「誤嚥してもいいので好きなものを食べさせたい」という謎

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高齢になると咀嚼や嚥下機能が低下して誤嚥したり喉に詰めやすくなります。

毎年、お正月になると餅を喉に詰まらせた高齢者の悲しいニュースが流れてきます。

つい先日には、利用者がおやつのドーナツを喉に詰めて亡くなったことで職員が有罪判決を受けるという事件もありました。

介護従事者としてショッキングなニュース報道がありました。 入所者がおやつのドーナツを喉に詰まらせてお亡くなりになった「事故」が...

「好きな物なら誤嚥しない」というようなことを言う人もいますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

また逆に「誤嚥してもいいから好きな物を食べさせたい」という家族の希望があったりもします。

今回は「誤嚥してもいいので好きな物を食べさせたい」という謎について記事を書きたいと思います。

嚥下障害とは

まずは「嚥下障害」について確認しておきたいと思います。

症状

嚥下障害の症状としては

  • 食事中にムセる
  • 固形物を噛んで飲み込めない
  • 食事をすると疲れてしまい最後まで食べきれない
  • 食後に声が枯れたり痰が絡む
  • 食事量が減ったり偏食になることで体重が減る

などになります。

原因

嚥下障害の原因としては、

  • 脳卒中
  • 腫瘍
  • 炎症
  • 外傷
  • 歯の欠損

などの原因の場合もありますが、高齢者の場合は長年嚥下機能(舌や咽喉頭および食道など)を使ってきたことによる機能低下が主な原因となります。

嚥下障害が引き起こす病気

嚥下障害になると「誤嚥性肺炎」を起こしやすくなります。

飲み込んだものが上手く食道に流れず肺に流れてしまうことで肺炎を引き起こします。

食べ物や飲み物だけでなく、自分の「唾液」でも誤嚥を引き起こすことがある為、何かを口にしなくても肺炎になるリスクが常にあります。

その他にも、上手く咀嚼出来ないまま嚥下することで

  • 消化不良
  • 消化不良による下痢や便秘

なども起こりやすくなります。

嚥下障害のある人への対応

嚥下障害のある人に対して介護施設では

  • 主食をお粥やミキサー状にする
  • おかずを刻んだりミキサー状にする
  • 水分や汁物にとろみをつける
  • 食事摂取のスピードに注意する
  • 食事姿勢や角度に注意する
  • 食後の口腔内の食物残渣物の除去

などの利用者の健康管理と誤嚥を防ぐための対応になります。

「誤嚥してもいいので好きな物を食べさせたい」という謎

確かに形を得ない食べ物やとろみのついたお茶は見た目も美味しそうに見えませんし、実際に味も美味しく感じません。

そこでよく家族などから言われるのが 「もう高齢で先は長くないのだから、誤嚥してもいいので好きなものを食べさせてやりたい」 という希望です。

責任の所在

こういう家族の希望はどの介護施設でもありがちです。

しかし、もし万が一「何かあった場合誰がどう責任を取るのか?」という問題があります。

もちろん、家族の希望なのですから家族に責任を負って貰う必要があります。

口頭での確認だけでなく、しっかり文章や書類などで記録や承諾を取っておき免責しておかないと責任問題に発展するリスクがあります。

食事介助自体も家族の責任の上で家族自身が行ってくれれば良いのですが、そうでない場合はお断りしていきたいところです。

職業倫理的な問題

責任の所在が明らかになっても「職業倫理的、人道的にどうなのか?」という問題が出てきます。

家族が希望し責任を負うにしても、明らかに誤嚥のリスクが高まる行為に関して

  • 介護職
  • 医療職
  • リハビリ職
  • 介護支援専門員
  • 管理栄養士

として各々が異なる職業倫理と職責があります。

そしてそれ以前に人間として「誤嚥してもいい」という状況を見過ごせるか、ということが問題となってきます。

現状では 「その人らしい人生」「好きなものを食べれる楽しみや生きがい」という観点から、家族の希望があれば好きなものを食べて貰っているというのが一般的となっています。

本人の意思疎通が可能ならば、本人の希望が最優先されるのですが、介護施設などでは認知症等で意思疎通が取れない利用者も多いので最終決定は家族が行うことになります。

しかし、それは家族の希望であって本人の希望ではありません。

本人の希望が不明なのに家族が希望することを行うという点では、最終的な命の行方を判断する「看取り」でも同じです。

「看取り」を行っている介護施設も増えてきたので、介護職員として働いていると「看取り介護」を経験する機会も増えてきました。 人の...

誤嚥は苦しいものだと知っておく

好きなものを食べて本人が満足するか、喉に詰めたり誤嚥性肺炎になったりするかはリスキーなチャレンジになります。

本人の表情や摂取状態で喜んでいるかそうでないかはわかるにしても、大体はムセたり嚥下できずに口から流れ出てきたりします。

健康な我々でも飲み込む時に気管の方に入ってしまい、むせ込んだことが経験があるかと思いますが「ムセると物凄く苦しい」のです。

喉に食べ物が詰まった経験もあるかとは思いますが、飲み物で流し込むまでは相当苦しいです。

喉に詰まっても飲み物で流し込めない高齢者は尚更苦しいことでしょう。

気管に入ったものを出そうと咳をするのですが、高齢になるとその咳嗽(がいそう)機能も低下しているので、今まで聞いたことの無い音が聞こえ肺に流れていったり、窒息状態になります。

そんな苦しい状態に陥るリスクがあるのに「誤嚥してもいいから好きな物を食べさせたい」という希望があるのは謎です。

ひょっとしたら「末期の水」のようなものと勘違いをしているのではないでしょうか。

自分に置き換えて考えてみる

私自身、常に心掛けていることですが「自分ならどう思うか」ということを考えてみることも必要です。

もし自分が利用者の立場で、嚥下障害があった場合「いくら好きなものであっても誤嚥したりムセたりする食事はやめて欲しい」はずです。

長生きしたいとか早死にしたくないとかということではなく「誤嚥してムセたり肺炎になって高熱が出たり、喉に詰めて窒息するのはとても苦しいので勘弁願いたい」というのが本音です。

いくら過去に好きだった食べ物だろうと今現在、自分に苦しみを与えるような食事は「即刻大っ嫌い」になります。

これはあくまで私の個人的な考え方なので、世の中の人達の中には他の考え方や価値観があるかもしれません。

しかし、食事や味の好みが年齢とともに、又は何かのキッカケで変化していくのはよくあることです。

「その人らしい人生」と言いながら「過去の記憶や思い出に縛られしがみついているのは一体誰なのか」ということをゆっくりと考えてみることも大切かと思います。

最後に

今回は、「誤嚥してもいいので好きな物を食べさせたい」という家族の希望について記事を書きました。

家族の責任で家族自身が食事介助をしてくれれば良いですが、そうでない場合は色々問題があります。

また、家族が介助をするにしても、その後に利用者が急変する可能性もあり得ます。

「誤嚥してもいい」と簡単に言いますが、本人はとても苦しいものですし、「自分ならどうされたいか」というように自分に置き換えて考えてみることも大切です。

自宅で家族がやりたいように介護や介助をされるのは自由ですが、介護施設の場合は様々な責任問題もあるので、慎重な検討が必要です。

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