介護職員も人間ですから、イライラしたりムカっとすることだって当然あります。
そんな感情のままでは正常な業務が行えなくなってしまうため、何かしらの対策が必要なのですが、最近よく言われているのが「アンガーマネジメント」です。
要は、介護職員自身が「怒りをセルフコントロールしましょう」というものです。
アンガーマネジメントはただ単純に怒りを抑え込んだり我慢をするというものではなく、自分の怒りポイントを事前に知っておき感情に任せて物を言ったりしないよう「怒る場合でも上手な怒り方」をしたり、「怒りで自分を見失ってしまわないように」したりするための感情の管理をすることです。
最近では介護事業所がアンガーマネジメントの研修をしたり、社外の研修に介護職員を出席させるなど注目が集まっています。
しかし、実際問題、アンガーマネジメントは介護現場でも通用するのでしょうか。
今回は、「介護現場でのアンガーマネジメントの効果と問題点」について記事を書きたいと思います。
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介護現場でのアンガーマネジメントの効果と問題点
アンガーマネジメントを一言で言うと「イライラと上手に付き合う」ということです。
では、介護現場ではイライラと上手に付き合うことは可能なのでしょうか。
アンガーマネジメントにおける怒りを逃す6秒ルール
アンガーマネジメントで推奨されているのが「怒りを逃す6秒ルール」です。
怒りの感情はそう長くは続かないため、「6秒間やりすごすことができれば怒りの感情が完全に鎮まるとまではいかないにしても最悪の事態は回避できる」というものです。
深呼吸をしたりなるべくリラックスできるように感情をコントロールすることも有効でしょう。
介護現場では6秒ルールは通用するのか
アンガーマネジメントでは、怒りを鎮める6秒ルールが推奨されていますが、実際の介護現場では通用するのでしょうか。
問題点①「6秒は意外と長い」
利用者の対応をしている中でイライラを感じてしまうことが多い介護現場で、この6秒ルールを実行した場合、6秒間利用者の対応をやめるわけですから、利用者が転倒や転落する危険性が出てきます。
たかが6秒ですが、動ける利用者が転倒するには十分すぎる時間です。
6秒間、時間を置いて深呼吸などをするにしても、まずは「利用者の安全を確保してから」ということになります。
問題点②「結局は対応が終わるまでイライラが続く」
6秒ルールで自分の怒りのコントロールが可能だとしても、利用者の対応が終わるまでは再びその利用者の介助をしなければなりません。
つまり、結局はその後もイライラや怒りが繰り返されることになります。
イライラするたびに6秒ルールを実行していたら、いくら時間があっても対応が終わりません。
あえて笑顔を作るという手法もあるようですが、イライラを抑えるために引きつった笑顔になってしまったら余計に怖い印象を与えてしまいかねませんので注意が必要です。
どうしてもイライラしてしまう場合は、二人介助にしたり他の職員に対応を代わってもらうなどしましょう。
問題点③「そもそも夜勤はワンオペ」
6秒ルールを実行したり二人介助や対応を交代してもらうと言っても、職員一人体制のワンオペ夜勤ではなかなかそれも難しくなってしまいます。
結局は、最初から最後まで自分が対応をしなければならないからです。
また、コールや対応が重なってしまった場合は6秒ルールどころではなくなってしまいます。
アンガーマネジメントでは普段からの自己分析や自分の価値観の捉え方を変えていくことが大切であるとされているため、事前にそれらができていないとなかなか介護現場での即効性を求めてしまうことは難しいのかもしれません。
まずは怒ってばかりいる職員が研修へ行って効果を試して欲しい
利用者に怒ってばかりいる介護職員がいれば是正してもらう必要がありますが、アンガーマネジメントの効果があるかないかについてはそういう人も含め、部下や同僚に対しても怒りっぽい人にも優先的に研修に出席して欲しいと思います。
例えば、
- 怒ってばかりいるお局職員
- 口うるさくて人に噛みついてばかりいるオバヘル
- 部下を頭ごなしに怒る上司や経営者
などです。
それらの人がアンガーマネジメント研修に参加して、内容をちゃんと理解してテクニックを身につけることができれば非常に平和な職場になるはずです。
平和な職場になれば、介護職員たちのイライラも減るため一石二鳥になります。
しかし、研修に行って来ても何も変わらないのであれば「アンガーマネジメントの効果がなかった」という結論づけができます。
実際のところは効果がないというよりも「結局は自分次第」ということにはなるのでしょうが、研修を活かせない上司の下で働くのもなかなか不幸な状況です。
最後に
今回は、「介護現場でのアンガーマネジメントの効果と問題点」について記事を書きました。
介護現場では6秒ルールなどの即効性は全くないとは言いませんが、難しい点があるのも事実です。
本当にアンガーマネジメントを活用していこうと思ったら、普段から自己分析を行い自分の価値観の改革をしていくことが必要です。
そして、まずは怒ってばかりいる上司が率先してアンガーマネジメント研修に出席してもらい、その効果を現場で発揮して欲しいところです。