介護施設でのワンオペ夜勤の過酷さは今までも色々書いてきましたが、通常の流れの中で共通して言えるのは「朝の離床介助の時間が一番過酷」ということです。
もちろん介助自体の重労働もありますが、利用者が活動を始め出す時間帯になるので、アクシデントが発生しやすい時間帯とも言えます。
夜勤者もその時間帯には既に勤務を開始して12時間以上が経過しているので疲労もピークになる頃です。
疲労がピークになった時に行う肉体的精神的重労働が故に「ワンオペ夜勤は夜明け前が一番暗い」と言えます。
今回は、夜明け前の暗さと、介護現場のワンオペ夜勤における重労働について記事を書きたいと思います。
「夜明け前が一番暗い」の意味は?
そもそも「夜明け前が一番暗い」という諺(ことわざ)はどういう意味なのでしょうか。
「The darkest hour is always just before the dawn.」 |
の和訳で
「苦難や雌伏の期間は、終わりかけの時期が最も苦しい。それを乗り越えれば、事態が好転するだろう。」 |
という意味を持つイギリスのことわざになります。
つまり、「暗さ」や「過酷さ」をアピールするネガティブな意味ではなく
「明けない夜はないだろう」
「過酷な労働の後には明るい未来が待っているだろう」 「だから今が一番つらく感じても歯を食いしばって乗り切ろう」 |
という事態好転のポジティブな意味があります。
但し、科学的には日の出の約90分前を「薄明の始まり」と言い、夜明け前から既に明るいようです。
ワンオペ夜勤の事態は好転するのか?
一番過酷で暗い時間帯を乗り越えたワンオペ夜勤の夜明けは好転するのでしょうか。
等々 |
確かに事態は好転すると言えます。
ワンオペ夜勤者にとって一番暗い時間帯は「朝5時~7時の2時間」だと言えます。
その2時間を乗り切れば援軍(早出職員)が到着し、ゴール地点(退勤時間)も見えてきます。
但し、これは「平穏無事に朝を迎えられた場合」になります。
アクシデントや急変が発生してしまった場合
誰だって平穏無事に勤務を終えたいのは当然です。
しかし利用者という人間を相手にしているので
- 転倒などのアクシデント
- 容態が急変するなどの救急対応
が無いとは限りません。
そうなってしまうと、事態は好転しませんし夜明け前の一番暗い状態が外が明るくなっても続きます。
等々 |
一番暗かったはずの夜明け前から更に暗い「暗黒」の中に引きずり込まれます。
もちろん「暗黒世界からもいずれは解放される」のですが「自分の担当する時間帯にアクシデントを発生させてしまった」という後味の悪さが残り達成感や解放感が半減してしまいます。
余程めちゃくちゃな対応をしている場合を除き、殆どのケースが介護職員に責任はないのですが「責任を負わされ責任を感じるように仕組まれているのが現状の介護業界」なのです。
ですから厳密には「ワンオペ夜勤はアクシデントや急変が発生した時が一番暗い」ということになります。
最後に
今回は、介護現場のワンオペ夜勤において「夜明け前が一番暗いと言えるのか」「夜が明ければ事態は好転していくのか」ということについて記事を書きました。
夜勤に限らず、どの時間帯の勤務であっても退勤時間が近づくと「あと少し頑張ったら帰れる」という気持ちになります。
しかし、ワンオペ夜勤の場合は特に「一人の勤務ではなくなる」「16時間労働からの解放」などの理由から、日勤帯の勤務の退勤前より一段と格別の思いがします。
アクシデントや急変などがあった場合には暗転してしまいますが、負担や責任を押し付けるのではなく「緊急時の人員の確保」をして役割分担が出来れば負担も軽減できます。
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などが存在していれば手分けして業務ができるのですが、夜間にプラスの人員を配置するためには人材を確保していかなければなりません。
ニュースで報道されるような事故や事件も、夜間帯で発生していることが多いようです。
そろそろ「介護施設におけるワンオペ夜勤の在り方」について本腰を入れて検討していって欲しいと思います。
「この記事は結局何が言いたかったのか?」ということですが、「ワンオペ夜勤は過酷」ということが言いたかったのです。