になると20日間食べると6000円になり、誤差とは言えない値段になってきます。
「社員割引なのだから派遣社員には適用されなくて当たり前」
「そもそも1食300円でも十分安いではないか」
「イヤなら食べなければいい」
という一見合理的な理由ではありますが、派遣介護職員にしてみれば何とも言えない複雑な気持ちになってしまう人もいるのではないでしょうか。
また、出勤するたびに入浴介助やトイレ誘導などの体力的にキツい仕事ばかりを割り当てられたりすることもあります。
その間、他の職員は見守りやレクや書類仕事等をしていて、体力的なしんどさだけで見れば明らかに冷遇されています。
しかし、仕事は仕事なので割り当てられた業務をこなしていくしかありません。
何故なら、派遣介護職員に体力的にツラい業務をして貰っている間に、正職員は溜まった書類仕事やパソコン入力等をするという「合理的な段取り」と見ることもできるからです。
制服の支給も1着のみで、洗い替えの制服が支給されなかったりもします。
「週2~3日の出勤だから問題ないでしょ」
「派遣さんだから」
というよくわかるようなわからないような理由ですが、汗が噴き出るような体力的にキツい業務を任せられた上に制服の洗い替えがないのは、連続出勤の日は帰宅後の洗濯が忙しくなりますし生地も傷みやすくなり冷遇されていると感じてしまいますね。
とは言え、一見合理的な理由があったり、制服に関してはある程度契約を更新をしていればそのうち洗い替えを支給して貰えたりもするでしょうから、この程度の冷遇や格差を我慢できたり、割り切って働ける人は派遣介護職員に向いていると言えます。
5.掛け持ちで働きたい
2か所以上の職場を掛け持ちで働きたい人には派遣介護職員が向いています。
何故なら、直接雇用の場合は掛け持ち労働や副業(複業)などをする際のハードルが上がってしまうからです。
多くの介護事業所では、掛け持ちや副業を禁止する就業規則があったり、禁止はしていないが許可制にしていることが往々にしてあります。
その点、派遣社員であれば掛け持ち労働や副業をするハードルがかなり下がるため大きなメリットと言えるでしょう(派遣元の就業規則によるので要確認)。
掛け持ちや副業で収入をアップさせたい人は派遣介護職員がおすすめです。
6.とりあえず短期的に稼ぎたい
何らかの理由で、短期的に稼ぎたいのであれば派遣介護職員に向いています。
例えば、
- 数か月後には正社員の仕事が決まっているがそれまでの間稼ぎたい
- 出費がかさんでしまい一時的に稼ぎたい
- 社会情勢や業績により本業の仕事や収入が減った
などの場合です。
派遣契約は有期の短期契約ですし、ある程度の時給も貰えますし、介護現場は社会情勢や業績にあまり左右されないため「とりあえず短期的に稼ぎたい!」という人は派遣介護職員に向いています。
7.パート職員よりも高時給で働きたい
一般的に派遣介護職員は直接雇用のパート職員より高時給になります。
地域や経験や資格にもよりますが、仮にパート職員が時給1000円前後で働いていたとして、派遣介護職員であれば時給1200円~1500円は貰えるでしょう。
高時給は大きなメリットになりますが、デメリットもあるので慎重に検討する必要があります。
デメリットとしては、
- 派遣介護職員は有期契約なので派遣切りに遭う可能性がある
- 年収で考えると正職員の収入には敵わない
という点です。
直接雇用のパート職員の殆どは無期契約ですから、労働者が辞意を申し出るか懲戒免職に値するようなことがない限り会社側から辞めるように言われることはないのに対して、派遣介護職員は契約期間が満了した際にいつでも切ることが可能な不安定な立場にあります。
また、年収で考えた場合、ボーナスのある正職員に収入では敵いません。
もちろん、働く日数を増やしたり夜勤の掛け持ちをする等の場合は別として、時給1500円で1日8時間労働を月21日間働いた場合の月収は25万2000円です。
これを単純に12か月で掛けると、年収302万4000円になります。
介護福祉士の平均年収は360万円と言われていますから、普通に派遣で働いているだけでは正職員の年収には追いつけないのです。
ですから、派遣介護職員が年収を増やすためには夜勤を増やしたり出勤日数を増やしたり掛け持ちをしていく必要があるのですが、「そんなに苦労をするなら最初から正職員になればいいのでは?」という単純明快、且つ、本末転倒な答えも見え隠れします。
このようなデメリットを踏まえつつ、それでもパート職員よりは高時給であるため、働き方によればメリットがあると感じる人は派遣介護職員に向いている人でしょう。
8.職場の人に必要以上の人間関係を求めていない
職場の人との間に必要以上の人間関係を求めていない人は派遣介護職員が向いています。
派遣介護職員は直接雇用の職員とは雇い主が違いますし、時間から時間の勤務をビジネスライクにこなすことができるのです。
社会情勢を抜きにしても、余程のことがない限り「新しい派遣さんが入ったから歓迎会を開こう」などという職場はまず無いでしょう。
逆に深く人間関係を構築しにくいというデメリットもありますが、職場の人と必要以上に親密になる必要性は感じませんし、介護職員の退職理由の上位に人間関係が鎮座していることを考えれば、派遣介護職員として割り切って働く方が得策なのかもしれませんね。
9.責任の大きい業務を避けたい
責任の大きい業務と言っても、食事・排泄・入浴の三大介護を始めとして、どの業務も責任は大きいと言えます。
では、派遣介護職員であればどの業務を避けられるのかと言えば、
- モニタリング
- 各種委員会への参加
- カンファレンスやケース会議への参加
- 利用者の家族への連絡や対応
などになります。
3か月に1回やらなければならない利用者のモニタリング、定期的に行われる感染症対策委員会やリスクマネジメント委員会等の参加や各専門職や家族などを交えたカンファレンスやケース会議への参加、何かあった際の家族連絡やその対応などは介護職員にとって大きな業務負担になります。
この点、派遣介護職員は直接雇用ではないので、多くの場合はこれらの責任の大きい業務から外されるため「やらなくていい」「参加しなくていい」のは大きなメリットです。
その代わり、体力の消耗が激しい肉体労働系介護が多く回ってくるというデメリットもありますが、モニタリングや会議への参加や家族対応を避けたいと思っている人は派遣介護職員に向いています。
10.出世したくない
当たり前ですが、派遣介護職員は派遣先で介護リーダーや介護主任になったりする可能性はありませんので出世したくない人には向いています。
介護業界以外の人から見れば「働いていて出世したくない人がいるのか」と信じられないかもしれませんが、介護現場では「出世したくないのに勝手に役職をつけられる」ということが往々にしてあり得る世界になります。
何故出世したくないのかと言うと、大した手当もつかないのに責任だけが重くなる「名ばかりリーダーや主任」を数多く輩出する業界だからです。
そして、こういう中途半端に出世した中間管理職から次々と退職していくことも珍しくありません。
ですから、出世したくない人は派遣介護職員が向いています。
11.履歴書や面接なしですぐに働きたい
多くの派遣会社では「履歴書不要」「面接なし」というシステムになっているため、煩雑な作業や労力なしで派遣登録して働き始められます。
もちろん、派遣先を探すということからスタートになるので、今日登録して今日や明日から働くというのは難しいでしょうが、スムーズに行けば3日以内で仕事をスタートさせることも可能です。
派遣先さえ見つかれば、履歴書も面接も不要なので仕事開始のハードルが低くとっかかりやすいと言えます。
ただ、全く履歴書も面接もないかと言うとそうではなくて、前職や介護経験や所有資格などを入力する「エントリーシート」が履歴書の代わりになります。
エントリーシートはパソコンやモバイル携帯等で入力することができますので、履歴書を手書きする面倒くささと比べると比較的楽ちんで、写真も不要なので手間もお金も掛からないのがメリットです。
また、派遣先による面接はありませんが、お互いの顔合わせを兼ねた事業所の「見学(職場の雰囲気や利用者の様子等の確認)」があります。
見学には派遣会社の担当者も同行してくれますので安心ですし、面接よりは緊張もハードルも低いのがメリットです。
ですから、派遣介護職員は仕事開始までのハードルが低いため、履歴書や面接なしですぐに働き始めたいという人には向いています。
12.日払いで即金が欲しい
多くの派遣会社は日払いや週払い対応が可能になっていて、働いたその日に働いた分を手にすることが可能です。
介護事業所の直接雇用では日払いや週払いが可能というのはあまり聞いたことが無いので、派遣会社ならではのシステムになります。
ですから、手持ちのお金が全く無くて食うに困っている人や、急な出費があって即金が必要な人には派遣介護職員がおすすめです。
但し、日払いや週払いを依頼するごとに手数料が必要だったり、税金等の控除分を残しておく必要があるため全額ではなく「働いた分の9割」等の制約がありますから、詳細は各派遣会社にお問い合わせ下さい。
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最後に
今回は、派遣介護職員のメリット・デメリットと向いている人についてご紹介しました。
初心者歓迎の介護派遣もありますが、その場合は時給が低くかったり、上手く職場に馴染めない場合は雇止めに遭う可能性も高くなります。
ですから、手厳しいようですが派遣介護職員になろうとするならば、ある程度の経験と介護知識及び技術があり即戦力となれる人でなければ勤まらないというのがリアルな実情ではないでしょうか。
その上で、派遣切りのリスクを背負いながら働く必要があるため、複数の事業所を掛け持ちしたり一時的な収入源として上手く活用してリスクヘッジをしながら自分なりの働き方を見つけていくことが重要です。
とは言え、派遣は派遣の良さやメリットもありますので、この記事が派遣介護職員をしようか迷っている人のご参考になれば幸いです。
派遣会社に登録しても必ず働き始めなければならないということは一切ありませんので、まずは登録をしてみて良い条件の派遣先を探されてみてはいかがでしょうか。