「理想は高い方が良い」というのは、世間一般でも周知の通りです。
介護現場でも「理想」と「現実」があります。
介護現場においては「理想は高ければ高いほど良いとは言えない部分」もあります。
「理想」ばかりに偏ってしまうと「現実を知らないキラキラ系」などと揶揄されますし、「現実」ばかりに偏ってしまうと「理想の低い現実主義者」などと揶揄されてしまいます。
ですから、結論から言ってしまえば「理想と現実を丁度良く取り入れればいいのではないか」と思うわけです。
今回は「理想主義者と現実主義者の特徴」と「理想と現実の折衷案はどこにあるのか」ということを記事にしたいと思います。
「理想主義」の職員の特徴
そもそも、介護業界自体が今まで「理想ばかり」で成り立ってきた業界です。
「利用者のために身を粉にして働け」
「見返りを求めるな」
「やりがいのある奉仕の仕事」
という風潮がありました。
ですから、大体の人は「自分の中で理想を追求した時代」を経験してきています。
そういった風潮の中で、実際に介護現場で働き、現実を目の当たりにすることで「これは理想だけではやっていけない」ということを知り、辞めていったり現実主義へとシフトしていく人がいる中で、それでも理想を持ち続けて働いている人がキラキラ系と呼ばれる人達です。
こういった人達に共通しているのは「現実が見えていない」ということです。
未だ現実の介護現場を知らない新人職員然りです。
つまり、「現実を見ないまま経験年数だけ食ってしまった職員」だと言えます。
現実が見えていれば、
「出来ることと出来ないこと」
「介護職員は暴言や違法行為に耐える仕事ではないこと」
「理想主義をやめないと現場が崩壊すること」
が理解できるはずです。
それが理解できていない理想主義の時点で「未だ新人職員と同じレベル」なのです。
「現実主義」の職員の特徴
「現実主義」の職員は、大抵は「理想主義」も経験しています。
私も新人の頃はそうでした。
しかし「それでは現場が回らない」「介護職員だって人間だ」ということに気づくと「現実主義」になっていきます。
「現実主義」と書くと、冷酷冷徹な対応をしたり、非協力的な存在のように聞こえますが、実際は利用者にもにこやかに対応しますし、必要な援助を行います。
利用者のニーズや希望に出来る限り沿えるように努力をしますし、他職員や他職種とも連携して働きます。
では、一体何が「現実主義」なのかと言えば、
「出来ることと出来ないことの判断ができる」
「介護職員も人並みの労働環境や対価を貰う必要があると気づく」
「現場が崩壊しないように業務のスリム化を検討するようになる」
という点になります。
つまり、「人間としても介護士としても成長している」と言えます。
「理想」と「現実」の介護現場(まとめ)
こうして文字にして整理してみると、「理想主義者は現実が見えていない新人レベルの人達」であり、「現実主義者は理想と現実を折衷案で状況判断できる人間的にも介護士的にも成長した人達」という解釈ができます。
つまり、介護現場での現実主義者は「理想主義も兼ね備えた今後の介護現場に必要不可欠な存在」だと言い換えることができます。
冒頭に申し上げた「理想と現実を丁度良く取り入れているのは現実主義者のこと」であり、「理想と現実の折衷案は現実主義者の案のこと」であるという結論になります。
確かに、今まで理想主義だけで突っ走ってきた介護業界は散々たる現状です。
人員不足、低賃金、人権を無視した労働環境、劣悪な人間関係…それにより、利用者に満足なケアが行き届かず「全員が不幸」な状態です。
既に介護現場は精神論だけでは立ち行かない所まできています。
現実が見える現場職員が増えていって欲しいと切に願います。
現実が見える介護士が増えることで、介護現場や介護業界はより良くなっていくものと信じてやみません。