基本的に「寿退社」と言えば女性がする退職方法の俗称です。
結婚を機に会社を退職することを指します。
女性の場合、結婚を機に
- 家庭に入る
- 旦那の収入だけで生活することを選択する
- 旦那と同居するために遠方へ引っ越す
などの理由で勤め先を退職します。
会社とも円満に話がつきやすく理解も得やすいので、独身女性は寿退社に憧れを抱いている人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、その先にあるであろう「幸せな夫婦生活」にも夢と希望が膨らむことでしょう。
介護業界にもそういう類いの「女性の寿退社」は存在します。
しかし、介護業界には類い稀なる「男性職員の寿退社」というものが相次いでいる業界なのです。
今回は「男性介護士の寿退社が相次ぐ異常な介護業界」について記事を書きたいと思います。
男性介護士が「結婚を機に…」
男性が結婚をする場合、一家の大黒柱となり家庭を支えていく必要があります。
独身の時は自分だけが生活していければ良かったのですが、結婚後は様々な責任が肩にのしかかってきます。
反面、夢と希望が膨らみ自分たちがこれから築き上げていくであろう「幸せな将来」に対して
- やる気がみなぎる
- 気力が充実する
という「ポジティブエネルギー」によって「益々、仕事を頑張ろう」と思うことでしょう。
ですから男性の場合、普通は
「結婚を機に退職します」
「結婚をするので辞めさせて下さい」
などと言うことは考えられません。
しかし、介護業界は普通ではありません。
男性介護士が「結婚を機に退職させて下さい」と申し出る「異常な事態」が続出しています。
男性介護士の寿退社が続出する理由
何故、介護業界では男性介護士の寿退社が続出しているのでしょうか。
理由①「介護職員の収入では一家を支えていけないから」
介護職員としての収入では一家を支えていけないということが最大の理由と言えます。
非常にシンプルでわかりやすくて深刻な理由です。
結婚資金を貯めたり、今後一家を支え養っていくために自分の想像する将来あるべき輝かしい家庭生活を築き上げることについて真剣に考えれば考えるほど「明らかに介護職員の収入では実現不可能」という結論が容易に導き出されてしまいます。
ましてや「介護職員は新築の家を購入し「一国一城の主」になることは可能なのか?」という記事にも書いたように、一国一城の主にさえなれない可能性が大きいのです。
理由②「将来性がないから」
介護職員としてキャリアアップしたり資格を取得しても大した増収は見込めませんし、仮に定年まで勤めても手取り月収は30万円に遠く及ばないでしょう。
ただ単に今現在収入が少ないだけでなく「将来に渡って収入が少なく大幅に増える見込みもなく夢も希望も将来性もない」という理由が男性介護士を寿退社させる理由になります。
退職金も勤続30年でも雀の涙ほどでしょうし、老後の生活にも不安しかありません。
今現役の我々の年金が、今後何歳から支給されるようになるのかはわかりませんが、仮に支給されたとしても、介護職員では現役時代の収入が著しく低いため、年金額もそれに見合った少額のものになる可能性が極めて高いと言えます。
現役時代の介護士でさえ生活するのにギリギリ状態なのに、老後の生活はもっと不安要素が大きくなるのです。
そういった現実を真剣に考えると「このまま介護職員として働き続けることは人生の罰ゲームでしかない」という結論が導き出されるのはごく自然なことだと言えます。
理由③「元々辞めたかった」
介護職員として働いていると、現場での業務以外にも人間関係やブラックな職場環境に心身共に疲弊してしまうことはよくあることです。
常々「もう辞めたい」と思ってはいたものの、上司に言い出せずにいたり、伝えているのに引き留められていたりする場合に「結婚を機に…」と言い出すのはとても有効な手段です。
上司に「介護士の収入では生活していけない」「家族を養っていけない」「一家で路頭に迷ってしまう」ということを真剣に伝えれば男性介護士であっても「寿退社」をすることが出来るはずです。
しかし、女性のそれとは違って「あまり喜ばしいものではない」というのが特徴的です。
最後に
今回は「介護業界に続出している男性介護士の寿退社の理由」について記事を書きました。
仮に男性介護士が
「これからも介護職員として働き続けたい」
「介護の仕事が好き」
「介護職員を辞めたくない」
と思っていても、結婚を機に自分の将来設計をしていくと「辞めざるを得ない」「辞めるという選択肢以外はない」という結論が導かれることになります。
また、元々辞めたいと思っていた人にとっては「辞意を伝える良いチャンス」であるとも言えます。
ましてや、まだまだこれから先が長い結婚適齢期の男性介護士なら、進路変更の選択肢は他にも多く残されています。
そういった理由で「介護業界には結婚を機に退職する男性職員が相次ぐ類い稀なる業界」なのです。
男性介護士の寿退社を無くしていけるような活気ある業界を目指して欲しいと思います。