食事介助における「速さの美学」とは?危険はないの?目安時間は?

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介助全般に言えることですが、介護現場では「速さの美学」というものが存在します。

実際にはそういう美学は存在しないのですが、介護職員や事業所全体で「ケアを速く済ませられる職員は手馴れていてスムーズな対応ができる良い職員」という風潮があるのも確かです。

今回は「食事介助での速さの美学」について「利用者の尊厳は?」「喉詰めやムセ込みのリスクは?」「ベテランでも速さへの過信はまずいのでは?」ということについて記事に書きたいと思います。

「速さの美学」の背景

介護現場での「速さの美学」には一体どのような背景があるのでしょうか。

①仕事は速い方が格好いい

介護現場に限らず、どの職業であっても仕事が速い人、テキパキとこなす人が重宝されます。

「あいつは仕事が速い」 「できるヤツだ」 などと言ってもてはやされます。

上司としても、同じ時間で多くの仕事がこなせる「出来る」部下は可愛いものです。

その延長で、介護現場でも同じ時間で多くのケアを行える職員を「出来る職員」という捉え方をします。

業務や動作自体の速さもあるでしょうが「効率がいい」「ポイントを抑えている」という点も評価に繋がるのだと思います。

この点については異論はありません。

②人員不足なので速くしないと業務が回らない

介護現場はご周知の通り、今日も明日も人員不足です。

本来、4人の職員でこなすケア業務を2人~3人で行っています。

そうなると、一人ひとりの職員が1.5人~2人分の仕事をしないと業務が回らないのです。

その為には、ケアのスピードを上げなければなりませんし効率化も必要になってきます。

しかし、そもそも人員不足は現場職員の責任ではありませんし、2倍の業務をこなしても給料が増えるわけではありません。

ですから、自分に与えられた環境の中で、自分がこなすべき業務を対価の分だけ働けば良いのですが、そうすると利用者にしわ寄せがいきます。

そういう結果になってしまうのも人員不足の問題なので事業所側(若しくは、そもそもの人員配置基準)の責任になります。

しかし、中には自己犠牲を払い2人分の業務をこなす職員や速さを求めて業務を何とか回そうとする職員が現れます。

周りや上司から

「あのスタッフはあんなに速く仕事ができるのに、何故あなたは遅いの?」

「あなたがもっとスピードアップできれば、利用者も他のスタッフも今より助かるよ」

などということを言われます。

しかし、実際は仕事が遅いわけではなく、普通にやっているだけなのです。

自己犠牲を払う職員と比較されることで、「あなたは仕事が遅い」という烙印を押されてしまいます。

人員不足が故に「時間に余裕を持った介護ができないから速さを求める」という背景があるのです。

食事介助における「速さの美学」

介護現場では高齢者という人間を相手にしているわけですから、速いだけでは問題があります。

利用者のスピードに合わせる必要がありますし、尊厳を守らなくてはなりません。

食事介助は特に「喉詰めや誤嚥」などの生命に関わるリスクが高いケアになります。

高齢者になると、咀嚼や嚥下機能も衰えてきているので慎重に介助をしなければなりません。

一口ずつ口に運び、利用者の咀嚼・嚥下を確認してから次の食事を口に運びます。

これを誤ると、喉に詰めたりムセ込んで誤嚥をしたりする危険があります。

リスクが高いにも関わらず、介護現場では「速さの美学」で、10分足らずで全量介助させたり、そのことを自慢したり「素晴らしい」と賛美する風潮があります。

しかし、介護現場での食事介助での死亡事故が相次ぎ、介助の状況や方法によっては「事故ではなく事件」として取り扱われたり、訴訟に発展するケースが多発しているので、食事介助で「速さの美学」を言うことは少なくなってきたように感じます。

逆に、このご時世でまだそんなことを言っている人や事業所があれば「ちょっと恥ずかしい人」「情報弱者」「要注意人物」の気がします。

では、ゆっくり介助するのが良いのかと言うとそうでもありません。

ゆっくりすぎると「満腹中枢」が働いて食事が進まなくなりますし、早く次の物を口に運んで欲しいのにゆっくりすぎるとストレスを与えてしまう原因にもなります。

職員にとっても、食事の片づけが遅くなったり、次の業務を開始する時間が遅れたり、休憩時間が無くなってしまう可能性もあります。

ですから、「利用者の状態に合わせて介助する」ことが正しい食事介助になります。

何事も、極端とか一律ではなく、状況に適した臨機応変な対応が必要なのです。

食事介助の目安時間は?

では、食事時間の目安はあるのでしょうか?

「速いのがダメならゆっくり時間に余裕をもってやろう」というのも極端過ぎることは先程申し上げました。

つまり「状態に合わせた介助」が重要なわけですが、利用者の食事がなかなか進まないからといって、食事介助にゆっくり1時間も掛けていたら、それこそ他の業務が回らなくなる上に、利用者だって体に掛かってくる負担も大きくなります。

体力や満腹中枢も利用者によって状態が違うのかもしれませんが、食事介助の目安は「概ね30分を限度」に食事介助を終えるのが良いと言われています。

全量摂取できていようと、できていなかろうと、です。

それは利用者のためでもあり、自分のためでもあり、他の業務のためでもあります。

目安時間を設定することで、利用者に負担を掛けすぎず、次の業務に移ることができます。

もちろん、利用者の状態によってもっと早く終わる場合もあるので、あくまで「限度の時間」です。

どんなにゆっくり介助していてもムセたり誤嚥してしまう可能性がありますが、速いスピードで口に押し込むように介助して誤嚥してしまうのと、嚥下を確認しながら介助をしていたのに誤嚥してしまったのでは、責任の大きさに天と地との差があります。

利用者のためにも、自分のためにも、「20分~30分ほどの時間を目安に状態に合わせた食事介助」をしていきたいところです。

最後に

今回は「介護現場における食事介助での速さの美学と目安時間」について記事を書きました。

以前、介護スタッフから「もっと時間に余裕を持った介助がしたいです!」と言われたことがあります。

私は「どうぞどうぞ」と返答したのですが、そのスタッフの食事介助を見ていると、利用者に一口食事を運んだあとに、自分はリビングのテレビに釘付けになり利用者のことを見ていませんでした。

既に利用者は嚥下を終え、次の食事を待っているのにそのスタッフはテレビが気になるようです。

そして数分後に我に返り利用者の口に食事を運んでいました。

「それは誰がどう考えても余裕を持った介助だとは言えない」

「介助中に利用者を見ずにテレビを観ることが時間に余裕を持つということじゃない」

という残念な話もありました。

また、最近では「おやつを喉に詰めて亡くなった入所者を注意深く見ていなかった介護施設の職員が有罪判決」になりました。

介護従事者としてショッキングなニュース報道がありました。 入所者がおやつのドーナツを喉に詰まらせてお亡くなりになった「事故」が...

時間に余裕を持った介助ができないのは「人員不足」が大きく関係してきますが、「食事介助においては20分~30分を目安に利用者の状態に合わせた介助をすることを推奨」致します。

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