介護の都市伝説

特養の七不思議(5)「先がないのに検診」

投稿日:2019年8月18日 更新日:

 

介護の都市伝説とも言える「特養の七不思議」について記事を書きたいと思います。

今回は七不思議5つ目の「先がないのに検診」についてになります。

他の七不思議については、下記記事をご参照下さい。

特養の七不思議(1)「食べられないのに食べなさい」

特養の七不思議(2)「終わりが来ているのに病院へ」

特養の七不思議(3)「望まないのに胃瘻(いろう)」

特養の七不思議(4)「胃瘻(いろう)をつけて注入量は変えない」

特養の七不思議(6)「先がないのに薬たくさん」

特養の七不思議(7)「親には延命、自分は平穏死」

 

 

 

 

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先がないのに検診

 

 

「高齢者は生い先が短いのだから検診なんか受ける必要はない」というような薄情な話に聞こえるかもしれませんが、誰であっても本人が希望すれば検診を受けたい人には受ける自由と権利は当然あります。

では何故、七不思議と言われるのでしょうか。

 

健診と検診は違う

まずは「健診」と「検診」の違いを理解しておく必要があります。

 

健診について

健診とは「健康診断の略」で、定められた検査などで利用者の健康状態や病気の危険因子の有無を確かめるものです(一次予防)。

健診の必要性については「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(第18条)」において以下の条文があります。

(健康管理)

第十八条 指定介護老人福祉施設の医師又は看護職員は、常に入所者の健康の状況に注意し、必要に応じて健康保持のための適切な措置を採らなければならない

また「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について(平成12年3月17日老人保健福祉局長通知)(PDF)」において以下の通知がされています。

特別養護老人ホームの入所者は、身体的、精神的に著しい障害を有する者であることに鑑み、常に入所者の健康状態に注意し、疾病の早期発見、予防等健康保持のため の適切な措置をとるよう努めること

つまり、特養の入所者に対する定期的な健診は法令(省令)や老人保健福祉局長通知を根拠として各都道府県で定められており、これにより「必須」ということになります。

 

検診について

検診とは、特定の疾病を発見するための「検査や診察」のことです(二次予防)。

がん検診が代表的です。

今回の特養の七不思議で言う「先がないのに検診」とは、こちらの検診のことを指しています。

 

 

病気を受け入れることも自然な最期

人間80歳や90歳にもなれば、大体は何かしらの持病を持っています。

その持病が進行したり悪化することはあり得ますし、新たな病気になることもあるかもしれません。

本人や家族の意向が「自然な最期」であるとすれば、それらの病気を受け入れて「病気になることも人生の一部」と捉えることが「自然な最期」だと言えるのではないでしょうか。

特養は「終の棲家(住処)」と言われており、人生の終焉を迎えることができる場所です。

最期を自分らしく過ごすために特養に入所し穏やかな終末期を迎えようとする場合、特定の病気を発見するために積極的に検診を受けることは「自然な最期を迎えるつもりであれば摩訶不思議」ということになります。

介護施設での終末期の看取り介護「不安を感じる介護職員が多い?」

 

 

病気が発見されても手術ができない場合が多い

まだまだ元気な状態であれば、医療機関で治療(癌であれば放射線治療など)や手術も可能でしょうが、高齢になればなるほど「体力的な問題」「手術をした場合の成功率と、しない場合の生存率の天秤」などによって、積極的な治療や手術ができない(又はしない)という判断がされます。

どちらにしても、2018年の日本人の平均寿命は「男性は81.25歳」「女性は87.32歳」という結果が出ています(厚生労働省「平成30年簡易生命表の概況」より)。

つまり「既に平均寿命間近であったり優に超えていたりするため、もう先は長くない」のです。

その段階で考える必要があるのは「病気の治療よりも人生の終わり方(終活)」なのではないでしょうか。

「高齢のため積極的な治療や手術をしないのに、積極的な検診を受けるのは摩訶不思議」ということになります。

 

 

家族の希望

本人が検診を希望していればまだわかりますが、本人は希望していない(又は意思表示ができない)のに家族が検診を希望する場合もあります。

もちろん、大切な自分の親ですから出来るだけ長生きして欲しい気持ちは理解ができますし、キーパーソンなのですから判断権限は当然あります。

しかし、前述したように積極的な治療や手術が出来ないことが殆どですし、そもそも検診を受けるだけで相当な体力を使わせることになります。

高齢になれば、特殊な検査での体力の消耗で体調を崩してしまったり、余計なストレスを感じることで寿命を縮めてしまう可能性もあり得ます。

「長生きをして欲しいがために家族の希望で検診に連れていくことで、逆に寿命を縮めてしまえば本末転倒となるため摩訶不思議」ということになります。

 

 

 

最後に

 

今回は、特養の七不思議(5)「先がないのに検診」について記事を書きました。

特養では定期的な利用者の健康診断は行われていますが、更に検診を受けることは摩訶不思議な状態だと言えます。

もちろん、個人の意思で検診を受けたいのであれば受ける自由と権利はあるわけですが、本人の意思は関係なくなってしまっている所が闇深いと言えます。

また、生物学的にも平均寿命が延びているとは言え、健康寿命で考えると現状で「男女ともに75歳以下」となっています。

「先がないのに検診」よりも「先があるけど終活」を考えていく方が「とても自然」なのです。

 

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