以前、「退職者続出の介護事業所の経営者が無能な5つの理由」について記事を書きました。
実は「儲け」だけを考えると「人員不足のままでいい」と内心思っている経営者もいるのではないでしょうか。
何故なら、介護現場で職員が過重労働となりどれだけ疲弊していようと「自分には関係なく」、同じ売り上げであれば「人件費が少ない方が儲けが多くなる」からです。
介護事業所の倒産件数が増えているという統計もありますが、「人員不足で倒産」というものはあまりなく、原因の多くが「業績不振」によるものです。
つまり、「売上(利用率や利用者数)さえ確保できればあとはどうにかなる」のが介護事業であり、人材確保が進まない原因のひとつになっているのではないでしょうか。
しかし、「人員不足の方が儲けが多い」とは言っても、現場にしわ寄せをすることで利益を多く中間搾取していくことは明らかに不健全な経営方針です。
長期的に見れば「倒産」や「運営不能」に王手が掛かるでしょう。
ですから、人員を確保できない、確保しようとしない事業所は「浮いた儲け」を職員に還元すれば、今より断然マシな経営になるのではないでしょうか。
浮いた儲けを還元することでマシになる理由
普通に考えて、変わらぬ人数の利用者を少ない人員で介護を行っていれば、多くの人員で介護を行った時よりも利益が多くなるはずです。
その「浮いた儲け」は内部保留しているか、法人を私物化している経営者であれば好き勝手に使っているのでしょうが、「職員に還元する」ことで、今よりも断然マシで健全な経営になります。
理由①「職員のモチベーションが上がる」
そもそも「浮いた儲け」は、職員が汗水垂らして過重労働を行ったことで得られた利益です。
その利益を職員に正当に還元することで、間違いなく職員のモチベーションが上がります。
モチベーションが上がることで、やる気がみなぎり良い仕事ができます。
「また次回も還元してもらえるかもしれない」という気持ちになり、働く気力が湧いてきて離職率を下げる効果も期待できます。
普段から「介護の仕事はお金じゃない」と言っている職員には還元しなくても良いのですから、効率良く分配できますね。
理由②「職員の生活が潤う」
臨時ボーナスのように利益を還元することで、今よりも職員の収入が上がり生活も潤ってきます。
収入が増えれば貯金に回したり、趣味にお金を使ったりできるので職員の生活の質も向上します。
ストレスも軽減され、ミスや介護事件も減るのではないでしょうか。
「生活水準の低い職員が利用者のQOL(生活の質)を上げる支援をする」という矛盾からも解き放たれます。
理由③「事業所の評判が良くなる」
「浮いた儲けを職員に還元する事業所」という評判は瞬く間に周辺地域に広まることでしょう。
入職希望者が殺到して、一気に人員不足も解消してしまうかもしれません。
そうなったら「浮いた儲け」がなくなってしまうわけですが、それはそれで職員の負担も軽減しますし、「本来あるべき姿」なので良いのではないでしょうか。
もちろん、職員に評判が良い事業所は「世間や介護サービスを利用しようと考えている人」にとっても良い口コミになります。
利用(入所)希望者も殺到すれば、継続して安定した売り上げを確保することができます。
最後に
今回は、人員不足の介護事業所は「浮いた儲け」を職員に還元すれば、今より断然マシになる理由について記事を書きました。
「浮いた儲け」と言っても、職員の頭数で分配するので金額にしてみれば微々たるものになるかもしれません。
しかし、人員不足のために介護現場では過重労働を強いられているのに、それに対する対価も感謝の気持ちもないことが問題なのです。
お金が全てではないですが、お金を出すことで気持ちも伝わりますし、人員不足も解消できます。
そもそも、そのお金は職員が汗水垂らして利用者を介護をしたことによって発生した利益です。
職員を大切にしないから人員不足になっている己の無能さを真摯に受け止めて頂きたいと思います。