介護の基礎知識

「介護に正解はない」ということの3つの危険性

投稿日:2019年5月10日 更新日:

 

上司の発言や介護の研修などで「介護に正解はない」というセリフをよく聞きます。

これの意味するところは、「正解はひとつではない」「色々なやり方があって良い」ということになろうかと思います。

ですからこの言葉を聞いた新人職員などは

「ああ、介護ってなんてグローバルでクリエイティブな仕事なんだろう」

というキラキラとした気持ちを持ち「やりがい」を感じやすくなるのも特徴的です。

しかし、この言葉だけが独り歩きをしてしまうと「おかしな介護の言い訳や大義名分」として不適切なケアを容認してしまう危険があります。

ですから、中には「介護に正解はないが不正解はある」と言って苦言を呈している人もいます。

今回は「介護に正解はないということの3つの危険性」について記事を書きたいと思います。

 

 

 

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「介護に正解はない」ことの3つの危険性

 

 

「介護に正解はない」という言葉が何故、危険なのでしょうか。

その危険性を具体的に見ていきたいと思います。

利用者一人ひとり

  • 性別
  • 年齢
  • 生活歴
  • 過去の職歴
  • 趣味嗜好
  • 考え方や受け止め方(価値観)
  • 現病、既往歴
  • 現在の体調や気分

など、ありとあらゆるものが異なるので、「どういう方法でどういう対応をする必要があるか」は利用者ごとに変わってきます。

また、同じ利用者であっても、その時の体調や気分によって、臨機応変に対応を変えていく必要があります。

つまり、「介護に正解はない」とは「臨機応変な介護をしていく」ということであるとも言えます。

 

危険性①「職員の価値観が違う」

利用者が十人十色なように、職員も十人十色です。

色々な人間が居れば、個々で価値観も違ってきます。

価値観が違えば「適切な介護」の基準も変わってきます。

「介護に正解はない」と「介護に基準はない」を混同することはとても危険です。

まずは「世間の常識や倫理観」と「関係法令やガイドライン」に則った上で介護を行っていかないと「無法地帯」になってしまいます。

ですから、「何でもかんでもやっていい(又はやらなくていい)」という考え方の職員が出てきてしまうことは危険な状態だと言えます。

 

危険性②「正解を判断する基準がない」

ある程度大筋の基準やガイドラインは示されているものの、臨機応変なその場その場の対応に関しては現場で考えて行っていく必要があります。

それが正解かどうかの判断は一体誰がするのでしょうか。

普通に考えれば「利用者自身」です。

利用者にとってありがたかったり、気分が良くなる介護であれば「正解」と言えなくもないでしょう。

しかし、重度の認知症者であったり、意思疎通が図れない利用者であればどう感じているのか判断できません。

また、「過剰な介護」や「特別な介護」をすればするほど利用者は嬉しく感じるものです。

しかし、過剰でやり過ぎの特別感を持たせるような介護は相応しいとは言えず「統一した介護」を否定する危険な介護です。

とすると、その判断を利用者だけに委ねてしまうことも危険です。

「利用者からのセクハラを受け入れて上手にいなすことがプロであり粋であり神対応」と賛美する報道もありましたが、これも正解を判断する基準がないために発生している惨状だと言えます。

【介護業界の闇】利用者に「胸を触らせること」が神対応なのか

 

例えば、よくある議論で「利用者にちゃんづけをするのは良くない派」と「状況に応じてありなんじゃないの派」の意見を目にします。

「介護に正解はない」のだとすれば、答えは「どっちも正解」ということになります。

判断基準がないために、こういった議論が発生しがちです。

結局は「経営者や上司」の判断によって正解が左右されることになるので、経営者や上司の能力や価値観によって各事業所で基準にバラつきがあることは危険な状態です。

 

危険性③「言い訳や大義名分に使われる」

職員個々の価値観が違い、その正解を判断する基準もない(大体は上司)ために、「多様な介護」「多角的な視点」というもっともらしい言葉を持ち出して「間違った介護の言い訳や大義名分」に使われる危険性もあります。

明らかに法律に抵触するような介護は論外として、先ほどご紹介した「セクハラを受け入れる介護士」のような「スタンドプレー」をしてしまうケース然りです。

また、職員側の都合で「臨機応変に介護方法を変更」してしまう場合もあります。

「介護に正解はないはずだ」

「臨機応変な介護ができるからプロだ」

「もっとグローバルな視点を持ってクリエイティブな介護をするべきだ」

などと言うことで自分を正当化する大義名分になることは危険です。

ひとつの判断基準として「統一した介護と矛盾していないか」という視点で考えてみる必要があるのではないでしょうか。

スタンドプレーが伝染し同調圧力となることで職場環境が悪化する介護現場の実情

 

 

 

最後に

 

今回は「介護に正解はない」と言われることの3つの危険性をご紹介しました。

介護現場では常に人員不足で業務負担が大きく、利用者一人ひとりに行き届いた介護を提供するのも難しい現状があります。

その中で、職員側の都合で臨機応変に介護方法を変更してしまう場合もあるのは、リアル現場を知る立場としては「正直、仕方がないこと」だと思っています。

しかし、それは「介護に正解がないから」ではなく、「人員不足で満足な介護が提供できないから」だということは理解しておく必要があります。

人員不足で正常な介護ができないのは、上司や事業所や業界が改善していかなければならない問題です。

その部分をハッキリとさせた上で、「介護には正解がない」という言葉を独り歩きさせずに、まずは「統一した介護」ができるような環境を整えていく必要があります。

「統一した介護」は一番未熟な職員に合わせなければならないのか

 

 

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