介護の報道

【特養の不在者投票の実情】入所者の票を勝手に投票で奄美の特養施設長ら逮捕

投稿日:2019年8月4日 更新日:

 

先の参議院選挙(投票日:2019年7月21日)において、鹿児島県奄美大島にある特別養護老人ホーム(以下、特養)で不在者投票の際に、意思表示の出来ない入所者の投票を不正に行った投票偽造容疑で施設長ら4人が逮捕されたというニュースが流れてきました。

現状で、多くの特養を含む介護施設で選挙の際に不在者投票ができるようになっています。

そして、介護施設では「意思表示が困難な入所者」が多く入所しています。

そもそも「意思表示が困難な入所者がどうやって不在者投票を行うのか」という疑問も湧いてくるのではないでしょうか。

今回は、鹿児島県奄美大島の特養での公職選挙法違反のニュースに触れながら、介護施設で行われている不在者投票の実情について記事を書きたいと思います。

 

 

 

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ニュース概要

 

今回のニュース報道は以下の通りです。

奄美の特養施設長ら4人逮捕 参院選で投票偽造の疑い

7月投開票の参院選で、鹿児島県・奄美大島にある特別養護老人ホーム「虹の園」の意思表示できない入所者の不在者投票を勝手に行ったとして、県警は3日、公選法違反(投票偽造)の疑いで、施設長の中田みどり容疑者(71)=同県宇検村=と職員ら男女計4人を逮捕した。捜査への支障を理由に、認否は明らかにされていない。

中田容疑者の他に逮捕されたのは、同村の中田晴美容疑者(52)と、いずれも同県奄美市の朝井光徳容疑者(58)と朝野繁子容疑者(59)。

県警によると、選挙区の用紙4枚分に特定の候補者名を記し、比例代表の用紙4枚にも統一した記載をしたとみられる。

【出典】共同通信社(KYODO)

https://this.kiji.is/530224921091703905

 

 

 

介護施設の不在者投票の実情

 

 

都道府県の選挙管理委員会が指定する病院や介護施設において患者や入所者の不在者投票をすることができます。

今回の報道にもあるように「公職選挙法」は逮捕をされるほど厳しい罰則規定のある法律です。

したがって、当然ですが介護施設での不在者投票も「公平中立で厳格厳正なもの」でなければなりません。

今回のニュース報道の考察と併せて介護施設での不在者投票の実情についてご紹介したいと思います。

 

①事前に不在者投票をする入所者を決める

不在者投票が行われる日より前の定められた期日までに、選挙人名簿に登録されている入所者全員に「不在者投票をするかしないか」を聞いて回ります。

この段階で、「投票します」又は「投票しません」と意思表示ができる入所者であれば「参加、不参加」がはっきりします。

問題は意思表示ができない入所者ですが、投票は「本人の意思で本人が行うことが原則」とされていますので、本人の意思を最大限尊重しながら慎重に判断する必要があります(普通は不参加になるかと思われます)。

今回の報道にあった奄美の特養では、この段階で「意思表示ができない入所者の投票用紙等を悪意を持って選挙管理委員会に請求し勝手に不正投票した」可能性があります。

中には意思表示や意思疎通が不完全で、質問されている意味が十分理解ができないまま「はい、わかりました」「やります」「行きます」「頑張ります」「お願いします」と言う入所者や、発語はなくても質問に対して「笑顔で頷く入所者」も存在します。

それらの入所者も「投票する」と言っている以上、本人の意思を尊重し公平中立の立場から「不在者投票に参加する」ことになります。

 

 

②当日は外部立会人はいない

不在者投票当日は、事前に選出された「施設内の職員」で対応します。

選挙管理委員会の人や外部の立会人はいません。

厳格に公平中立を保つために、外部立会人の立会を「努力義務」としていますが「義務」ではありません。

つまり、施設内職員だけで不在者投票が行われるために「不正があってもわからない状態」ではありますが、それはあってはならないことです。

 

 

③それでも普通は不正はしない

介護施設での不在者投票に関わる施設内職員は、「投票所の中」と「投票所の外」に分けられ、規模や投票する入所者数や入所者の介助量によりますが大体10名前後になります。

施設内職員だけであれば「投票の不正をやり放題」のように思えますが、それでも普通に考えてそんなことはしませんし不正はあり得ません(あり得ないことが起こるのが世の常ですが)。

「選挙の公平中立性」「入所者の権利や意思の尊重」を理解していれば当然と言えば当然ですが、そもそも今回の報道のように「何かあったら逮捕されるから」です。

「施設内職員だけだからバレない」なんてことはありません。

10名前後いる職員のうち、1人でも告発したりリークすれば「一発アウト」ですし、噂や口伝てで誰にどう伝わるかなんて無限大のリスクです。

いくら信頼できる職員だけを取り揃えようとも、どこからどう不正が漏れるかわかりませんし、普通に考えて「そんなリスキーなこと」は誰もしません。

今回の報道にあった特養の施設長らは、「あまりにもリスク管理が甘かった」「入所者の尊厳を軽んじてしまった」と言わざるを得ません。

 

 

④投票所の外と中を何往復もする入所者

介護施設で不在者投票に携わる職員は、投票をしようとしている入所者に「特定の政党」や「特定の候補者」を伝えたり口に出すことも許されません。

もちろん、公平中立に欠けてしまうからです。

ですから全ては投票に参加している入所者の自己判断に委ねられます。

認知症もなく意思表示ができる入所者であれば、とまどいもあり多少は時間が掛かるものの、10分以内に投票は完了します(自立で移動が困難な入所者には職員が移動介助を行います)。

しかし、問題は①に述べたような「投票するかしないかの質問の意味が理解できないけど投票することになってしまった入所者」です。

投票所の外でまずは投票する候補者を決めてもらうのですが、

  • 半永久的に投票する候補者が決まらない入所者
  • 投票所内に入った途端に決めた候補者の政党も名前も全て忘れてしまう入所者
  • 不在者投票をしに来たことが理解できていない入所者

などが存在します。

そうなると、「半永久的に介護施設の不在者投票は終わらない」ことになってしまいます。

投票する候補者を決めたはずの入所者が投票所の中にはいると「忘れました!」と言います。

すると、再度投票所の外に出て候補者の確認作業が行われます。

もちろん、この際も職員は「さっき〇〇候補って言っていましたよ」なんてことは言えません。

仮に本当に先ほど入所者がそう言っていたのだとしても、不在者投票に関わる職員が特定の政党や候補者の名前を口に出す行為は公正中立に欠け、特定の候補者の投票を誘導していることになってしまうからです。

入所者自身がメモに書いて投票所内でメモを確認することも可能なのですが、そのメモを投票所内で見た入所者は「読めません!」と叫びます。

自分の書いた文字が読めないのです。

仕方がないのでまた投票所の外で候補者の確認をします。

こういったやり取りの中で、「何度も投票所の外と中を何往復もする」のが介護施設の不在者投票の実情です。

今回の報道の場合も、ひょっとしたらこの段階で「埒が明かないため施設長が主導して特定の候補者を代筆し投票をしてしまった」という可能性もあります。

選挙人である入所者の意思が確認でき、正しい手続きと手順を踏めば代筆による「代理投票」をすることも可能ですが、入所者の意思が確認できなかったり不適切な方法ややり方であれば「不正投票」「投票偽造」となり「公職選挙法違反」になってしまいます。

代理投票(だいりとうひょう)

身体障害や文盲のために自分で投票用紙に記入できない者のために,代理人が投票用紙の記入をして投票を行なうこと。つまり,有権者本人が投票用紙の記入ができない場合は,公職選挙法の規定により,投票管理者が選ぶ2名の補助を得て投票することができるようにした制度。有権者本人が補助者と投票所へ行き,希望する候補者名や政党名を指示し,補助者のうち1名がこれを投票用紙に記入し,もう1名はこれに立ち会う。

【引用元】コトバンク「代理投票

 

 

⑤「やめます」と言えば不在者投票しなくてもいい

前述したような状況が続けば、日が暮れても介護施設の不在者投票は終わりません。

職員だけでなく投票をしようとしている入所者さえグッタリとしてしまいます。

しかし、だからと言って職員の判断で勝手に投票を棄権させることは出来ません。

この状況を打開するためには、入所者本人の意思で投票所内の「不在者投票管理者役の施設長等」に対して「投票をやめます」「辞退します」と宣言すれば、その人の分の投票用紙は選挙管理委員会へ返却されることとなり、不在者投票はできなかったものの半永久的な無限ループからは脱することができます。

しかし、意思疎通が困難なのに「投票をやる」と言った入所者は、投票をする意味さえわかっていないこともあり、最終的に「投票をやる意思もやめる意思もない」場合があります。

そもそも入所者自身が「自分が何故やめますと言わなければならないのかがわからない」「何かをやり遂げなければならない気がするがそれが何かはわからない」ということも往々にしてあり、自分が置かれている状況さえ理解していない場合もあります。

職員も「やめますと言って下さい」ということは誘導になってしまうので言えません。

せいぜい「選挙(投票)はどうするんですか?」という質問をする程度です。

今回のニュース報道でも、この段階において「埒が明かないため施設長が主導して特定の候補者を代筆し投票をしてしまった」という可能性も考えられます。

しかしこの場合も、入所者の意思と正しい手続きと手順で「代理投票」を行わなければ、「不正投票」「投票偽造」となり「公職選挙法違反」になってしまいます。

どの段階でどういった意図を持って代筆をした結果、投票偽造になってしまったのかという経緯は定かではありませんが、「悪意があってもなくても公職選挙法違反」になってしまうのです。

以上のように、公職選挙法違反にならないように時間を掛け言い回しに注意しながら公平中立な不在者投票を遂行し、何とか無事に終えているのが介護施設の不在者投票の実情になります。

 

 

 

最後に

 

今回は、鹿児島県奄美大島の特養で、「先の参院選の不在者投票の際に意思表示ができない入所者の投票を偽造し不正を行ったため施設長ら4人が逮捕された」というニュース報道に触れながら、介護施設の不在者投票の実情についてご紹介しました。

「意思表示のできない入所者の投票を勝手に投票し投票偽造容疑で逮捕された今回の報道」で考えられる不正投票のタイミングは記事中の①か④か⑤になります。

どちらのタイミングで投票が偽造されたのかは明らかにされていませんが、①の段階で全く意思疎通が図れない入所者の票を悪用して、特定の政党や候補者に投票を行ったのだとすれば「完全にアウト」です。

もちろん、④や⑤の段階であっても法律的にはアウトなのですが「ハナから私利私欲のために入所者の票を悪用」したのであれば、法律的にも社会的にも倫理的にも許されることではありません。

過去にも介護施設において同じような公職選挙法違反での逮捕者の報道がありましたが、その殆どが「施設長の意中の候補者に勝手に投票した」というものばかりでした。

意思表示ができない自分の親の票が介護施設に入所したことで悪用されることになるなんて、家族にしてみても憤りを感じることでしょう。

今はコンプライアンスがうるさく言われる時代ですが、「法人を私物化している同族経営の社会福祉法人」こそ自らのコンプライアンスが遵守できてるかを鏡に映して見てみる必要があるのではないでしょうか。

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