介護施設の人員配置基準見直しの検討内容はまさかの4対1の規制緩和!?埋められぬ現場との溝と温度差

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来年2021年は3年に一度訪れる介護報酬改定の年です。

介護保険や介護報酬の見直し改定に向けて様々な議論が行われるのが今年2020年になります。

介護関係者としては、どういった改定になるかアンテナを張り注視している人も多いのではないでしょうか。

その議論のひとつとして気になるのが「人員配置基準の見直し」です。

当ブログでも、幾度となく「人員配置基準の見直しは急務である」ということを言ってきましたが、ここで言う「見直し」とは、「ワンオペ夜勤を廃止する(二人体制以上にする)」「ユニットケアを継続していくならもっと人員配置を手厚くする必要がある」ということになります。

しかし、お偉いさん達の議論は全く正反対の「人員配置基準を3対1から4対1に規制緩和していく」「人員配置を薄めていくことが効率化であり2倍のマンパワーを創出するイノベーションだ」などという方向の意見が出ているようです(以前から国は人員配置基準の規制緩和を明言し「夜勤に介護ロボットの導入で加算をつける」などの迷走をしていましたが本格的な話になってきたようです)。

介護現場の声としては「人員配置基準をもっと手厚くして欲しい」というものが多いのに対して、政府の考えとしては手厚くするどころか「もっと人員配置を減らしていきたい」というものになってしまうのは、やはり両者の間には埋められぬ溝と温度差があることがハッキリとわかります。

もちろん、まだ検討段階ですから決定したわけではありませんが、スタート時点からこれだけの温度差を感じると「先が思いやられる」という気持ちになってしまいます。

以下で詳しく考察していきたいと思います。

ネット上の情報やTwitterなどの発信を眺めておりますと、 「介護職員はこうあるべきだ」 「利用者にこう接するべきだ」...

人員配置基準の規制緩和!?埋められぬ現場との溝と温度差

そもそも、介護現場には出て来ない人達が現場のことを決める時点で温度差が発生してしまうのは当然のことと言えます。

ですから、統計や数字やモデルケースなどの資料や職能団体や有識者などの意見を参照して可能な限り現場に沿うようにはされているかとは思いますが、実際に現場で働いている介護職員の声が届かない現状は悲しい限りです。

人員配置基準を緩和のメリットとデメリット

現状の介護施設の人員配置基準「利用者:介護職員等」を「3人:1人」から「4人:1人」に緩和することのメリットとデメリットを確認していきたいと思います。

メリット

  • 人員不足が人員不足ではなくなる(足りないのが普通のことになり基準違反になりにくい)
  • 介護職員に支払う人件費を抑えることができる(より儲かる)
  • 現状より2倍のマンパワーを創出できる

デメリット

  • ケアの質が落ち量も減る
  • 介護職員1人当たりの業務負担が増える
  • 介護職員のストレスが増える

デメリットを補う謎理論

人員配置基準を緩和することのメリットとデメリットを見てみると、「国や事業所にはメリットが多く、現場職員や利用者にはデメリットが多い」ということがわかるかと思います。

このデメリットの部分をどういう理論で補完させようとしているかと言うと、

  • 資料では現状の介護施設の人員配置の平均は概ね2人:1人になっている
  • センサーなどのテクノロジーを使って2.8人:1人を実現している例もある

という内容になります。

介護施設の人員配置の平均は概ね2人:1人になっている?

半数の介護施設が「利用者:介護職員」の比率が「2人:1人」になっているとのことですが、都合の良い部分だけを切り取ったデータではないことを願いたいと思います(参考:全世代型社会保障検討会議(第6回)配布資料(リンク切れ:首相官邸ホームページ))。

都合の良い部分を切り取った資料ではないとしても、「7割以上の特養が人員不足」というデータも見たことがあるのですが、どこでこんな矛盾や不整合が発生してしまったのでしょうか(参考:特養、人手不足が加速 72.9%が「足りない」と回答 3年で1.5倍に増(JOINT))。

どちらにしても「平均で2人:1人になっているから4人:1人にして2倍のマンパワーを!」と言ってしまうのはあまりにも現場を無視しすぎでしょう。

そのしわ寄せは誰にいくのかと言えば、介護職員と利用者です。

平たく言えば、「介護職員を今の2倍働かせよう」という時代に逆行した方針です。

そもそも、「4人:1人」の配置基準では労働基準法に違反したシフトになるか、夜間だけでなく日中もワンオペ体制の日が多くなってしまうでしょう。

欠員が1人でも出ればもう現場は回りませんね。

また、百歩譲って2倍の労働力の創出をイノベーションと呼ぶならば、当然給料も2倍にすることがもっと必要なイノベーションではないでしょうか。

労働力は出させるけどその分の給料は出さないということになれば「ただの搾取」です。

今よりも負担やストレスが増えればミスや事故も増え、結果的に利用者にもしわ寄せがいくのです。

全くもっておかしな謎理論にしか聞こえません。

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センサーなどのテクノロジーを使って負担軽減?

前述した内容について「介護職員を2倍働かせるのではなくセンサーなどを使って負担を軽減させるのだ」という理論展開かと思われます。

しかし、センサーで本当に介護職員の負担が軽減するのでしょうか。

一部の成功例だけを切り取ったものを根拠にしてしまうのはあまりにも乱暴です。

百歩譲って、センサーなどで負担が軽減するのだとしても人員配置を緩和する理由にはなりません。

何故なら、テクノロジーで負担が軽減したとしても人員が減れば結局負担は変わらないどころか増えてしまうことはあり得る話です。

また、最終的に介護職員が対応をしなければならないのだとすれば負担が軽減するとは言い難い部分があるのではないでしょうか。

2018年4月に行われた介護報酬改定に新たに加わった加算がいくつかあります。 その中で、夜勤に関する加算である「介護ロボットの...

最後に

今回は、介護施設の人員配置基準の見直しが規制緩和の方向に動いているということについて記事を書きました。

ニュース記事を読む限り、今後エビデンスを検証し前向きに検討されていくようです。

人員配置基準が規制緩和されれば、人員配置基準違反となる事業所も少なくなるでしょうし経営難で倒産する介護施設も減っていくのかもしれませんが、現場との間で埋められぬ溝と温度差がある限りは新たな破綻の温床を創出しているに過ぎません。

まずは、現場で実際に介護をしたことがない役人や有識者の方々が現場を体験してみるというイノベーションを検討されてみてはいかがでしょうか。

現在、来年(2021年)の介護報酬改定に向けて介護施設の人員配置基準を緩和させて、現状の3人対1人の配置から4人対1人にしていこうと...

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コメント

  1. アングラー より:

    2000年の介護保険制度が始まるときに4:1のそれまでの配置から、3:1の配置になりましたがそれ自体も根拠が無いもの。調査したらたまたま施設の配置が3:1だっただけで、こうすれば仕事が回り見守りも可能という根拠があっての事ではないです。この辺の事情は「人員配置 3:1 介護 衆議院」でググると質問主意書が出てきます。
    そもそも多床室時代の人員配置を未だに引きずっている自体、どれだけ厚生労働省がいい加減か分かりますよね。

    • アバター画像 介護職員A より:

      >アングラーさん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      3人対1人ですでにヒイヒイ言っていますものね><
      根拠のない基準を押し付けて、更にそれを緩和させていくのはいい加減すぎるという言葉以外見つかりませんね。

  2. デイちゃん より:

    基本は、お金がある人が高い金を払って利用するサービスと、金のない人が少しお金を払って利用する保護に分ける必要がある。
    高いサービスは、利用者から金を取って、事業所の収入を増やせるので、スタッフを入れてそれなりのサービスができるでしょう。

    安い保護サービスは、最小限・最低限。
    配置スタッフ減らすなら当然仕事量も減らさないとダメ。
    食事は朝夕の二回。なので離床も二回。ww
    入浴はシャワー浴。
    衣服は上の肌着+オムツ+前あきの病衣。
    行事はなし。
    目離しできない多動な人は放置。事故になってもしょうがない。スタッフいないから。見てほしいなら高い金払いましょう。ww
    暴力やセクハラ、拒否がある人も放置。かまってる暇なし。してほしいなら高い金払いましょう。ww

    そもそも生活保護者の利用限度額をもっと下げたほうがいいと思うのですが。
    介護度が重くても、月10万までとか。そうすれば、保険財政が改善するでしょうね。

    • アバター画像 介護職員A より:

      >デイちゃんさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      そうですね、もうユニットケアとか言っていられないですね。
      業務も相当スリム化しないとですね。

      とは言え、もし将来自分に介護が必要になった時はどんな状況になっているかを想像するとゾっとしてしまいますね><

      • デイちゃん より:

        そうなんですが、今も必要ない業務が多くないですか?
        誰も望んでない、誰にとってもプラスにならないことが多すぎる。
        寝たきり介護5でもう話もできないのに、「ご本人様の思いを大切にして」とか昔のきっつい服を着せたり。もう拘縮してただでさえ着脱に時間がかかるのに。もっとゆったりした介護服着せようよ。それだけでもかなり時間が短縮できそうだけど。
        食事って管理栄養士が考えて何品もあるけどさ~まずいから全然食べない。みんながよく食べるカレーとかシチューとか親子丼とかにしたらよくね?って感じです。トロミもついてるし。
        食事も今は食べないとねばってなんとか食べさせたりしてるけど、時間がかかるから無理!とすぐあきらめて、そのまま数日して衰弱死・・とかなりそう。でも文句があるなら家族が来て食介したらいいのにって感じですけど。
        目もあけない寝たきり介護5を花見に連れて行くのって意味ありますかね?もう行事はしなくてもいいと思うんだけど。クリスマスとかハロウィンとか昔なかったよね?
        スタッフを減らすとなったら、ただでさえ多動で目離しできない人なんて見てる暇がないから。薬&身体拘束するか、自由に動かして転倒骨折させて入院させるか、ってなりそう。今よりも事故や虐待が増えそう。事故になっても「国が人を減らせって決めたので、訴えるなら国を訴えてください」って言わなきゃいけないけど。

        • アバター画像 介護職員A より:

          >デイちゃんさん

          返信ありがとうございます^^

          確かに「本当に不毛で無意味な業務」がありますね。
          それは心から不要だと思います。

          事故や虐待は増えそうな予感はしています。。。