介護職員だって体調を崩してしまう時があります。
そんな時は、その旨を会社の電話して休むことが必要です。
それは、自分のためでもあり、利用者のためでもあります。
一般的に考えると、「体調不良であれば休む」ということは当たり前のことになるのですが、人員不足の介護事業所では「とりあえず出勤してから考えよう」などと言うトンデモナイ上司が居ることは過去記事にも書きました。
そんな頭が沸いていて気が確かではないことを言う上司は滅多に居ないでしょうが、共通して言えるのは「体調不良の症状を根掘り葉掘り聞かれる」ということです。
「頭痛がある」「腹痛がある」「熱がある」「熱はいつからで何度くらいか」「症状はいつから出ているのか」「何か変な物を食べた記憶はあるか」等、プライベートにまで踏み込んだ質問がされることになります。
正直、こちらとしてはしんどくて早く会話を終わって病院受診をしたり、ゆっくりと休みたいのに、長々と根掘り葉掘り質問をされることでもの凄くストレスを感じたり、「仮病を疑われているのか?」と疑心暗鬼になったりします。
今回は、「介護職員が体調不良で会社を休む時に、症状を根掘り葉掘り聞かれる理由」について記事を書きたいと思います。
症状を根掘り葉掘り聞かれる理由
体調不良なのですから、せいぜい「熱が38℃あるので今日と明日は休ませて頂きます」程度の内容で充分な理由付けになるはずです。
もちろん、常日頃の勤務態度や休みがちな出勤状況であれば「仮病」や「ズル休み」を疑われている場合もありますが、そんな人はごく稀でしょう。
では何故、症状を根掘り葉掘り聞かれるのでしょうか。
理由①「症状を聞いて病気を予測する」
もちろん、病名の最終的な診断は、体調不良で休んだ職員が病院受診をして医師の診断が出たあとになります。
しかし、その受診と診断が何時間後になるかわからないため、介護事業所の医療職(看護師等)が、大体の予測をします。
予測と言ってもハッキリとした病名や診断はできないので「取り急ぎ感染症の疑いがあるかないか」を予測します。
感染症の蔓延は介護事業所が恐れるもののひとつであるからです。
例えば、「インフルエンザ」や「感染性胃腸炎(ノロウイルス等)」です。
感染症が疑われる場合は、事業所内で早急な対応が必要となります。
体調不良で休む職員だけの問題ではなくなります。
その理由は次に書きますが、その「初動」が早ければ早いほど、万が一の施設内感染の蔓延を最小限に抑えることができるのです。
理由②「グレー扱いの対象や対応方法を絞り込む」
「いつから症状があるのか」という質問は感染症の場合「潜伏期間」を考慮するためです。
感染症によっては、症状がなくても感染力がある「潜伏期間」が存在する場合があります。
その潜伏期間と思われる期間に、体調不良になった職員が出勤をしていた場合、その職員が接した「利用者や職員をグレー扱い」にする必要があります。
グレー扱いとは、「感染しているかもしれない人物として扱う」ということです。
グレー扱いとなる対象を絞り込んで、改めてバイタル測定や体調の確認を行う必要があります。
また、「対面での対応を禁止」したり、「集団で行うレクや体操を自粛」したりすることで、更なる感染のリスクを潰していく対応が必要です。
もちろん、感染症の疑いがないことが分かればそういった対応をする必要もなくなります。
ですから、体調不良で休む介護職員は症状を根掘り葉掘り聞かれるのです。
病院受診と結果の報告も求められる
介護職員が体調不良で休む場合は、前述したような理由があるため根掘り葉掘り症状を聞かれます。
それと同時に、介護事業所は「感染症かそうでないか」の確定診断の結果も欲しいので、病院受診と受診結果の報告も求めてくる場合が多いと言えます。
診断結果が感染症でなかった場合は、介護事業所内のグレー対象や感染症対応を解除できますし、万が一、感染症だった場合は、対応や対策を緩めることなく、益々感染拡大防止に努めていく必要があります。
また、感染内容や状況によっては、地域を管轄する保健所への報告や届けも必要になってきます。
したがって、介護職員(だけに限りませんが)が体調不良で休む時は
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ということになります。
普通の会社とは違い、介護事業所は「免疫力が低下した高齢者が集まり共同生活をしている場」になりますので、感染症や施設内感染の対策には特段の配慮が必要になってきます。
最後に
今回は、「介護職員が体調不良で仕事を休む時に症状を根掘り葉掘り聞かれる理由」について記事を書きました。
「介護職員のプライバシーを侵害しやがって」
「仮病を疑っているのではないか?」
と言って事業所の体質を責めたくなってしまう気持ちもわからなくもありませんが、「感染症対策」であることに鑑みれば「致し方がない当然のこと」であることも理解が出来ます。
もちろん、体調不良で休む時は介護職員でなくても全職種が同じような対応が必要なのですが、現場最前線で業務を行い、一番利用者に接する機会の多い介護職員は特に神経質な扱いをされます。
今回の記事の内容は、介護従事者であれば「そんなことは既に知っている」という人も多いことでしょう。
しかし、もしまだ知らない人がいるのだとすれば「そういう経緯や情報を周知させていない事業所にも問題がある」と言えます。
また、介護従事者以外の人にも「そういうこともあるんだなぁ」程度で、介護現場の実情について知って貰う材料にして頂けたら幸いです。