介護施設に従事する介護職員は、利用者の居室内の清掃やシーツ(リネン)交換も行います。
こういった単純作業を介護補助員や外注業者などに依頼できれば、介護士に時間的な余裕もできますし利用者に接する機会も増えるのですが、まだまだ介護士が走り回りながらシーツ交換なども行っている所も多いようです。
さて、そのシーツ交換ですが一体どれくらいの頻度でやっているのでしょうか。
今回は、「介護施設でのシーツ交換の頻度」について根拠も併せて記事を書きたいと思います。
介護施設でのシーツ交換の頻度と根拠
介護施設でのシーツ交換はどんな根拠によってどれくらいの頻度で行われているのでしょうか。
シーツ(リネン)交換とは
シーツ交換とは読んでそのまま「シーツ類を交換すること」です。
【交換するもの】
|
介護施設によって若干変わってくるかもしれませんが、基本的には上記になります。
他にも「ベッドパッド」「防水シーツ(ラバーシーツ)」等を使用していればそれらも交換することになります。
上記一式を交換することを「シーツ(リネン)交換」と呼びます。
シーツ交換の頻度
介護施設でのシーツ交換は「定期的に1週間に1回~2週間に1回の頻度」で行われています。
独自調べでは、「1週間に1回」が多いようです。
但し、それは「定期的な交換」であって、汚れている場合などは「適宜交換」します。
ですから、介護施設でのシーツ交換は、「定期的に1週間に1回~2週間に1回行いつつも適宜交換を行っている」ということになります。
シーツ交換の頻度の根拠
介護施設(特養)についての根拠条文になりますが、以下になります。
第二十六条 特別養護老人ホームは、入所者の使用する食器その他の設備又は飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、医薬品及び医療機器の管理を適正に行わなければならない。
【引用元】特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第四十六号)
(介護)
第13条第6項
指定介護老人福祉施設は、入所者に対し、前各項に規定するもののほか、離床、着替え、整容等の介護を適切に行わなければならない。
上記2つの条文によると、シーツ交換の頻度に関する規定はなく「衛生的な管理に努め」「衛生上必要な措置を講ずる」「適切に行わなければならない」ということが書かれています。
つまり、「常識の範囲内の頻度でシーツ交換を行う」ということになります。
事業所や職員の考える常識(又は施設内の安全衛生委員会の基準)によって左右されるわけですが、「価値観は人それぞれでも常識は人それぞれではない」ということには注意しなければなりません。
したがって、多くの介護施設が「1週間に1回~2週間に1回の頻度」で定期的にシーツ交換を実施していることに鑑みると、「シーツ交換の頻度の常識的な範囲は1週間に1回~2週間に1回である」ということになります。
シーツ交換の実情
各施設でシーツ交換の頻度を決めて実施されているでしょうが、介護現場という性質上、定期的な交換よりも早い段階で排泄物などで汚れてしまいシーツを交換する必要があることが多いのが実情です。
汚染の拡大を防ぐために「防水シーツ」などを使用していますが、その範囲外が汚れてしまうとシーツそのものを交換しなければなりません。
人員不足だったりワンオペ夜勤の場合は、シーツそのもの(又は一式)を交換する時間的余裕がないため、「汚れたシーツの上に防水シーツを被せて汚れを隠す」という不適切な対応をする介護職員が出てきたりします。
気持ちはわからなくもないのですが、シーツ交換の頻度以前に「衛生的な管理に努める」とされている以上、手間が掛かっても交換するのが正解です。
もちろん、シーツよりも利用者の安全の方が優先されるので、シーツ交換をすることによって他利用者の対応ができずに危険が生じてしまったら本末転倒です。
後から交換するつもりだった場合でも、ワンオペ夜勤だとヘトヘトになってしまったり忘れてしまうこともあります。
早出や日勤帯の職員に申し送りをしておく必要がありますが、日勤帯も時間が無かったり忘れてしまい「結局そのまま放置」ということもあり得ます。
忘れてしまうということが無いようにする必要がありますが、「そこまで手が回らない」「わかっているけど余裕がない」という状況は改善していかなければ悪循環に陥ってしまうことになります。
ですから、現状では「介護職員が無理をしなければシーツ交換ができない」という実情があることも含みおきください。
最後に
今回は、介護施設でのシーツ交換の頻度とその根拠について記事を書きました。
多くの介護施設では「1週間に1回~2週間に1回及び適宜」の頻度でシーツ交換をしています。
シーツ類が汚れたままにならないように努めてはいますが、人員不足やワンオペ夜勤によって手が回らないという実情もあります。
適切な業務遂行のためには、事業所が人員を確保したり介護補助員を雇用したり業者に外注するなどの対応を取っていく必要があります(現状で問題なくできているのなら良いですが)。
「たかがシーツ交換、されどシーツ交換」なのです。