コミュニケーションの方法は大きく分けて以下の2種類があります。
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「言語」コミュニケーションは文字通り「言語や言葉」を使ったコミュニケーション方法です(手話や筆談も含まれる)。
普段の生活だけでなく介護現場でも「対話」「声掛け」「傾聴の相槌や返答」などで何度も行っています。
「非言語」コミュニケーションは文字通り「言語や言葉以外」を使ったコミュニケーション方法で「顔の表情や顔色」「身振り手振り」「視線」「体勢や距離感」などで表現します。
介護現場でも「笑顔」や「身振り手振り」などは言葉と併用したり又は非言語単独で行っています。
物事を伝える際に直接的に使用するのが「言葉」ですから、言語コミュニケーションを優先して利用者への「言葉の使い方」「言い回し」「声掛けの仕方」が重視されることが多いと言えます。
それ故に「常に丁寧語や敬語を使いタメ口は一切ダメ」「時と場合によってはタメ口もありなんじゃないか」などの議論がされることもありますが、今回はその件については言及しません。
何故なら、今回この記事で言いたいのは「忘れられがちな非言語コミュニケーションの重要性」だからです。
介護現場での非言語コミュニケーションの重要性
表情や身振り手振りを使った非言語コミュニケーションは、言葉を補うための補完的補助的なものと思われがちですが、実は「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるように、「相手に強烈なインパクト」を与えたり「本心」を見透かされたりする重要なコミュニケーションの方法になります。
場合によっては「相手への伝わり方が言葉よりも的確」であったり、逆に「意図せぬ誤解を招くこともある」のです。
非言語による受け止められ方
非言語の重要性を例題で確認してみたいと思います。
【例題】
「ありがとう(言語)」と伝える際、同時に
どちらが良い印象を受けるでしょうか。 |
上記例題の場合、良い印象(好意)を受けるのは「明らかに1の方」でしょう。
同じ「言葉」「セリフ」を言っても、非言語の表現方法によって受け止められ方が全く違ってくるのです。
非言語による本心
非言語では受け止められ方だけでなく、表現をした人の本心も推し量られる可能性があります。
何故なら、非言語は「無意識」に出てしまう場合もあるからです。
つまり、上記例題の2の場合、「ありがとう」という言葉は口先だけの出まかせで、「本心はありがとうなんて思っていない」「むしろ敵対心を抱いている」という読み取りができます。
それが真実かどうかは関係なく、「真実の場合は見透かされてしまう」「真実でない場合は誤解を招いてしまう」というネガティブな可能性を持っているため「非言語が非常に重要」なのです。
介護現場での非言語の重要性
介護現場においても、言語だけでなく非言語によるコミュニケーションが非常に重要です。
何故なら、「耳が遠い利用者」「意思疎通が不完全な利用者」などが多いため「言語だけでは限界があるから」です。
また、利用者は意外と「職員の動きや表情や身振り」をよく見ています。
対面で個別に利用者に対応している時以外の場面でも、利用者の視線を感じたことがあるのではないでしょうか。
ここで「利用者の視線に気づいていても、敢えて視線を合わせない」というのも実は「非言語表現」なのです(その善し悪しは割愛)。
介護現場で意識的であれ無意識であれ、至る所で「非言語コミュニケーション」を行っていることを認識し、その特徴や効果について知っておくことが重要です。
最後に
今回は、「介護現場での非言語コミュニケーションの重要性」について記事を書きました。
言語である言葉には人を勇気づけたり傷つけたりする力があるため、その使い方が非常に重要であることはご周知の通りです。
しかし、言語によらない「非言語」も介護現場で対人援助をする上で非常に重要であり、おざなりにすることはできません。
今まで「無意識」に行っていた非言語コミュニケーションを「意識的に行うことでより効果的で円滑なコミュニケーションが可能」となるのです。