【介護事件考察】「介護士が入所者に暴言を吐かれ続け暴力を振るって逮捕」に同情の声

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先日(2019年7月2日)に

「58歳の男性介護士が90歳の男性入所者に暴言を吐かれ続けた挙句、暴力を振るってしまい逮捕された」

「この介護事件に関して、ネット上では同情の声も聞かれている」

というニュースが流れてきました。

今回は、この介護事件について考察をしていきたいと思います。

ニュース概要

「怒りが頂点に」58歳介護士、90歳男性を殴打し逮捕 動機に同情の声も

2日、神奈川県横浜市神奈川区の介護支援施設に勤務する58歳の介護士が、入所者の90歳男性に暴力を振るったとして、傷害の疑いで逮捕されたことが判明。その動機に、同情の声が集まっている。

事件があったのは2日午前7時頃。入居者男性(90)に対し、顔を5回ほど手で殴打し、顔面打撲や外傷性くも膜下出血などの怪我を負わせた。ただし、被害男性は意識があり、命に別状はない模様だ。

なぜ男性が凶行に出たのか。男性は警察の取り調べに対し容疑を認め、犯行の動機については、「普段から被害男性に暴言を受けており、怒りが頂点に達して殴ってしまった」と話している。暴言を吐かれ続けていれば怒りが鬱積するのは当然。暴力は犯罪であるものの、情状酌量の余地はあるだろう。

事件を聞いたネットユーザーからも、「行動は良くないけど暴言を吐かれ続ければ殴ってしまいたいと自分も思うはず」「毎日毎日苦労して介護しているのに、暴言を吐かれ続ければ気が狂うのは当たり前。ボケているとしても、被害男性の行動にも問題がある」など同情の声が。

【引用元】リアルライブ

https://npn.co.jp/article/detail/92531180/

事件考察

この介護事件を考察していきたいと思いますが、個人的にはニュース記事に書かれている通りだと思います。

「どんな場面でも、いつ何時誰に対してであっても、暴言や暴力は絶対にしてはいけない」という大前提の上で、入所者に暴力を振るってしまった男性介護士が罪に問われてしまうのは当然です。

しかし、「先に相手(入所者)から暴言を吐かれ続けていた」という点から同情の声も多いようです。

認知症だから仕方がない?

こういった場面でよく言われるのが、

「相手は認知症なんだから仕方がない」

「介護はそういう仕事」

と言う意見です。

その言葉の裏には

「認知症者の暴言や暴力を容認するのが介護」

というとんでもない思想があります。

百歩譲ってそうだとしても、それならば「介護士の生命身体人権も守られていなければ片手落ち」です。

現状では、介護士の安全は守られておらず、人権さえ無視されています。

この事件は、そういった介護現場の現実が生んだ起こるべくして起こった事件だと言えます。

介護職員が入所者や利用者に対して暴言や暴力を行えば、すぐに虐待認定され事件や犯罪行為としてニュース等で報道されたりします。 大...

介護士の資質に問題があった?

当然、中には介護士としての資質に問題があって事件が発生しているものもありますが、全てではありません。

「認知症介護」の知識や経験、「アンガーマネジメント」の実践等の資質の向上が大切なのは重々承知していますが、介護現場の実情は「人間としてのキャパシティを試される過酷さ」にあります。

普通の人では音(ね)を上げて逃げ出してしまうような環境なのです。

ですから、今の介護現場で介護士に必要な資質は「自分のキャパシティを超えないように、ただただ我慢する」というものになってしまっています。

それはもう資質とか能力は関係ありません。

ただの「我慢大会」です。

我慢することを延々と強いられた状態では、どれだけ我慢強い人でも、いつかは爆発してしまう時がくるでしょう。

それが早いか遅いかだけの話なのです。

ですから、今回の事件では、介護士の資質というよりも、「我慢大会をさせ続ける介護現場の環境」に問題があったのではないでしょうか。

2017年8月に報道された岐阜県高山市の老健で発生した介護事件の続報が報道されました。 当ブログでもこの事件について記事をいく...

逃げ場がない環境

この事件は、朝7時に発生していることから、職員の配置は「夜勤明けの職員」と「早出出勤の職員」の2人だけだったのではないでしょうか。

職員2人で対応しなければならないこの朝の時間帯の業務は過酷です。

暴言を吐き続ける入所者に我慢ができなくなってしまった場合

  • 他の職員に対応を代わって貰う
  • 時間を置いたり距離を取って対応する

という対応が考えられますが、職員が自分を含めて2人しか居ない朝のとても忙しい時間帯では、そんなことをしていては業務が回りません。

逃げ場が無いため、介護職員に与えられた選択肢は「ただただ我慢をして業務を進める」ことだけです。

逃げ場が無く我慢をし続けて追い詰められるだけの環境は最悪です。

最悪の環境で最悪の結果が出てしまったと考えれば、起こるべくして起こった事件と言えるのではないでしょうか。

介護施設には「早番、日勤、遅番、夜勤」などの多様な勤務体制があります。 事業所によって勤務時間は多少前後してくるでしょうが、早...

事業所の対策は適切だったか

事業所も暴言を吐き続けるような入所者がいることは把握しているでしょうから、必要なのは「事業所全体で対応していく」「介護職員だけに負担を押し付けない」「事前に有効な対策を講じていく」という姿です。

事業所が、「事前にここまで対策をしていたけれどこんな事件が起こってしまった」と言うのならわかります。

しかし、介護職員に対応も責任も丸投げし、人員も環境も研修体制も整備しないまま起こってしまった事件であるならば、

「事業所の対応に問題があった」

「事業所にも責任がある」

と言えます。

負担も責任も介護士に押し付けた挙句、「トカゲのシッポ切り」では、こういった事件は今後も後を絶たないでしょう。

最後に

今回は、「暴言を吐き続ける入所者に暴力を振るってしまった58歳の男性介護士に同情の声が上がっている」という介護事件について考察しました。

当然、他人に手を出すようなことはあってはならないことです。

しかし、介護現場での事件は後を絶ちません。

1つ確かなのは「介護士が大切にされていればこういった事件は減っていく」ということです。

「自分が不幸なのに他人を幸福にすることはできない」のです。

「不幸な人が不幸な人に暴言を吐き続け、不幸な人が不幸な人に暴力を振るってしまった不幸な結果」と言えるのではないでしょうか。

いつまでも介護士に「我慢大会」を強いているようでは、人材確保も入所者の幸せの追求も夢のまた夢となるでしょう。

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コメント

  1. とも より:

    お久しぶりです
    介護職員が虐待する理由の上位二つ、ぜひ見てみてください。正直「頭が悪い」「印象操作だ」と思います。
    利用者に苛められ続けた職員が手を出してしまう、手を出してしまうのはいけませんが、日常的に何かあったのでは?と私は勘ぐってしまいます。
    あと数年の介護職人生、がんばろうと思います

    • アバター画像 介護職員A より:

      >ともさん

      お久しぶりです、こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      虐待理由上位は「知識や技術不足」「ストレス」と言ったところでしょうか。
      某テレビ局でも特集をやっていたみたいですね。
      情報・印象操作はあると思います。

      介護職人生あと数年なのですか?
      辞めてしまわれるのですか?
      とにもかくにも頑張りましょうね。

      • とも より:

        お返事ありがとうございます。
        まさにその通りであります。
        さらに、「知識、技術不足」だから、認知症の適切な理解を深めるために研修が必要だ、技術を高める必要がある、と言ってましたね、テレビでは。
        唖然としました。理解=認知症の方が暴力に訴えるのは理由がある、その理由を見つければ暴力が減るとのこと…

        現場を離れますが、福祉には携わります。介護現場にいたことは忘れずにいたいです。

        • アバター画像 介護職員A より:

          >ともさん

          こんにちは~
          返信ありがとうございます^^

          人との接し方に明らかに問題がある介護職員は論外として、知識と技術だけではどうにもならないことだってありますよね。
          エスパーかメンタリストでもあるまいし…。

          福祉には携わりながら現場を離れられるのですね…何だろうな(笑)
          頑張って下さい。

      • アングラー より:

        虐待の理由として知識や技術不足を挙げてるのは、あくまでアンケートに答えてる管理職だからその時点で管理職の現状認識が甘いですよね。(人員不足や人員配置の問題による多忙さは4位です。配置基準を決めてる厚労省へのソンタクでしょうか 笑)
        職場の労働環境を整えるのが管理職の仕事なのにそれを放棄して個人に転嫁して、自分でなんとかしてくれと言ってるだけですから。

        • アバター画像 介護職員A より:

          >アングラーさん

          こんにちは~
          コメントありがとうございます^^

          介護現場の声を拾い上げずにデータでしか現場を知らない人達には本当参りますよね。
          国や行政への「忖度」ばかりで、負担も責任も現場に押し付けているようでは何も変わっていきませんね。

  2. ダメ人間 より:

    こんばんは。
    今回の記事はアンガーマネジメントみたいな事なんですかね?

    介護職として勤務しまだ日が浅い頃、経験豊富な後輩職員に
    「~さんに△みたいな事を言われ、ストレス溜まりませんか?」
    みたいに聞いたら、
    「その視点は自分自身の視点=思考から見てませんか?~さんはそういう人だと思えば、負担が少なくなりませんか?」
    と回答され、そういう考え方もあるのだなと思いました。
    また某有名巨大掲示板の雑談スレにて、
    ・介護職は「仏の心=無にする事」が必要
    ・イライラする事があったら、一休さんみたいに「あわてないあわてない。ひとやすみひとやすみ」と唱える事が必要
    こんな感じの事がストレスを溜めないポイントと書いてあった事があり、自分は上記3点を出来る限り忘れない様にしています。

    ただどうしてもイラつく事はありそんな時は、
    ・今の自分は非常勤だが、非常勤にもサビ残を強制する素晴らしい労働環境な事業所=出戻りした同族社福でしか働けない、自分が悪い。
    ・事務長が有名高級車に乗り換えたので、車体に10円パンチでもしようかな?
    と訳が分からない事を考え、意識をそらす事をありますwww

    • アバター画像 介護職員A より:

      >ダメ人間さん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      アンガーマネジメントと言っても、結局は自分次第になってきますからね。
      「怒りのコントロール」ということですから常に頭の片隅に置いておかないと意味がないですね。
      仮にそういう意識をしていても、人間としてのキャパを超えてしまえば無意味ですし…。

      出来る限り忘れないようにされているのは素晴らしいことだと思います。
      ひいては自分を守ることになりますからね。

      ちなみに、今回の記事は「アンガーマネジメントも大切だけど、そもそもキャパを超えないような環境づくりをしていきましょうよ」的な意味合いで書きました。

  3. アングラー より:

    このニュース、テレビで見ましたがデイサービスでした。お泊まりデイサービスってやつですね。
    過去にお泊まりデイサービスで実際は夜勤なのに宿直として偽装することがありました。そうすれば割り増し賃金の支払いはしなくて良いし、日勤の後に「宿直」を入れても違法とはされないからです。
    もしそんな人間の限界を越えた労働環境だとしたら…残念ながらマスコミ報道ではどんな労働環境で働いているかの掘り下げはせずありきたりな話に終始するばかりです。

    • アバター画像 介護職員A より:

      >アングラーさん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      そうだったんですね、お泊りデイですか。
      「夜勤を宿直に偽装」はひどいですね。
      もしそんなことが横行しているなら問題ですね。
      確かに、報道はもっと掘り下げて欲しいと思います。
      貴重な情報ありがとうございました^^