介護の基礎知識

ヒヤリハットやインシデントなどのリスク報告書は多い方が良い?少ない方が良い?

投稿日:2020年5月20日 更新日:

 

リスク報告書には大きく分けて

  1. ひやり・はっと
  2. インシデント
  3. アクシデント

の3つがあります。

3つの意味や違いは、

  1. ヒヤっとしたりハッとしたが利用者には直接影響がなく、ミスや事故にも至っていない出来事が「ヒヤリ・ハット」
  2. 利用者に直接影響がないような人為的又は環境的なミスが発生してしまい事故に発展しかねない出来事が「インシデント」
  3. 利用者に直接影響が及んでしまった出来事や事故が「アクシデント」

ということになります(※内出血や擦り傷などは利用者に直接影響がありますがインシデントとして取り扱われる場合もあります)。

ミスや事故は出来るだけ無い方が良いものの、人が生活をしていて尚且つ、人が人を相手に介護をしている介護現場では必ず発生しうる出来事となるため、情報を共有したり対策を講じてリスクを管理し可能な限りゼロに近づけていこうとするのが「リスクマネジメント」になります。

「事故を未然に防ぐのが介護のプロでしょ」→「無理です」

ではここで、「それならばリスク報告書が1枚も無い職場はミスや事故のない優秀な事業所である」と言えるでしょうか。

確かに、一見するとそう思えなくもないのですが、結論から言えば「No!」です。

何故なら、「人間が生活したり働いている場所でミスや事故が1件も発生しないなんてことは非現実的であるため、もし現実にそうであるならば虚像の可能性が高いから」です。

では逆に、「リスク報告書は多い方が良い」のでしょうか。

残念ながら、アクシデントなどの重大事故が多発する介護現場は、お世辞にも素晴らしい事業所とは言えません。

今回は、ヒヤリハットやインシデントなどのリスク報告書は多い方が良いのか少ない方が良いのか、結局どっちなのかについて記事を書きたいと思います。

 

 

 

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リスク報告書は多い方が良い?少ない方が良い?

 

 

ヒヤリハットやインシデントやアクシデントというようなリスク報告書は多い方が良いのか少ない方が良いのかについて解説していきたいと思います。

 

ヒヤリハットや気づきは多いほど良い

まずは結論から書いていきます。

イメージとしては以下になります。

(多い方が良い)←ひやり・はっと→インシデント→アクシデント→(少ない方が良い)

つまり、「ヒヤリハットなどの気づきは多い方が良くて、アクシデントは少ない方が良い」ということになります。

「ヒヤっとしたりハッとする出来事が多い方が良い」ということではなく重大事故(アクシデント)を出来るだけ発生させないようにするために、ヒヤリハットなどの気づきやミスや事故に繋がりかねない出来事を多く発見し報告書で情報共有していくことが望ましいという意味になります。

これは、1件の重大事故の背後には29件の軽微なミスや事故があり、29件の軽微なミスや事故の背後には300件のヒヤリハットがあると言われている「ハインリッヒの法則」に基づく考え方です。

(イメージ図)

【出典】https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

 

例えば、利用者が転倒して骨折するというアクシデントが発生した場合、その背後には、

  • 今まで何度もつまずいたりふらついたりしていた
  • いつも靴の踵を踏んで歩いていた
  • 歩行介助が必要なのに1人で歩こうとしていた
  • 過去に骨折には至らない転倒があった

などのヒヤリハットやインシデントが必ずあるはずです。

そういった生活の延長にあるものがリスク報告書になります。

逆に言えば、「ヒヤリハットもインシデントも1件も無いのに、いきなり重大事故が発生してしまう方が不自然」だということが理解できれば、「事故発生以前にヒヤリハットが少なくとも1件以上あることが自然であり当然のことである」と言えるのです。

もっと言えば、「ヒヤリハットなどのリスク報告書が1件も無い介護現場は良くない環境がある」と言っても過言ではありません。

それについては後述したいと思います。

 

リスク報告書が1件も無い介護現場が良くない理由

ハインリッヒの法則から考えても、リスク報告書が1件もあがってこない介護現場は不自然であり良くない環境があるということを前述しましたが、そうなってしまう理由や背景には何があるのでしょうか。

 

理由①:リスク報告書は1件も無い方が良いという環境

事業所や職場内で、「リスク報告書=悪」という風潮や思い込みがある場合は、その職場で働く職員は「出来るだけリスク報告書を書かないようにしよう」「リスク報告書0件を目指そう」という勘違いが発生してしまうことになります。

しかし、残念ながらその方針は報告書ばかりに目を向けてしまっていて、リスクそのものに目を向けられていません。

つまり、リスクを報告書などによって管理していかなければならないのに、報告書がなければ管理しなくて済むという「目的と手段を履き違えた方針」なのです。

リスク報告書の改善策に「人員不足が原因」「人員確保」と書けない理由とは?

 

理由②:リスク報告書を反省文や始末書のように扱う環境

「リスク報告書=反省文や始末書」というような扱いをしている事業所がある場合は、「誰も書きたいとは思わない」ことでしょう。

ミスや事故の犯人捜しをしたり、当事者を皆の前で名指しで吊るし上げ、リスク報告書に

「申し訳ありませんでした」

「今後は不注意がないよう気を引き締めて介護に当たります」

などという文言があれば要注意です。

そういう事業所は、リスク報告書をいじめや嫌がらせやのアイテムとして使ったり、同じようなミスでも報告書を作成しなくて済む職員と、作成しなくてはならない職員がいるような「不平等」「不公平」「不健全」「不整合」が発生してしまいます。

そもそも目的が「リスクの管理ではなくなってしまっている」ため、早急な職場環境の改善が必要です。

介護士殺すにゃ刃物はいらぬ、毎日インシデントを書かせりゃいい

 

理由③:隠蔽体質の環境

前述したような「リスク報告書は無い方が良いという職場環境」や「リスク報告書が反省文や始末書のように扱われる職場環境」があれば、そこで働いている職員の心理や心情を考えると「隠蔽体質の環境」になっていくことでしょう。

何故なら、リスク報告書を作成しても何も良いことがないどころか、自分が窮地に立たされたり余計に働きにくくなってしまうからです。

自分に損しかないのに進んでリスク報告書を作成したがる職員はいないでしょうし、ミスや事故を隠そうとする心理が働くのは自然の摂理です。

そういう職場に多いのが、「原因不明の事故」です。

確かに、介護現場では本当に原因がわからない事故が発生することもありますが、毎回のように原因不明のミスや事故が頻発する場合は、誰かが又はほぼ全員が事故を敢えて気づかないようにしたり、見て見ぬふりをしたり、隠そうとしている可能性が大きくなります。

リスク報告書に対してネガティブな方針や風潮や感情があるため、報告書を0件にするどころか重大アクシデントばかりが連続することにもなりかねません。

とても不健全な状態ですが、元を質せば「事業所や職場の方針や風潮や環境がそうさせてしまっている」と言えます。

アクシデント(介護事故)の第一発見者が不幸な理由と問題点

 

理由④:気づけない職員が多い

職場の環境によって「敢えて気づかないようにする隠蔽体質」については前述しましたが、中には「気づけない職員が多い」という可能性もあり得ます。

つまり、「気づきたくても気づけない」ということです。

気づきは介護職員の重要なスキルの1つですから、気づきたくても気づけない介護職員ばかりであれば少々残念な職場だと言えます。

ミスや事故に気づかなければリスク報告書を作成することもありませんし、職場内のリスク報告書は1件もあがってこないことでしょう。

気づけない職員が多数いること自体も残念ですが、そうなると「気づくことができる職員ばかりが色々気づくことになり、その職員の業務負担が増えてしまう」のです。

そんな環境では、気づける職員の身が持ちません。

気づける職員も次第に「敢えて気づかないようにして自分を守る」という隠蔽体質の不健全な状態に陥ってしまう可能性もあるため、良くない状況なのです。

「気づける職員」が損をする介護現場の実情

(2020年6月3日追記)

Twitterで相互フォローして頂いている介護系YouTuberのたいきさん(Twitterアカウント:@taiki0326)のYouTubeチャンネル「たいきの生活日誌」の「動画タイトル:ヒヤリは気付きを多くするツールであり、個人を咎めるものではない!」という動画の概要欄に当ブログ記事をご紹介頂きました。

「ヒヤリ強化月間」「ヒヤリを一番多く書いた職員に1万円進呈」という取り組みについても言及されています。

詳しくは下記動画をチェックしてみて下さい。

 

 

 

最後に

 

今回は、ヒヤリハットやインシデントなどのリスク報告書は多い方が良いのか少ない方が良いのか、結局どっちなのかということについて記事を書きました。

まとめると、

  • (多い方が良い)←「ヒヤリ・ハット」→「インシデント」→「アクシデント」→(少ない方が良い)
  • 良い職場は「ヒヤリハット(気づき)」が多い
  • リスク報告書が1件もないような職場は様々な問題があるため良くない環境

ということになります。

介護職員を含め、多くの介護従事者はこの記事の内容について既にご存知でしょうが、中にはリスク報告書について「勘違い」「履き違え」「職員を責めたてるアイテム」として利用している事業所もあるようです。

そういった事業所は、結果的に自分で自分の首を絞めてしまっているのではないでしょうか。

この記事が少しでもご参考になれば幸いです。

介護現場でヒヤリハット報告書や気づきを増やしていくための業務改善とは?

 

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