介護の基礎知識

介護現場は「利用者第一」なのか「安全第一」なのか、冷静に考えようのコーナー

投稿日:2020年5月24日 更新日:

 

介護現場で働く以上、「安全第一」でいきたいものです。

しかし、「パーソン・センタード・ケア」という考え方があるように、「まずは利用者を中心として本人のニーズ」からスタートするのが本来の姿です。

ですから、利用者本人のニーズを元に安全第一で介護をしていくことが大切であることは多くの介護職員も理解をしていることでしょう。

つまり、何事にも当てはまりますが「丁度良く」「バランス良く」することが重要であると言えます。

どちらか一方に偏ったり、「0か100か」の極端なサービスになってしまうことは不適切なのです。

今回は、介護現場は「利用者第一」なのか「安全第一」なのか、冷静に考えようのコーナーと題して記事を書きたいと思います。

 

 

 

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介護現場は「利用者第一」なのか「安全第一」なのか、冷静に考えようのコーナー

 

 

介護現場は「利用者第一」なのでしょうか、それとも「安全第一」なのでしょうか。

冷静に考えれば、「どちらも大切」「利用者のニーズを元に安全に介護していく」という結論になります。

この結論を元に、極端に偏ったダメな例をご紹介したいと思います。

 

利用者第一に偏ったダメな例

まずは、利用者第一に偏ってしまったダメな例をご紹介していきます。

 

例①:利用者が希望したので夜中にラーメンやカツ丼を提供する

例えば、最近までミキサー食や超きざみ食を食べていた利用者が、夜中に「腹が減った、何か食べたい」と介護職員に言った場合、それはひとつのニーズであり希望です。

しかし、そうは言っても介護職員の勝手な判断で、普通食のラーメンやカツ丼を提供するわけにはいきません。

そもそも、食事形態が違うのですから普通食のラーメンやカツ丼などを提供してしまう時点で無謀であり、喉に詰めたり誤嚥した場合は命にも関わります。

もちろん、管理栄養士などの多職種でアセスメントを行い事前にカンファレンスで、

  • 食事形態
  • 提供時期や頻度
  • 提供量
  • 職員間の周知
  • 家族の同意

などの詳細が詰められていれば問題はありませんが、そうでない場合は「利用者第一に極端に偏りすぎた安全性を完全に無視したスタンドプレイ」だと言えます。

また、職員の食事形態の確認ミスで利用者がおやつのドーナツを喉に詰めてお亡くなりになり、職員が業務上過失致死の容疑に問われている事件があったのは記憶に新しいところです。

もしも夜中に職員の勝手な判断でラーメンやカツ丼を提供して利用者の命に関わるようなことがあれば、故意に提供した職員の責任は重くなってしまう可能性が大きいのではないでしょうか。

【高裁即日結審】特養入所者がドーナツを喉に詰め死亡、おやつを提供した准看護師が罪に問われた事件

 

例②:利用者の帰宅願望や介護拒否を全て受け入れる

利用者の中には「帰宅願望」や「介護拒否」などがある場合があります。

それらも、そっくりそのまま受け取れば「利用者本人の希望でありニーズ」です。

では、利用者第一で考えた場合、

  • 帰宅願望があればすぐに家(又は本人が行きたい場所)に帰らせる
  • 介護拒否があるので一切介護をしない

ということが通用するでしょうか。

もし仮に、それをしてしまえば「安全性の欠如」「介護放棄(ネグレクト)ひいては虐待」ということになってしまいます。

そもそも、我々であっても、生活や仕事をする上で法律や規則や規約や倫理や道徳に反しないようにしていますし、全てが希望通りいくことの方が少ないのではないでしょうか。

「不自由の中に自由がある」ということが理解できれば、利用者の希望やニーズを全て優先させるということが不適切であり異常な考え方であることもわかるはずです。

安全性を無視して利用者第一に偏ってしまうダメな例になります。

「介護されたくない」と言う利用者に「何もケアをしない」という選択肢はあり得るのか?

 

安全第一に偏ったダメな例

では次に、安全第一に偏ったダメな例をご紹介します。

 

例①:歩ける利用者を車椅子で移動介助する

自分で歩くことができるのに、「転倒されたら困る」「車椅子の方が安全」という理由でいつも車椅子で移動介助してしまうのは安全第一に偏りすぎたダメな例になります。

何故なら、利用者のADL(日常生活動作)の低下を招いてしまう可能性もありますし、残存能力を引き出せるような介護をしていくのが望ましいからです。

しかし、この状況が、「利用者の希望やニーズ」という場合もあり得ます。

そうなると、安全第一でもあり利用者第一でもあるため、適切なように感じてしまいます。

この場合も、リハビリ職なども含めた多職種でアセスメントをしてカンファレンスなどで詳細を詰めておくことが大切です。

要は、「いち職員の勝手な判断、スタンドプレイ」にならないように情報を共有していかなければならないのは、介護現場では共通しているのです。

スタンドプレーが伝染し同調圧力となることで職場環境が悪化する介護現場の実情

 

例②:動きを制限する

利用者が動くと転倒したり転落したり外傷ができてしまうなどのリスクがあります。

ですから、安全第一に偏って「出来るだけ利用者が動かないような介護をする」というのはダメな例になります。

例えば、

  • 寝たきりでもないのに1日の多くをベッド上で過ごしてもらう
  • レクや体操は一切しない

などです。

しかし、この場合「時間があって職員数も足りているのに」という注釈がつきます。

時間もなく職員数も足りていなければやりたくてもできないのは当然です。

また、動きを制限する方法として、身体拘束同意書もないまま、

  • 車椅子の腰ベルトを装着する
  • ベッドに4点柵をする
  • 体をシーツで縛る

などをしてしまうと「身体拘束や虐待」になってしまいますので注意が必要です。

介護現場では如何なる理由があっても身体拘束をしたら負けなのか

 

 

 

最後に

 

今回は、介護現場は「利用者第一」なのか「安全第一」なのか、冷静に考えようのコーナーと題して記事を書きました。

まとめると、

  • 利用者本人のニーズも安全もどちらも大切
  • どちらかに極端に偏ってしまうことが良くない
  • 利用者のニーズを第一に考えながら安全第一で介護をしていくことが重要
  • 不自由の中に自由があるのは我々も利用者も同じ

ということになります。

「利用者第一!」「安全第一!」と意見や考え方を戦わせていくのではなく、冷静に考えて「現状の環境の中で丁度良くしていくことが大切」ということがご理解頂けたかと思います。

利用者のニーズが先にあるのは間違いありませんが、その中で適切で安全な介護を行っていく必要があるのではないでしょうか。

 

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