今まで介護現場で色々な利用者、高齢者を見てきましたが、多くの人は「紙」が大好きです。
特に
- ティッシュペーパー
- トイレットペーパー
- ハンドペーパー
などの白くて柔らかい紙がお好きなようです。
紙が好きな高齢者の確率が結構高いので、今回はその理由と介護現場での注意点を考察してみようと思います。
高齢者が紙を好きな5つの理由
認知症の周辺症状で何でもかんでも手当たり次第収集する人もいますが、認知症ではない利用者も紙のストックを確保しておき、大切に使っています。
中には1回何かを拭いてヨレヨレになったティッシュなども繰り返し使用しており
「もう捨てて新しいティッシュを使えばいいのに」
と思うこともあります。
何故、お年寄りはそんなに紙が大好きなのでしょうか。
理由①「昔は紙が高価だった」
高齢者は長い年月や時代を生き抜いてきた中で、昔は紙そのものが高価な時代もありました。
戦前戦後の時代も含め、「オイルショック」なども経験されているので「紙は高価なもの」という認識があり、簡単に紙が手に入るようになった現在でも大切に使われているのだと思われます。
理由②「物を大切に使う習慣」
昔は日本も貧しい時代がありました。
紙だけでなく、全ての物を大切に使い簡単には捨てない時代でした。
ましてや紙は当時は本当に高価だったので、紙が身近に溢れている今でも1回使ったくらいでは捨てません。
濡れても干して乾かして再利用する人もいます。
高齢者は特にそういう価値観や習慣が強いように感じます。
理由③「目に見えない不衛生は気にしない」
ティッシュで鼻水を噛んだりテーブルの水滴を拭いても「それが無色透明であれば綺麗なまま」だと信じている人もいます。
汚れが目に見えれば「汚い」とわかるのですが、目に見えない「菌やウイルス」はあまり気にしていません。
「乾かせばまた使える」
と思っているのもこのためかと思われます。
理由④「生真面目な人が多い」
私が子供の頃、身だしなみとして「ハンカチとティッシュは持ち歩きなさい」と親や先生に習いました。
生真面目な人が多い高齢者は習慣として今も忠実に持ち歩いていると考えられます。
そう言えば、確かに「ハンカチ」も必ずと言っていいほど持ち歩かれています。
特に女性に多いように感じます。
でもよく考えると、1日の間に何度もハンカチで手を拭き使い回すのは、雑菌が繁殖するので不衛生な気がします(潔癖過ぎるのも問題なので、ハンカチを携帯することを否定しているわけではありません)。
高齢者の生真面目さの中に「ティッシュは常に持っておくものだ」という習慣や常識やポリシーがあるのかもしれません。
理由⑤「何度も紙に助けられた経験則」
高齢者は長い年月を生き抜いてきて、何度も紙に助けられた経験があるのだと思います。
- 急に鼻水や鼻血が出た時
- 水やジュースやコーヒー等をこぼしてしまった時
- お菓子を貰ったりあげたりする時の包み紙
- 使いたいのに身の回りに紙が無かった時
そんな時に紙のありがたみを感じます。
我々のような「ひよっこ」でもありがたみを感じる時があります。
そういう経験則の中で「紙を常に持っていた方が良い」という結論に達したのだと思われます。
注意!介護現場で高齢者の身の周りにある紙を捨ててはいけない
紙を大事にされている高齢者が多いので、もちろん使用済みのテッシュペーパー1枚でも「許可を得ず」に捨てることは良くありません。
しかし介護現場では「高齢者が紙を大切にしている」という理由以外で、注意しておかなければならないことがあります。
それは「紙の中に本当に大事なものを包んである事が非常に良くある」ということです。
一見、薄汚れたシワシワの紙の中には
- お金
- 指輪
- 補聴器
- 入れ歯
- 思い出の写真や小物
などの「本当に大切な物」を包んで置いてある場合があります。
無造作に置かれた「一見ゴミに見える紙」の中には捨ててしまったら取り返しのつかないものが入っていることがあるので、必ず本人に確認し許可を得てから捨てるようにしましょう。
最後に
今回は「高齢者が紙を好きな理由と介護現場での注意点」について記事を書きました。
さすがに鼻水を噛んだティッシュを再利用している風景は「ゾッと」してしまいますが、かと言って勝手に捨てると
「まだ使えるのに」
「勝手に捨てないで」
「私のティッシュを返して」
などとトラブルになる可能性もありますし、「誰が見ても本当に大事なもの」が包まれている可能性もあります。
大げさかもしれませんが「利用者や高齢者の使用済みのティッシュペーパー1枚でも財産」という認識が必要になります。
私は、利用者の身の回りのティッシュ1枚を捨てる時も「この紙、捨ててもいいですか?何か入っていますか?」と確認するようにしています。
但し、その返答は「捨てずに置いといて」というものが多いのも事実です。