【岐阜の老健事件考察①】「入所者3人死亡、2人入院」の介護事件

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岐阜県高山市の介護老人保健施設(老健)で、入所の3人が死亡し、2人が入院していることがわかり、県が立入調査を実施し、県警が事故と事件の両方で捜査を開始したというニュースが流れてきました。

今回はこの2017年に起こった介護事件を考察していきたいと思います。

※2017年当時に執筆した記事のため、古い情報が含まれますことをご了承下さい。

事件概要

岐阜県高山市桐生町4丁目の介護老人保健施設「それいゆ」で7月末以降、入所する高齢男女3人が死亡し、2人がけがをして入院していたことがわかった。施設から連絡を受けた県は17日から立ち入り調査を実施。県警は事件と事故の両面で捜査を始めた。

施設と県によると、12日夕、体調不良で救急搬送された入所女性(87)が、13日夜に死亡。肋骨(ろっこつ)が複数折れており、県警による16日の司法解剖の結果、死因は外傷性血気胸だった。

7月31日には男性(80)が施設内で意識を失い、病院に運ばれたがまもなく死亡。また、8月6日深夜には女性(93)が施設内の居室で倒れているのが見つかり、7日未明に死亡した。女性は頭の骨が折れるなどしていたという。

このほか、15日には女性(91)の肋骨が折れていることが判明。16日には別の女性(93)の胸にあざがあるのが見つかり、肺挫傷と診断された。2人とも入院しているという。

施設を運営する医療法人「同仁会」の折茂謙一理事長は18日午前、記者団の取材に応え、13日に死亡した女性について職員の介護で入浴した際の事故との見方を示したが、「誰かが何らかの意図を持って女性を骨折させた可能性も100%排除できない」と述べた。「近接した期間に入所者の死傷が相次いだのは異常だと考えており、世間を騒がせたことをおわびしたい」と話した。施設には約100人が入所しているという。

【出典元】朝日新聞デジタル

入所者3人が死亡し、2人が入院する事態が続く時点で「事件」だ

県警は「事故と事件の両面から捜査を開始している」とのことです。

ひょっとしたら、たまたま不幸な「事故」が続いてしまっただけなのかもしれませんが、「死亡者が3人、入院者2人、合計5人が連続して死傷する」という時点で、「仮に事故であったとしても、そんなあり得ない事故が連続して重なる時点で事件だ」という印象です。

「死亡した3人」のうち、1人は肋骨が折れており、1人は頭の骨が折れていたということです。

「入院した2人」のうち、1人は肋骨が折れており、1人は胸にあざがあり肺挫傷と診断されています。

死因や入院の原因が「骨折」や「あざ」等、外傷性のものばかりで、素人目に見ても、この介護施設での『身体的虐待』を疑ってしまいます。

そしてそれは、施設を運営する理事長の言葉にも表れているのではないでしょうか。

「誰かが何らかの意図を持って女性を骨折させた可能性も100%排除できない」

ここで、

「うちの施設に限って虐待はあり得ない」

と言い切らなかったのは、今回の惨状が理事長といえども言い切れない状況であることが伝わってきます。

不自然に5名もの入所者が連続して死傷する事態は

  • リスクマネジメントが活きていない
  • 理解を超える近接性と連続性と異常性

という点で「事件」と言っても過言ではないと言えます。

死傷入所者5人の担当職員を退職させていた

岐阜県の高齢者施設で、3週間足らずの間に、脳挫傷などで3人が死亡し、2人がけが。この謎の事態に揺れる施設では、5人を介護していた30代の男性職員が17日、退職していたことがわかった。

事故か、それとも事件か。
入所者5人が相次いで死傷した介護施設の理事長は、会見で「五里霧中」という言葉を口にした。

介護施設「それいゆ」の折茂謙一理事長は「偶発的であるか、技術の未熟なのか、それか、3番目の意図的なものである。意図的というと、犯罪ということになりますけど。五里霧中と言ったらいいんですかね」と話した。

【引用元】FNN

死傷した5人の入所者を担当していた30歳代の男性職員を2017年8月17日に退職させているようです。

  • ニュースが明るみになるとほぼ同時期
  • 白黒はっきりする前

に退職させるという判断には疑問が残ります。

一方、相次いで死傷した入所者5人全員の介助に関わり、17日付で退職した元職員の30代男性について、同仁会の一戸康弘事務長は19日、報道陣に「(男性に対する取材で)通常の業務に支障をきたすため、本人と話し合って退職届を出してもらった」と話した。

【引用元】毎日新聞

「通常の業務に支障をきたすため、本人と話し合って退職届を出してもらった」

「退職届を提出」という点で、「自主都合退職」であることが推測できますが、「本人と話し合って」という点で「会社都合退職」なのかもしれませんし、ハッキリとは読み取れません。

取材や捜査で通常業務に支障をきたすとしても、それは自分の施設(又は従業員)に対する職責の範疇であり当然負うべき説明責任等の業務範囲であると考えるのは私だけでしょうか。

もちろん、「他の入所者に迷惑が掛かる」という理由が考えられますが、「五里霧中」なのに担当職員に対してはしっかりと「退職」という結論を示していることに違和感を覚えました。

「五里霧中」なのだから、この担当職員は出勤停止や自宅待機にさせて「今後の捜査の進展を待つ」という選択肢はなかったのでしょうか。

身の潔白が証明されるまでは退職してはいけない

何故、「退職する」という話し合いの結果になったのでしょうか。

ひょっとしたら、責任を感じて自己都合での退職だったのかもしれませんが、私なら不可抗力の事故で退職しようとは思いません。

あまりにも連続して不可抗力の死傷者が出てしまったので、いたたまれなくなり退職を選択したり責任を取って辞めるにしても身の潔白を証明してから辞めた方が賢明です。

白か黒かわからない「グレー期間」が長いと、身の狭さを感じたり業務に支障が出たりして働きづらいのは確かです。

しかし、辞めてしまっても捜査の結果が出るまでは結局は再就職さえできないのです。

「再就職できない」とは

  • 捜査対象者だとわかった上で雇ってくれる会社はない
  • 身分を隠して再就職しても捜査は続くので転職先に迷惑が掛かる上にバレる

ということです。

再就職できないとしたら、収入がなくなります。

つまり、生活が維持出来なくなるのです。

親や兄弟、親類、親友等の援助が受けられる場合は別でしょうが、そうでない場合は、どうやって生き延びていくのか今の私には想像もつきません。

勿論、それは自分が潔白である場合です。

もし自分が黒だったとしたら、猛省し正直に証言を行い罪を償う必要があります。

そして自分が黒だとすれば「退職をする」という選択をすると思います。

現状で、白か黒かは本人にしかわかりませんが、本当に潔白であり事故であるとするならば「退職する」という選択肢を採る必要はなかったのではないかと考えます。

事件性を「100%」という言い方で否定しなかったり否定したりする違和感

◇施設側 遺族に経緯説明

「それいゆ」を運営する医療法人同仁会の折茂(おりしげ)謙一理事長は19日、施設内で脳挫傷などで死亡した女性の遺族と面会し、亡くなった経緯を説明した。他の遺族や負傷した入所者の家族にも順次、経緯を説明していくという。

19日に説明を受けたのは、今月7日に死亡した高山市の石本きん子さん(93)の長女(70)と孫の男性。折茂理事長によると、石本さんが6日深夜に自室で倒れているのを職員に発見され、翌早朝に搬送先の病院で脳挫傷などで死亡したと遺族に話したという。

折茂理事長は報道陣の取材に、遺族側から事件性の有無を聞かれて「100%否定できない」と答えたものの、「私の立場から見ると、ほぼ100%、自分で転倒して死亡した」と述べたことを明らかにした。
これに対し、孫の男性は報道陣に「カメラもなく誰も見ていないということなので、やはり大切なところは分からない」と話した。

【引用元】毎日新聞

理事長の発言で「100%」という数値を多用して

「事件性が100%ないとは言えない」

「ほぼ100%自分で転倒し死亡」

という発言には違和感を覚えました。

「ほぼ100%事故だと思っているが、事件の可能性も捨てきれない」

ということでしょうが、印象からすると

「事件の可能性も捨てきれないが、ほぼ100%事故だと思っている」

ということになります。

二つの文章は文脈を前後逆にしただけで、内容としては同じことを言っているのですが、これは「印象操作やプレゼンテーション等のテクニック」で、最後に言った言葉が相手に強く響くのです。

例えば

「あなたは良いところもあるけど悪いところもあるよね」

「あなたは悪いところもあるけど、良いところもあるよね」

という上記2つは、同じ内容を伝えているのですが、相手に与える印象が全然違ってくるのがご理解頂けるかと思います。

後者の方が印象良く聞こえるはずです。

さて、話をニュースに戻しますが、私は実際にこの理事長の話を聞いたわけではないので、どのような思惑や言い方で発言したのかはわかりませんが、ニュースを読む限りは「100%事故」を後ろに持って来て、「事故という印象を強める言い方をしたのではないか」と推測できます。

しかし、実際は「否定したり、否定しなかったり」で「よくわからない」というのが正直な感想です。

遺族への説明では、

「自分で転倒して死亡した」

と伝えたようですが、遺族は

「カメラも無く、誰も見ていないので大切な部分はわからない」

と述べています。

結局は警察の捜査を待つしかない状況なのです。

介護事故・事件を減らしていくには

こういった類の介護現場での事故や事件が続いています。

よく言われるのが、「介護職員や福祉従事者の処遇の改善をしないから事件が発生する」という意見がありますが、もっと突き詰めて考えていきたいと思います。

確かに、処遇改善をして頂くことはありがたいことです。

しかし、処遇や待遇を改善したからといって、虐待体質や乱暴な職員や資質の無い職員が、一夜にして劇的に変わるわけではありません。

処遇や待遇を改善することによって、「資質の無い介護職員を排除していき、それでも人材が確保できる状況を作り出すこと」が急務ではないでしょうか。

つまり、「処遇の改善と並行して、資質のない職員の排除を同時に行っていく」必要があるのです。

人材不足だからといって、誰でもかれでも雇い入れる現状に歪が生じ悪循環に陥っているのです。

良いケアを実施したいと願う介護職員は沢山います。

そういう人たちにとって、こういう事件は逆風です。

何故なら、介護職員全体の資質やモラルや人間性を疑われてしまうことになるからです。

国や行政や事業所が早急な対応をしなければ、今後もこういった事故や事件が減ることはないでしょう。

以上、次回の考察記事に続きを書きたいと思います。

前回の岐阜県高山市の老健で発生した事件考察記事の第2弾になります。 この介護事件のニュースだけ何故か続報がどんどん飛び...
2017年8月に報道された岐阜県高山市の老健で発生した介護事件の続報が報道されました。 当ブログでもこの事件について記事をいく...

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