介護施設のワンオペ夜勤で救急車に同乗したくない3つの理由

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介護施設でワンオペ夜勤をしていると、利用者の

  • 急変
  • 病状悪化
  • 外傷等のアクシデント

などが発生し救急搬送が必要になる場合があります。

夜勤リーダーや待機看護師の指示判断、又は家族の希望で救急隊を要請するわけですが、そうなるととても慌ただしくなります。

「仕事なのだから忙しいのは仕方のないこと」ということはわかっていますが、ここで特筆しておきたいのは「ワンオペ夜勤が故に何かを犠牲にしないと救急対応が出来ない」ということです。

救急対応をする場合、「救急隊を呼んで救急車で病院へ送って終わり」というわけにはいかず、介護職員が救急車に同乗して病院まで付き添いをすることも必要となってきます。

今回は、介護施設のワンオペ夜勤で救急車に同乗したくない3つの理由について記事を書きたいと思います。

救急車に同乗したくない3つの理由

救急隊が到着し、救急搬送の準備や手続きを終えると搬送先の病院を探し始めます。

その際に、救急隊から「一緒に病院まで乗っていく人は誰ですか?」と同乗者を求められます。

同乗者がいなくても救急搬送は可能なのでしょうが、介護施設入所中の利用者ということもあり

  • 意識があっても認知症等で自分では症状を訴えられない
  • 病院到着後に医師や看護師に様々な情報提供が必要になる
  • 病院到着後に処置や治療の判断や決定を下す人間が必要

という観点から同乗を推奨されます。

家族の到着が間に合えば家族が同乗するのが望ましいのですが、家族にとっても急なことなので間に合わないことの方が多いです。

そうなると「普段の様子を知っている介護職員さんが同乗して下さい」という流れになってきます。

もちろん、処置や治療の方針の判断や決定を下すのは家族(意思疎通が図れれば本人)にしか出来ませんが、家族が病院に到着するまで誰も付き添わないなんて

  • 介護職員としてどうなんですか?
  • 普段身の回りのお世話をしている立場としてどうなんですか?
  • 倫理的人道的にどうなんですか?
  • 医療機関に丸投げってどうなんですか?

ということになります。

では何故、救急車に同乗したくないと思ってしまうのでしょうか。

理由①「一刻を争うが故に過酷」

日本の救急隊は優秀で、電話で救急要請をすると10分以内に到着します。

一刻を争う場面で、救急隊の素早い到着は素晴らしいことなのですが、ワンオペ夜勤の介護施設ではその準備が間に合いません。

準備とは

  • 宿直者へ連絡し施設玄関を開錠して貰う
  • 家族への連絡
  • 上司への連絡
  • 利用者の生年月日や既往歴や現病歴を調べる
  • 直近の様子やバイタル情報を調べる
  • 救急搬送される際に必要な保険証や利用者の身の回りのものを準備
  • 自分が救急車に同乗する際に必要なものを準備(携帯電話等)

などになります。

もちろん、それらを夜勤リーダーと2人でこなしながら、他の利用者の

  • コール対応
  • 排泄介助
  • 徘徊利用者がいれば見守りや付き添い

を行います。

上司や看護師や生活相談員やケアマネ等が応援で駆けつけてくれれば大変助かるのですが、殆どそれは期待できません。

大抵の場合は介護職員に全ての負担を被せて丸投げです。

「現場介護職員に任せておけばいい」

「何とかなるだろう」

「救急搬送するだけだから行っても仕方がない」

「自分の業務範囲ではない」

という独自の判断をして終わりです(夜勤者のメンバーやパワーバランス、経験や能力を見て「行く行かない」の判断をしているのでしょうが)。

仮に施設まで来てくれることになっても、救急車が出発するまでに間に合わない場合が多いため、同乗する準備をしながら過酷な業務負担を負うことになってしまいます。

救急車に同乗して病院まで付き添うことになると、その準備が過酷な上に夜間帯にやろうと思っていた書類仕事も出来なくなってしまうため、「出来れば同乗したくない」と思ってしまいます。

理由②「残された現場の業務が溜まっていく」

救急車に同乗すると、病院到着後に医師や看護師から色々と質問をされたり書類を書かされたりします。

家族が到着すれば「バトンタッチ」となるのですが、家族でも普段の様子を知らなかったり、病院からの質問に答えられなかったりするので

「バトンタッチされても困る」

「このまま介護職員さんに帰られたら困る」

という家族もいますし、

「家族さんと一緒に介護職員さんもまだ居て下さい」

と言う医療従事者もいます。

しかし、ワンオペ夜勤の介護職員としては、すぐに帰らねばならない理由があります。

「自分のユニットの他の利用者がほったらかし」になっているからです。

厳密には「本当にほったらかし」だと地獄絵図になっていたり人員配置基準違反になったりするので、

  • 準夜勤者や上司や看護師等のプラスの人員がいれば対応してもらう
  • 他のユニットの夜勤者に時々様子を見に来てもらう

等の代打対応がされます。

しかし、それらの人達は「あくまで応急処置の職員」なので利用者一人ひとりの処遇や対応方法を知らないため、細やかなケアをしてくれません。

ですから、早く施設へ帰らないと

  • 朝までにやっておかなければならない業務がそのままになっている
  • 排泄介助等の業務が溜まっていく
  • 別の利用者のアクシデントが発生している

などのリスクが高まります。

また、施設に戻ってから救急搬送前後の記録も入力しなければなりません。

業務がどんどん溜まっていくため、ワンオペ夜勤において「出来れば救急車に同乗したくない」と思ってしまいます。

理由③「病院から帰るタイミングがわからない」

救急車に同乗して病院に着くと、家族が到着するまで代理で手続きや情報提供を行います。

家族が到着すると、引継ぎをして介護施設へ帰るわけですが、先ほども書いた通り「介護職員もまだいて欲しい」と考える医療スタッフもいます。

ですから、家族が到着したからといってバトンタッチをしてそのまま帰ってしまうと、その後、病院からお叱りの電話が掛かってきたりします。

「患者の普段の様子を全く知らない家族だけ残して帰るなんて無責任だ」

「まだ聞きたいことがあったのに勝手に帰って貰ったら困る」

「帰るなら帰ると声を掛けて貰わないと困る」

などと言われます。

ですから、病院から施設へ帰るタイミングとしては、「家族が到着後に医療スタッフの許可を得たのち」ということになりますが、このタイミングが非常に難しいのです。

夜間の救急病院ですから、どの医療スタッフも忙しそうにバタバタと動き回っていて、こちらから声を掛けにくかったり、処置室の中に籠りっぱなしで声を掛ける機会さえ無かったりします。

そうなると帰るに帰れないことになってしまうので、仕方がなく処置室の扉をノックしたりソッと開けようものなら

「今、処置中です!関係者以外は外でお待ち下さい!」

などと言われて会話もできません。

早く施設へ帰らなければ業務が溜まっていくのに帰るタイミングがわからず帰るに帰れない状況に陥ってしまうため「救急車に同乗したくない」と思ってしまいます。

最後に

今回は、介護施設のワンオペ夜勤で救急車に同乗したくない3つの理由について記事を書きました。

そもそも救急車を呼ばなければならない状況は緊急事態ですので、出来るだけ無い方が良いのですが、高齢者や認知症者が大勢入所している介護施設では何が起こるかわかりません。

そういう緊急時の対応方法のマニュアルはあるものの、結局は介護職員だけに負担が掛かってしまうことになるため、「救急車に同乗したくない」と思ってしまいます。

帰る時は、タクシーを呼んで帰ることになります(もちろん領収書を貰って立て替えます)。

施設に戻ったあとに

「処置が終わって帰っても良いって言われたので病院までお迎えをお願いします」

という電話が家族から入ることも往々にしてあります。

入院するに至らなかった場合は当然そうなります。

そうなると、夜間に施設の公用車を誰かが運転して病院まで迎えに行かなければなりません。

ここで問題となるのは

  • 施設の公用車を運転することが許可されている職員が限られている
  • 迎えに行く間、またユニットを留守にしなければならない
  • 治療内容や病状や今後の対応等を家族や医療スタッフから聞き、施設に持ち帰り記録と情報共有しなければならない

ということです。

「夜間帯にそこまで出来る職員が少なく、対応に苦慮する」ということになります。

ワンオペ夜勤で救急搬送せざるを得ない状況になった場合、その対応だけで過酷な上に、救急車に同乗する必要がある場合は更に熾烈を極めるのです。

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