リアル介護現場の実情

リスク報告書の改善策に「人員不足が原因」「人員確保」と書けない理由とは?

投稿日:

 

介護現場で働いていると、大なり小なりインシデントやアクシデントが発生します。

必ず発生するものであるからこそ「リスクマネジメント」が重要になってきます。

「事故を未然に防ぐのが介護のプロでしょ」→「無理です」

ミスや事故が発生した場合は「リスク報告書」を作成する必要があります。

そこには「発生原因」や「再発防止策」を記入する項目があるのですが、直接的なミスや事故を発生させてしまった場合以外の多くは「人員不足に原因」があり、「人員さえ確保できていれば防げたのではないか」と思うことが度々あります。

しかし、リスク報告書にはそのことについて書くことは出来ません。

今回は、リスク報告書の改善策に「人員不足が原因」「人員確保」と書くことが出来ない理由について記事を書きたいと思います。

 

 

 

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「人員不足」と書けない理由

 

 

リスク報告書の記載は「事実をありのままに書くこと」が求められます。

それなのに何故、事実である「人員不足」だとか「人材確保をすれば防げる」ということが書けないのでしょうか。

 

理由①「上司が嫌がる」

リスク報告書に「人員不足」「人材確保」などと書いて回覧すると、必ず上司から差し戻しをされます。

差し戻しをされる理由は後述しますが、簡単に言えば「人員不足と書かれると上司が嫌がる」からです。

「人員不足や人員確保以外の改善策を考えろ」

と言われて書き直しを命じられることでしょう。

 

理由②「人員不足が文字で残ってしまう」

上司が嫌がる理由としては、「人員不足」というワードがリスク報告書に文字として残ってしまうことで、人員不足であったことを認めてしまうことになるからです。

内容によっては、報告書を行政や都道府県にも提出する必要が出てきます。

その際に「人員不足」などと書かれていれば、事業所の人員配置を疑われてしまい「やぶ蛇」になってしまうと考えるからです。

また、人員不足を認めてしまうことで、現場で発生したリスクが「上司や事業所の責任」になります。

現場の介護職員に責任を押し付けたい上司や事業所としては、それでは困るのです。

あくまで、「介護職員の対応が悪かったから」ということにして、最悪の事態になればシッポを切って逃げ出したいのですから、「人員不足」と書かれてしまうと認めることができないのです。

 

理由③「人員不足を改善できない」

リスク報告書の改善策は「改善可能なこと」を書かなくては意味がありません。

上司や事業所にしてみれば、「人員確保」と改善策に書かれても人員確保をすることができません。

つまり、実行不可能な改善策になってしまうため、「人員不足」や「人員確保」と書かれてると嫌がるのです。

 

理由④「殆どの改善策が人材確保になってしまう」

リスク報告書の殆どの改善策が「人員不足なので人員確保を行う」という内容になってしまうため、上司も嫌がりますしリスクマネジメントも活かしづらくなります。

ですから、「現員で改善可能な改善策を書く」という理屈は理解ができます。

しかし、明らかに人員の補充で改善可能なミスや事故を「そこには触れずフタをして」と言ってしまうのも道理に欠けます。

 

理由⑤「そもそも人員配置基準を満たしていても足りない」

そもそも、人員配置基準自体に問題があります。

ユニット型であれば、日中は「利用者:職員=3人:1人」という基準になっていますが、これは現に現場に立っている出勤者の人数ではありません。

そのユニットに所属している職員全員の人数を入れた配置基準なので、公休や有休中の職員の数も含まれているという謎の基準です。

夜勤に至っては「ワンオペ(職員1人体制)」が認められています。

この基準では、24時間付きっきりのマンツーマン介護は不可能ですし、大なり小なり事故は発生します。

現にそういう介護現場の実情を無視した判決も出てしまいました。

【介護事故考察】介助不足で複数回転倒し死亡「施設に2800万円の賠償命令」

つまり、人員配置基準を満たしていても事故は発生するために「人材確保」というよりは「利用者:職員=1人:1人」にしなければ改善しないことになってしまうのです。

それが不可能であることは、火を見るよりも明らかです。

 

 

 

「人員不足」と書けないことで発生する弊害

 

 

人員不足が原因であってもそう書けず、人材確保をすることで改善するのにそれも出来ない状況であれば、様々な弊害が発生する可能性があります。

 

弊害①「改善策が思い浮かばない」

明らかにどう考えても人員不足が原因であった場合、「考えても考えても改善策が思い浮かばない」ということになってしまいます。

無駄な時間だけが過ぎていきます。

  • 瞬間移動できる特殊能力を備えておくべきだった
  • アクシデントが発生することを予知できる特殊能力を備えておくべきだった

という漫画かサイエンスフィクションのような改善策ばかり思い浮かび前へ進みません。

 

弊害②「隠蔽体質になる」

改善策も思い浮かばず時間だけが過ぎていくと

  • リスク報告書がいつまで経っても完成しない
  • ストレスが溜まる
  • リスク報告書を作成したくなくなる
  • 些細なことであれば隠蔽したくなる

という悪循環に陥ってしまい、職場全体で「隠蔽体質」な不健全な環境になる可能性があります。

 

弊害を発生させないために

そういった負のスパイラルのような弊害を発生させないためにも

  • リスク報告書は職場全体で考えて作成する
  • 上司も一緒に考える
  • リスクマネジメント委員会等で検討し的確な指示を出す
  • 現場の職員だけに責任や負担を押し付けない
  • 決めたことは情報を共有して全員で実行する

ということが重要になってきます。

もっと重要なのは、国や行政が介護現場の現実を理解し、実情に沿った政策や方針を示していく必要があるということです。

現場職員に責任や負担を押し付けるだけでは「机上の空論」と言われても仕方がないのです。

机上の空論の中で働く職員や生活をしている利用者の気持ちになって考えて欲しいと思います。

以前から、「介護事業を担当する官僚や行政の職員は介護現場での研修を必須にするべき」と言われていますが、一体どう受け止めているのでしょうか。

 

 

 

最後に

 

今回は、リスク報告書の改善策に「人員不足が原因」「人員確保」と書けない理由とそれによって発生する弊害について記事を書きました。

ミスや事故が出来るだけ無いように、未然に防げるように努力はしていますが、現在の人員配置基準や現員ではそれらをゼロにすることは不可能です。

「人員が多ければ多いほど良い」というわけではありませんが、リスクに限って言えば多い方がリスクの発生率は低くなるでしょう。

マンツーマンの配置や人材の確保が不可能である以上、現場職員に責任と負担を押し付けるやり方をやめて、国や行政だけでなく世間の人達にも介護現場の実情を知ってもらい、社会全体で支え合って創り上げていく姿勢が大切なのではないでしょうか。

 

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