ワンオペ夜勤を二人体制にすると良い事だらけ「デメリットもある?」

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介護施設の夜勤は従来型多床棟を除き、ワンオペ(職員一人体制)であることが殆どです。

過去記事でもワンオペ夜勤のタイムスケジュールや仕事内容について触れましたが「相当過酷」です。

入所者が24時間365日生活をしている介護施設では必ず「夜勤」があります。 既に介護職員として勤務をしていて、夜勤業務に入って...

この過酷なワンオペ夜勤が二人体制になれば単純に業務負担が半分になりますし「余裕を持った介護」を提供することが可能になります。

今回は「たった1人、夜勤に配置される人員を増やすだけで良いことだらけなのではないか?デメリットはあるのか?」ということについて記事を書きたいと思います。

二人夜勤のメリット

個人的には二人夜勤が可能ならばそうして欲しいと思っています。

そう思う理由とメリットを具体的に見ていきます。

メリット①「パジャマ更衣ができる」

ワンオペ夜勤ではなかなか行き届かなかった利用者の「パジャマ更衣介助」ですが、これが二人体制の夜勤になれば可能になります。

人員配置が2倍になれば時間的な余裕も2倍になるからです。

ワンオペ夜勤でのパジャマ更衣の実情については、下記記事をご参照下さい。

前回は「介護施設のワンオペ夜勤では利用者を起こす順番に暗黙の了解がある」という記事を書きました。 今回は「介護...

メリット②「同時に複数の利用者の対応ができる」

ワンオペ体制では、1人の利用者の対応に掛かりっきりだと、他の利用者の対応ができません。

その間に排泄を失敗してしまう利用者がいたり、アクシデントが発生してしまうリスクも高いのです。

これが二人体制になると、1人が利用者の対応をしている間に他の複数の利用者の見守りをしたり、コール対応をすることが可能になります。

人員配置が2倍になることで、2倍以上の利用者の対応が可能になります。

メリット③「緊急時の対応がスムーズにできる」

利用者が体調不良になったり急変したり怪我をしてしまった場合、ワンオペ体制では職員一人で対応する必要があります。

状態の確認、バイタル測定、夜勤リーダーに報告、救急車の要請、家族連絡、到着した救急隊に状態の説明や既往歴等の情報提供などです。

場合によっては、救急車に同乗する必要が出てくるかもしれません。

これが二人体制なら、フォローしあったり手分けして対応可能になりますし、仮に救急車に同乗することになっても「一時的に現場に職員が誰もいなくなる」ということが防げます。

夜勤職員が2人になることで、緊急時の対応がとてもスムーズにできるようになります。

メリット④「リスク(事故)の発生を軽減できる」

職員が二人になることで、単純に「五感」も2倍になります。

二人分の五感を駆使することで気づけることも2倍になり、ワンオペの時よりもリスクの発生を抑えることができます。

夜勤で敏感になる「五感」については、下記記事をご参照下さい。

多くの介護施設での夜勤は「職員1人で約20名の利用者の介護」をします。 勤務時間やタイムスケジュールなどは下記記事をご参照下さ...

メリット⑤「心に余裕ができる」

ワンオペ体制では、夜間帯で発生した全ての出来事の対応を夜勤者1人で対応をする必要があります。

しかし、二人体制で手分けをして対応できることで「心に余裕」ができて「落ち着いて対応」ができて「困った時は相談」もできます。

「相談できる職員がいる」ということは、とても心強いことです。

職員がたった1人増えるだけで、心の余裕や安心感は2倍以上になります。

メリット⑥「事件の発生を軽減できる」

最近、介護現場での事件報道をよく見掛けます。

その多くは「夜間帯」若しくは「利用者とマンツーマンの時」に発生しています。

ワンオペ体制の夜勤は「夜間」と「マンツーマン」の両方を満たしている「事件が発生しやすい状況」だと言えます。

夜勤者が2人体制になることで、マンツーマンになる時間が減ったり、すぐに異変に気づける職員が近くにいることで、介護現場での事件も軽減するでしょう。

しかし、「国や行政が個別ケアを推奨しているのに、個別ケアをすればするほど事件が多発している現実」には留意しておく必要があります。

国(厚生労働省)の方針で介護施設(特養)は「従来型の多床棟や個室」を改め、「ユニット型の個室」が推奨・推進されています。 20...

二人夜勤のデメリット

「二人夜勤にすれば良いことだらけ」ということを書きましたが、物事には何でもメリットがあればデメリットもあります。

デメリットについても具体的に触れておこうと思います。

デメリット①「職員同士の相性」

殺伐とした人間関係が多い介護現場ですから、中には「相性が悪い」「仲があまり良くない」職員も存在するかと思います。

そういう人と一緒に二人夜勤をすると「余計にストレスが溜まる」ということがあるかもしれません。

ましてや16時間もの長時間、一緒に勤務をするのですから尚更です。

そういう場合は「業務を正常に分担」したり「スムーズな連携」が取れない可能性もあります。

デメリット②「シフトが組めない」

これはもうどう足掻いても「人員不足」なのですから、どうしようもありません。

夜勤に二人も配置すると、日中に必要な職員を配置できなくなるのです。

そうすると「まともなシフトが組めない」という事態が発生します。

こっちを立てればあっちが立たないのです。

現状で人員配置基準において「ワンオペ夜勤」が認められているため、「夜勤に二人配置されることは殆どない」のです。

デメリット③「人件費(夜勤手当)が2倍かかる」

夜勤をすると夜勤手当がつきます。

事業所によりその金額は3000円~10000円と幅がありますが、夜勤者を二人に増やせば夜勤手当を二人分(2倍)支給しなければなりません。

夜勤手当が二人分必要になってくるのは当然のことなのですが、夜勤に二人配置したからと言って「夜勤配置加算」を2倍取れるわけではないので事業所としては利益が減ってしまうことになります。

ですから、事業所としては「利益確保のため」に夜勤者を二人配置することはまずないでしょう。

最後に

今回は「ワンオペ夜勤を二人体制にすることのメリットとデメリット」について記事を書きました。

二人体制にすることで多くのメリットがあります。

その反面デメリットもありますが、その大半は「人員不足」や「利益」の問題であり、事業所側の都合であることがわかります。

しかしもっと掘り下げて考えると「人員配置基準でワンオペ夜勤が認められていること」「夜勤者を二人にしても増えない介護保険の加算」に問題があります。

今よりも質の高い介護サービスの提供を望んでいるのなら、人員配置基準と夜勤配置加算や手当の見直しが急務でしょう。

人員や環境が整っていないのに「ユニットケアや個別ケア」を推進していっても、介護職員の負担が増すばかりでなく、利用者にも大きな負担やリスクが発生してしまうのです。

そしてそれが今の介護現場の実情になります。

多くの介護施設の夜勤はワンオペ(一人体制)です。 1人の介護職員で約20人の利用者の介護を行う必要があるために、その過重な肉体...

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