介護の経営学

介護職のやりがいは事業所からの見返りがあって初めて成立するもの「ハーズバーグの二要因理論」

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介護職員の求人にありがちな謳い文句として「やりがいのある仕事です!」という内容のものを多く見掛けます。

しかし、「やりがいがあるかないか」「やりがいが必要か不要か」ということを考える前に、そもそも「介護の仕事に限らず、どんな仕事であってもやりがいはある」のです。

大なり小なりどんな仕事にでもあるような「やりがい」を前面に出してしまう時点で「ブラック臭」を感じる人も少なくないのではないでしょうか。

また、「やりがいは働く側が見出すもの」という風潮もありますが、仮に介護職がやりがいを感じていたとしても見返りや対価が存在しない場合は「やりがい搾取」となってしまいモチベーションが保てなくなり、最終的には退職してしまうという悪循環に陥ってしまいます。

つまり、働き手にやりがいを意識させるためには、事業所側の具体的なやりがいを促進させる体制が必要なのです。

それが見返りであり対価なのですが、それらは棚上げしてやりがいだけを強く意識づけさせようとするから「やりがい搾取」になってしまっているのです。

以下で詳しく解説していきたいと思います。

 

 

 

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介護職のやりがいは事業所の見返り次第

 

 

「見返り」というと後ろめたい気持ちになる人もいるかもしれませんが、介護だろうと何だろうと仕事である以上、見返りや対価があって当然です。

もちろん、諸事情で見返りも対価も準備できない事業所があるかもしれませんが、そうであるならば「介護職にはやりがいがあるとかないとかを問う資格がない」という点には留意して頂きたいところです。

つまり、やりがいの有無は「事業所のモチベーションマネジメント能力が必須」なのです。

 

ハーズバーグの二要因理論

アメリカの心理学者フレデリック・ハーズバーグが19世紀に発表した仕事などのモチベーションを考える論文に、「二要因理論」があります。

この論文によると、「満足」と「不満足」は同一線上にあるのではなく、別々のベクトル(2つの要因)で考える必要があるということになります。

その2つの要因が「動機付け要因」と「衛生要因」です。

 

①動機付け要因

動機付け要因とは、仕事に満足を感じる要因です。

それが、見返りや対価や付加価値になります。

例えば、

  • 仕事そのものの価値やステータス
  • 評価や人事考課基準が明確で将来性がある
  • 頑張った分だけ収入が増えるシステムがある

などです。

つまり、「それらが無かったとしてもすぐに不平不満が出るわけではないにしても、あったとすればやりがいを感じモチベーションが上がる」という要素になります。

 

②衛生要因

衛生要因とは、仕事に不満足を感じる要因です。

例えば、

  • 薄給
  • 劣悪な人間関係
  • 利用者からのハラスメントから介護職員を守る環境がない

などです。

つまり、「それらがちゃんと整備されていないとすぐに不満へと繋がり、仮に解消されたとしても当たり前のことなのでモチベーションが上がるわけではない」という要素になります。

利用者から暴言や暴力を受けなくなったり、何かしらの補償をしてもらえるからと言って、「嗚呼、大満足」「テンション上がるわ~」とはならないでしょう。

給料に関しても、今の2倍3倍になれば満足はしますが、全産業平均と同じになった程度では「やっとか…」という気持ちになるだけでしょう。

何故なら、「それが当たり前のことだから」です。

「介護職の平均月給が30万円突破?」現役介護士が心中穏やかではない5つの理由

 

やりがいを意識させる事業所は見返りを与えているか

前述した動機付け要因と衛生要因はどちらが欠けていてもいけませんし、補い合いながら両立させていくことが事業所に求められているモチベーションマネジメントです。

それが出来ていて初めて「介護職のやりがい」という言葉を発する資格があるのですが、それができている事業所がどれだけあるでしょうか。

つまり、介護職の不平不満を解消することは当然のことで、それ以上の「介護職に満足感を与える環境と魅力が介護事業所にあるかないか」ということが「介護職のやりがいがあるかないか」に直結するのです。

そこには目もくれず「やりがいだけをひとり歩きさせる風潮」こそが、介護・福祉業界の良くない部分の表れだと言えるのではないでしょうか。

 

ポジティブキャンペーンがハードルを上げている

介護業界では、ネガティブイメージを封殺してポジティブイメージで塗り固めていくような方針になっています。

動機付け要因の中に「仕事そのものの価値やステータス」という要素がありましたが、要はそれを前面に押し出している状況ではないでしょうか。

つまり、ポジティブキャンペーンで介護の仕事の良いイメージを定着させることで、「給料や待遇は特に良いわけではないけど尊くてやりがいのある仕事ですよ」と言っているわけです。

それに賛同できる人がどれだけいるでしょうか。

これを「給料や待遇も良くて尊いやりがいのある仕事です」と言えば、それに賛同して「介護職をやってみたい」という人も今より格段に増えるはずです(「仕事の価値やステータスは自分で築き上げるもの」という自己責任論もあるでしょうが今回は割愛します)。

現状を平たく言えば「やりがい搾取をされたい人を大募集」と言っているのと同義です。

やりがい搾取をされたい人など数少ないことでしょう。

衛生要因に目を向けないままポジティブキャンペーンをしてしまうのは、逆にハードルを上げ入職前からふるいにかけてしまっている結果になってしまっていると言えます。

残念ながら、それでは人材確保は難しいのではないでしょうか。

介護の仕事は「やりがいだらけ」の「やりがい搾取」それでは人材が集まらない理由

 

 

 

最後に

 

今回は、「介護職のやりがいは事業所からの見返りがあって初めて成立するもの」ということについて記事を書きました。

給料については介護事業所が介護保険で運営されている以上、事業所単位では限界があることも理解ができます。

ただ、介護職員に「やりがい」を意識させるためには「事業所の具体的なモチベーションマネジメントが必須である」という前提を見失わないようにすることが重要です。

まずは、「今働いてくれている職員を大切にする」「現場の声を拾い上げる」というところから始める必要があるのではないでしょうか。

介護職員の質と量と対価の関係性

 

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