今現在、介護職員として働いている人が介護職員になろうと思ったキッカケや介護の仕事を選んだ理由は十人十色でしょう。
例えば、
- ハローワークの職員に勧められたから
- 就職先がなかなか決まらず致し方なく
- 生活していくためにとりあえず
- 収入は低空飛行ながら安定しているため
などがキッカケとなった人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
私も似たようなキッカケで介護業界に飛び込んだわけですが、介護職員になるための就職面接での志望動機としては使えません。
何故なら、どちらかと言うとネガティブな志望動機になるからです。
ですから、面接の際に志望動機や介護の仕事を選んだ理由を伝える際はポジティブなものにしなければなりません。
要は、本音と建前です。
今回は、介護職員になるための就職面接で使える志望動機やキッカケ、介護の仕事を選んだ理由のポイントについて記事を書きたいと思います。
介護職員の就職面接で使える志望動機や選んだ理由のポイント
介護職員だろうと他の職種であろうと、就職面接での志望動機やその仕事を選んだ理由は「前向きなもの」「ポジティブなもの」が好まれます。
それも含め、以下でポイントを詳しく解説していきます。
ポイント①:ポジティブなもの
当然ですが、志望動機はネガティブなものよりポジティブなものの方が良いのは間違いありません。
ですから、多少は着飾ったりネガティブをポジティブに転換させていくことが必要です。
だからと言って、媚びを売ったり嘘で塗り固める必要はありません。
面接は、あくまでお互いを知るための場ですから、面接官に自分の人となりが伝わるように自分の言葉で志望動機を伝えるようにしましょう。
また、前職や辞めた会社の悪口や批判などのネガティブな発言も避ける方が無難です。
面接の場だけで自分の全てを知ってもらうことは不可能ですし、悪気はなくても誤解を招いてしまう可能性もあるからです。
介護職の求人では、「奇抜で特殊な人」や「独特のオリジナリティ溢れる人」よりも「無難な人」を求めているので、ネガティブに偏らないように当たり障りなく受け答えしておくことが大切です。
ここで張り切って、
「高齢者が大好きだから志望しました」
「ユマニチュードを実践したくて志望しました」
「自分を犠牲にしてでも誰かの役に立ちたくて志望しました」
という介護モンスターのような発言をする人もいるかもしれません。
確かに、現場には入らない業界の人が好むような内容ではありますが、過剰なポジティブアピールや必要以上に媚びたものにしなくても良いでしょう。
何故なら、介護の仕事は高齢者が好きでなくとも勤まりますし、現場の現実を知っている職員はユマニチュードについては知識があったとしても「実践しなくてはならない」などと口にすることはまずありませんし、介護は自己犠牲で成り立たせるものでもないからです。
面接官が現場を知らなかったり現場には入ったことがないような人物であれば上記のような内容が絶賛されるかもしれませんが、そもそも常に人材不足の介護事業所では絶賛されなくても普通に採用されます。
多くが「落とすための面接ではなく明らかにダメな人をふるいにかけるだけの面接」であるため、過剰に介護業界の綺麗ごとに寄せて「介護現場の常識は世間の非常識」と言われないような前向きな志望動機にすることが重要です。
ポイント②:具体的なもの
志望動機は抽象的なものではなく具体的なものにする方が面接官にも伝わりやすくなります。
抽象的なものの例としては、
「やりがいがある仕事なので志望しました」
「介護スキルを身につけたいと思い志望しました」
「介護の仕事に興味があったため志望しました」
などです。
喉から手が出るほど人材が欲しい介護事業所であれば抽象的な志望動機でも問題なく採用される可能性は十分にありますが、本気で人材の質や意欲を見極めようとしている事業所や面接官の能力が高い場合は抽象的な内容は好まれません。
何故なら、具体性に欠けると意欲が伝わりにくくなることと、あまりにも定型文すぎて見飽きている上に「どこかで拾ってきたような志望動機」という印象が強くなってしまうからです。
ですから、志望動機に具体性を持たせるために、もう一歩掘り下げたり自分の経験を交えて伝えることが大切です(過剰に個を演出する必要はありませんが)。
例えば、先ほどの抽象的な志望動機に対して
「そもそもどんな仕事でもやりがいはあると思われるが、介護に特化したやりがいとは具体的に何ぞよ?」
「介護スキルとは具体的に何ぞよ?」
「介護スキルを身につけたいと思った理由は何ぞよ?」
「介護の仕事に興味を持った理由は何ぞよ?」
という部分を具体的、且つ、過去の経験を交えて伝えることで自分の意欲が伝わりやすくなります。
具体的な志望動機から自己PRを導き出す
更には、その具体的な志望動機を踏まえた上で、自分は
- どのようなスタンスで
- どういう将来像を描き
- どういう強みがあり
- 仕事にどう生かしていくか
ということを考察し言葉にすることで「自己PR」を導き出すことができます。
つまり、「目標」をプラスするのです。
ポイント③:その会社を選んだ理由
志望動機には、大きく分けて「介護の仕事や介護業界を選んだ理由」と「介護業界の中でも更にその会社を選んだ理由」の2つがあります。
介護の仕事を選んだ理由や志望動機は前述してきましたが、では、その中から更にその事業所(面接を受けている会社)を選んだ理由や志望動機はどのように伝えればいいのでしょうか。
考えられる事業所への志望動機としては、
- 事業所形態
- 会社規模
- 給与面や福利厚生
- 通勤時間
- 社風
などになります。
以下で詳しく見ていきたいと思います。
1.事業所形態
介護業界には様々な事業所形態(サービス形態)があります。
まずは大きく分けて「居宅介護系」と「施設介護系」がありますし、更にそれぞれ細分化された事業所形態になります。
例えば、居宅介護系であれば、
- 訪問系介護サービス(ホームヘルプサービス、訪問入浴サービスなど)
- 通所系介護サービス(デイサービス、デイケアサービスなど)
- 入所系介護サービス(ショートステイなど)
- 複合系介護サービス(小規模多機能など)
などがあります。
施設介護系であれば、
- 特別養護老人ホーム(略称:特養)
- 介護老人保健施設(略称:老健)
- グループホーム(略称:グルホ)
- 介護付有料老人ホーム
などがあります。
それぞれ介護サービスの内容が異なりますし、同じ事業所形態でも事業所ごとにやり方が違う場合もあります。
ですから、それぞれの特徴を把握した上で、「自分に合った事業所形態である」ということを志望動機としてみるのもいいのではないでしょうか。
但し、介護経験者であればある程度は事業所形態の特徴を把握していますが、全くの未経験者であれば「何が何だかサッパリわからない」ということも往々にしてあり得ます。
事前に勉強する方法もありますが、全ての事業所形態の特徴を調べて自分の向き不向きと照らし合わせていく作業は結構な時間が掛かります。
ですから、自分が決めた事業所の事業所形態について徹底的に調べてそれを志望動機に織り込む「後付けの方法」もありではないでしょうか。
2.会社規模
会社の規模を事業所の志望動機とするのもありでしょう。
会社規模が大きい場合は、「大手の会社なので安定している」などと言うことができますし、会社規模が小さい場合は、「社長と従業員との距離が近く自分の経験や力を発揮できる環境で働きたい」などと言うことができます。
3.給与面や福利厚生
単純に「給与面や福利厚生が他の会社より良かったから」という志望動機は、「本心に近いもの」であるが故に注意が必要です。
もちろん、多くの人は「お金のために」「生活を維持向上させるために」働くのですから、1円でも給料が高くて福利厚生も手厚い事業所が良いのは間違いありません。
しかし、面接の場では志望動機とはしない方が良いのも事実です。
何故なら、
- 下心を抱いているような良くない印象を与えてしまう
- 他に条件の良い会社があったらすぐに浮気(転職)すると思われる
などの”自分にとって”マイナスになってしまう可能性があるからです。
もちろん、給与面などのお金のことはしっかりと話しをして決めておくことが大切ですが、それを志望動機としてしまうことは避けた方がいいかもしれません。
「そんな考え方の会社ならこちらから願い下げだ!」という考え方もあるでしょうが、そうすると自分から選択肢を狭めてしまうことになってしまいます。
もっと言えば、「うちの給料や福利厚生に魅力を感じて来た人材は見る目があって素晴らしい人材だ」と思う経営者がいたら、「そっちの方が言い知れぬ怖さ」や「経営能力に違和感」を感じてしまいます。
要は、こちらとしても「本音と建て前を使って大人の対応をする」ことが大切なのです。
4.通勤時間
通勤時間もその会社を選んだ理由のひとつとしてありではないでしょうか。
「自宅からの職場までの距離が近い」ということはお互いにとってメリットになります。
従業員にとっても短時間でストレスが少なく無駄に早起きをする必要もなく通勤できますし、介護事業所にとっても自然災害などで道路状況や公共交通機関がストップしてしまった時でも自宅から近い職員は出勤してもらえる可能性が高くなります。
自然災害でも出勤しなければならない状況は、従業員にとってはデメリットの部分も大きいかもしれませんが、そう何度も発生するわけではありませんし、そもそも距離が遠いほど「出勤できるのか、しなければならないのか、どうなるだろうか」などと心配事も増えてしまいます。
また、通勤時間を志望動機とした場合は、「意欲は伝わりにくい」かもしれませんが、他の志望動機と合算させてもいいでしょうし、人員不足の介護事業所では通勤時間だけの志望動機でも問題なく採用となることも十分あり得ます。
台風などの自然災害でも出勤をしなければならない介護職員の実情については下記記事にまとめていますのでチェックしてみて下さい。
5.社風
介護事業所の事業所形態やサービス形態には様々なものがありますが、当然、社風も様々です。
社会福祉法人であれば、母体が仏教やキリスト教などの宗教系の場合が多いですし、他にも法人形態は株式会社、NPO法人、合同会社などがあり、それぞれ社風があります。
ホームページで確認すると手っ取り早く調べることができます。
その社風を志望動機に織り込むことで、その会社に向けた志望動機となり意欲が伝わりやすくなります。
最後に
今回は、介護職員になろうと思ったキッカケや志望動機、介護の仕事を選んだ理由について就職面接で使えるポイントをご紹介しました。
人員不足で喉から手が出るほど人材を欲している介護事業所であれば、志望動機をそこまで深く考えなくても採用となる場合があるのも事実です。
ただ、中にはしっかりと選考している介護事業所も少なからず存在しますので、この記事が志望動機を伝える際のご参考になれば幸いです。
「志望動機の例文5選」は次回の記事でご紹介していきます。