介護施設に親や身内を入所させる家族は、基本的に「在宅では介護が出来ない理由がある」から施設へ入所させます。
「利用者本位」とか「パーソン・センタード・ケア」などという教科書通りの状態ではないことは容易に理解ができる現状です。
認知症者などの自己判断が不明だったり、自己判断が出来ない高齢者も含め、認知症ではなくても家族の都合で施設入所が可能なのが実情です。
本人は「在宅で生活を続けたい」という思いがあっても叶わぬ現実があるのです。
そういう状況ですので、色々な利用者がいて色々な家族がいます。
今回はそんな様々な事情を持った利用者が入所する介護施設にありがちな「家族の面会頻度の特徴」について記事を書きたいと思います。
家族の面会頻度
介護施設に親や身内を入所させた場合、家族の面会の頻度で様々なことがわかりますし、現場職員として感じることがあります。
①全く面会に来ない家族
施設に預けっぱなし状態で、1年に1回も面会に来ない家族もいます。
1年に1回どころか預けてから1回も来ない家族も往々にしてあり得ます。
そういう場合、介護職員としては
「施設に預けっぱなしで利用者が可哀想」
「親に無関心で放置する酷い家族」
というような印象を受けます。
利用者に関する連絡をしたくても、なかなか連絡が取れないことが多いのも事実です。
しかしながら、内心そう思うものの、施設での介護を提供する場合、無関心くらいの方が施設介護にいらぬ干渉を受けることなくケアもスムーズにいくのも事実です。
②毎日面会に来る家族
全く面会に来ない家族の対極に、毎日のように面会に来る家族もいます。
この場合、親や身内を施設に預けてしまった後ろめたさや「みそぎ」を感じている家族もいれば、施設に預けても尚、自分の思い通りにケアをして欲しい「権利者意識の強い」家族もいます。
介護職員にしてみれば
「熱心な家族」
「親や身内を大切に思っている家族」
という印象を受ける反面
「施設介護に過干渉な家族」
「毎日面会に来る時間があるなら自宅で介護をすればいいのに」
という思いも内心持ってしまうのも事実です。
こういう家族に限って、施設での介護方法に細かく注文をつけたりします。
クレーマー家族が多いのもこのタイプです。
介護保険制度下での介護サービスに「出来ること」と「出来ないこと」がハッキリしていないため、こういう悲劇が生まれます。
こういう家族ばかりだと、常に人員不足の施設介護は成り立ちません。
③適度に面会に来る家族
定期的に週1回だったり、月1回だったり、適度に面会に来る家族もいます。
介護職員にしてみれば、こういう形で定期的な面会がある方がお互いベストのような気がします。
利用者の状態報告や相談事も定期的にできますし、施設での介護に関して過干渉させるおそれもありません。
付かず離れずの程よい頻度になります。
介護職員にしてみれば
「定期的に面会に来る良い家族」
という印象を受けます。
適度に面会に来る家族ほど、施設介護にも理解があります。
無理な注文をされることもなく、介護職員の身体を気遣ってくれる家族さえいます。
最後に
家族の面会頻度における介護職員が受ける印象について書きましたが、全く面会に来なかったり、毎日面会に来ることが悪いということではありません。
要は、全く連絡が取れなかったり、過干渉をされたり権利者意識を振り回されることによって、通常の業務に支障をきたすことが問題なのです。
過去の経験則から、「定期的に面会に来る家族」が施設介護への理解もあり、利用者本人との関係性も健全であるように感じます。
もちろん、中には毎日面会に来て、利用者本人のケアを行ってくれるような素敵な家族も存在します。
そういった家族は「施設介護」だとか「介護職員」だとか「お金を払っている」という意識は無く、「ただただ親や身内を大切にしたい」という思いが強いのだと思います。
自分は何もせず、介護職員に文句や指示や命令を言うだけの家族は「家に連れて帰って自宅で介護すればいいのに」と本気で思っています。
介護保険という税金を使って介護を受けている以上、過度なご要望はお受けできないことを知って欲しいと思います(現状で制度上、無理な介護も受けるような体制ですが)。
文句を通せば通すほど、介護職員が辞めていき、益々人員不足となり、現状より良い介護が提供できなくなるのが介護保険制度なのです。