「2025年問題」については過去記事で書いたのでそちらをご覧下さい。
今回は、その2025年に向けて介護職員が37.7万人不足している理由を書きたいと思います。
37.7万人不足の根拠
まず「37.7万人」という数字は何を根拠に言っているのかをご説明したいと思います。
根拠は厚生労働省が2017年6月24日に「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」というタイトルで公表したデータによります。
こちらに記載してある「需要ギャップ37.7万人」という数字が根拠となります。
介護職員になるためには?
不足している理由を考える前に、介護職員になるための条件を見てみたいと思います。
資格不要
初任者研修や実務者研修を受講済みであったり、資格を取得済みなら尚良しですが、無資格でも介護職員になれます。
ちなみに運転免許も不要です。
経験不問
未経験でも介護職員になれます。
経験はイヤというほど現場で積めます。
学歴不問
高卒だろうと中卒だろうと関係ありません。
但し、中卒や高卒の場合、ただでさえ低い基本給が大卒や専門卒より低く設定される可能性はあります。
性別不問
まだまだ女性社会の業界ではあるものの、性別も関係ありません。
但し、訪問介護員の場合は男性が敬遠される傾向があります。
賞罰不問
履歴書に「賞罰なし」と書きますが、賞の場合は全く問題はありませんし、仮に刑事罰や多少の前科があっても雇ってくれる介護事業所は沢山あります。
国籍不問
日本人であろうと在日外国人であろうと、不法滞在でない限りは雇います。
実際、既に国の施策として「外国人介護士の斡旋」も始まっています。
資質不問
これは結構問題なのですが、介護業界は資質があろうと無かろうと雇い入れます。
面接だけで人間の資質が全てわかるわけではないのは確かですが、雇い入れたあとに「資質もやる気も無さそうだ」と認められる職員を野放しにしている状況を見れば、そう感じてしまいます。
37.7万人不足している理由
介護職員になるための条件は他に類をみないくらい間口が広くハードルも低いことがお分かり頂けたかと思います。
それなのに何故、2025年までにあと37万7千人も不足してしまうのでしょうか。
理由①「高齢化率に追いつかない」
2025年を目処に急速に高齢化が進みます。
同時に介護が必要な高齢者が増加し、そのスピードに介護職員の確保が追いつかないのです。
ただでさえ介護職員の人材確保に苦慮しているのに、介護が必要な人の人数と介護職員の人数ギャップが益々開いていくのです。
理由②「メリットよりデメリットの方が大きい」
介護職員の待遇はお世辞にも良いとは言えません。
そしてその事実と現実を介護職員だけでなく多くの国民が知っています。
「介護の仕事に対するイメージが悪いから」と言いたいところですが、「イメージだけでなく事実として待遇が悪い」のです。
今、躍起になって「ネガティブイメージを払拭しようとするキャンペーン」などが行われています。
しかし、「事実、現実、本質」に目を向けなければ何も解決しません。
残念ですが、イメージの払拭だけでは何も変わらず、「介護職員をするメリットよりもデメリットの方が大きい」というのが現実なのです。
最後に
恐らく国でさえ「今から37.7万人も介護職員を増やすのは現実的に無理」ということをわかっているはずです。
ですから、今行っているのは「目標達成」を目指しているのではなく「一人でも多く介護職員をかき集めてダメージを少なくする」という消化試合のようなものでしょう。
財源の問題もあるので暴論になってしまうかもしれませんが、「介護職員の初任給を30万円~」にすれば2025年を待たずに充足可能だと思うわけです。