生牡蠣って美味しいですよね。
私は大好きです。
しかし、まことしやかに言われていることなのですが「介護職員は生牡蠣を食べるべからず」という暗黙の了解があるようです。
その理由を最初に言ってしまえば「健康管理」「感染予防」ということになります。
しかし、介護職員だからと言って、プライベートな時間に食べるものまで制限されたら堪りませんよね。
だから「暗黙の了解」となっているのだと思われます。
今回は、「介護職員が生牡蠣を食べたらダメ」という暗黙の了解について記事を書きたいと思います。
生牡蠣からの感染症
牡蠣は「海のミルク」とも言われるほど、濃厚でクリーミーな味わいで鮮魚店や居酒屋に行くと喉が鳴ります。
そんなに美味しい生牡蠣には一体どんな感染源があるのでしょうか。
「牡蠣などの二枚貝を生で食べるとノロウイルスに感染するリスク」があります。
ノロウィルスに感染してしまうと
- 仕事を休まないといけない
- 利用者に感染するおそれがある
という状況が発生してしまいます。
感染してしまって仕事を休むのは最悪仕方がないとしても、感染していることに気づかずに介護現場へ出勤してしまうと利用者に感染するリスクが高まり、仮に利用者に感染してしまうととても厄介なことになります。
高齢者は体力が衰え抵抗力や免疫力も低下していることが多いので、最悪「命」に関わってしまう場合もあります。
また、施設という集団生活の場であるので、感染が感染を引き起こし集団感染になり、「利用者も職員も嘔吐や下痢を繰り返すという地獄絵図」になります。
職員が感染してしまうと当然休まないといけませんので、日に日に出勤できる職員も減っていくことで地獄絵図が加速していきます。
ただでさえ少ない職員なのに益々人員不足となり、しかも利用者がウイルスを含んだ嘔吐や下痢を繰り返すのですから地獄絵図のなにものでもありません。
正しい感染症対策(マスク、手洗い、消毒等)をしていても、目に見えないウイルスと闘うのは困難を極めます。
そういった「原因」を作らないためにも「介護職員は生牡蠣(二枚貝)を食べるべからず」という暗黙の了解が存在するのです。
ノロウイルスとは?
そもそも、「ノロウイルス」とはどういうものなのでしょうか。
【発生しやすい時期】
・冬場
【感染しやすい二枚貝】
・牡蠣
・ウチムラサキ貝(大アサリ)
・シジミ
・ハマグリ
【感染経路】
・経口感染
汚染された二枚貝を生の状態や十分に加熱していない状態で食べると、ノロウィルスが小腸粘膜で増殖し、感染性胃腸炎を引き起こします。
【潜伏期間】
・24時間~48時間
・早い人だと6時間~10時間
【症状】
・下痢
・吐き気
・(噴水のような)嘔吐
・腹痛
・発熱(38度程度でそれほど高くならない)
【治療方法】
・対症療法(水分摂取等)
・十分な休息
・排便でウィルスを体外に排出させる為に下痢止めは使用しない
【二次感染経路】
・経口感染
ウィルスのついた手で盛り付けした食事を食べてしまうことで感染してしまう。
・接触感染
感染者が座った便座にウィルスがついていて次に座った人に感染してしまう。
・空気感染
カーテンやカーペットについた感染物が乾燥して舞い上がり、それを吸い込むことで感染してしまう。
【感染ウィルス数】
・10個~100個の少ない数でも発症
【予後】
・3日以内に症状は治まり後遺症もなく予後は良好
・幼児や高齢者は吐しゃ物で窒息したり肺炎を起こしたり脱水になり命に危険が及ぶこともある
【加熱でウィルスは死滅】
・中心部が85度から90度になるようにして90秒以上加熱するとウィルスは死滅する
上記のように、概ね予後は良好であるものの、感染力が強く二次感染が発生しやすい食中毒と言えます。
それでも生牡蠣を食べたい
「理由と理屈は理解できたけど、それでも生牡蠣を食べたい」
と思う場面もあるかと思います。
お店などで、他のメンバーが生牡蠣を美味しそうに食べているのに「介護職員だから」という理由で唇を噛みしめグっと我慢しなければならないのは大変苦痛です。
食べたからといって必ず感染するとは限りませんし、スーパーなどで売られている「生食用」の牡蠣はある程度安全は確保されています(しかし絶対とは言えません)。
我々介護職員は、ストイックに自分を追い込んでドリームをつかむようなボクサーや格闘家やアスリートではないのですから強制的に食事内容の制限までされる謂れはありません。
ただ、自分が感染源とならないためにも、自己管理は必要かと思います。
万が一、ノロに感染してしまった場合
「生牡蠣食べました」
などと上司に報告をすると
「健康管理、体調管理、自己管理意識が足りない」
「生牡蠣を食べたらノロに感染するリスクがあることを知らなかったのか」
などと言われてしまうかもしれません。
そうなってくると生牡蠣を食べるときは、
- こっそり食べる
- 食べたことを他人に言わない
という選択肢しかなくなってしまいます。
「自分の抵抗力や免疫力が低下しているな」
と感じた時は生牡蠣を食べるのを避けた方が無難でしょう。
自由に生きる権利や文化的な生活を営む権利を否定したくない反面、感染のリスクもよくよく理解できますので生牡蠣を食べる時は自己責任で。