介護業界の異常性

闇雲な「おむつゼロ運動」「おむつ外し」はエゴイストの方針

投稿日:2019年5月2日 更新日:

 

介護業界では以前から「オムツゼロ運動」「オムツはずし」「脱オムツ」を目指したケアは素晴らしいという風潮がありました。

「オムツゼロ」は利用者の自立支援を目的としたものなのでわからなくもありませんし、真っ向から批判をするつもりもありません。

自立支援以外にも、「オムツ代が削減できる」という隠れたメリットもあるようです。

しかし、どんな状況でもどんな環境でも関係なく「おむつゼロ」を推し進めてしまうと一方通行の「ただのエゴ」になりかねません。

今回は「介護業界に蔓延する闇雲なオムツゼロ運動はエゴイストの方針である」ということについて記事を書きたいと思います。

 

 

 

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ニュース概要

 

介護「脱おむつ」支援の事業者は高報酬に 厚労省が方針

厚生労働省は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでおむつをしている入居者がおむつなしで暮らせるように支援する施設事業者に対し、介護報酬を手厚くする方針を固めた。

来年度の報酬改定で導入する高齢者の「自立支援」を促す仕組みの具体策だ。

まず、おむつを使う入居者に「ポータブルトイレをベッド脇に置けば自分でできる」などの目標を立てる。

そして、実現に向けての支援計画を作り、計画を実施した場合に報酬を加算する方針だ。

事業者が加算を得るために入居者に強要することを防ぐため、医者がおむつを外せると判断し、本人が望む場合に加算対象を限定する。

 

【引用元】朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/articles/ASKCS5GN2KCSUTFK00F.html

 

 

 

おむつゼロ運動のデメリット

 

 

「オムツゼロ」「脱おむつ」運動が推し進められていく中で、メリットばかりが先走っています。

光があれば影があるように、メリットがあればデメリットもあるはずです。

デメリットに蓋をしたまま推し進めてしまえば、正に「エゴイスト」です。

オムツゼロを批判する形になりますが、デメリットもしっかりと確認していきたいと思います。

 

オムツゼロの方針は介護負担が増加する

そもそも、この方針によってメリットがあるのは、

  • 国や行政
  • 事業所
  • 一部の利用者

になります。

介護職員にとっては全くと言っていいほどメリットがないのですが、

「より良いケアを提供するのが介護職員としての義務であり責務だ」

「オムツをはずしてトイレで排泄が出来ることこそ素晴らしい」

という職責や建て前の押し付け合いが始まります。

もちろん、ある一定の利用者の場合、オムツをはずすことも出来るでしょう。

しかし特養の場合、入所者は要介護3以上です。

寝たきりの利用者もいれば、重度の認知症の利用者もいます。

高齢になれば、「切迫性尿失禁」の利用者も多くなります。

切迫性尿失禁は、前立腺肥大症や尿路感染症などの病気の場合もありますが、特に病気がなくても加齢とともに増えていきます。

そういった利用者の「オムツを外して布パンツにする」ということは相当な介護負担を強いられます。

  • 利用者の排泄間隔を把握する
  • 失敗した場合は毎回更衣
  • 立位が取れない利用者を抱えてトイレに座らせる
  • 何度も移乗介助を繰り返すため腰痛のリスク増大

最低でもそれだけの業務負担とリスクが増えます。

「介護職員なんだからそういう業務をして当然」という声も聞こえてきそうですが、人員不足の中、現状の業務でいっぱいいっぱいなのです。

人員も補充せず、給料も加算せず、業務だけ増やすのは「図々しい」の一言です。

以前の報道で、「布団を何度も汚されたので入所者を殺害した介護職員の事件」がありましたが、オムツゼロ推進によって今後もっとシーツを汚す利用者が急増することでしょう。

極論ですが、そうなれば「今後益々、介護事件が多発する」という推測が出来ます。

【介護事件考察】「布団を何度も汚された」入所者を殺害して逮捕された有料老人ホームの元職員

 

オムツゼロの方針は利用者の負担も増大する

「オムツ」と言うとアテントのようなテープタイプのものを思い浮かべるかもしれませんが、紙パンツタイプのリハビリパンツもオムツになります。

そうなると、「オムツゼロ」を達成するためには、紙パンツやリハビリパンツも無くさなければなりません。

なんでもかんでも一緒くたに「オムツゼロ推進」という傲慢な考え方を押し付けてきますが、本当に利用者にとって良いことばかりなのでしょうか?

もちろん、紙パンツやオムツは蒸れますし、履き心地も良いものではありません。

履かないで済むなら履かない方が良いでしょう。

しかし、オムツゼロを推進するならば、

  • 日中、人前でお漏らしをしてしまうかもしれない不安感
  • お漏らしをしてしまった時の羞恥心
  • 寝たきりなのに何度もトイレに座らされる精神的・身体的苦痛
  • 立位が取れないのに何度も抱え上げられることで肩の脱臼や皮膚剥離などの外傷リスク

を利用者に与えてしまう可能性があります。

闇雲に「オムツゼロ推進!」と叫ぶのでは、結局誰が得をするのかわかりません。

  • 適材適所
  • 利用者の状態や状況に応じて
  • 事業所の職員配置に応じて

もっと「オツムを働かせて」考えていく必要があるのではないでしょうか。

利用者にさえメリットがないのであれば「エゴイストの方針」と言っても過言ではありません。

 

 

 

高加算をつければ方針ではなく半強制

 

 

ニュース報道には「医者がおむつを外せると判断し、本人が望む場合に加算対象を限定する」との注釈がありますが、医師(主治医)にも色んな考え方の人がいて、専門分野も異なります。

ましてや利用者の普段の様子を知らない医師も多く存在する状況の中で、本当に全国一律で整合性の保たれた統一した判断が出来るのか甚だ疑問です。

医者の判断だとしても、実施するのは介護職員ですし、何か問題があった場合に責任を押し付けられるのも介護職員になります。

また、認知症の利用者が多い状況の中で、「本人が望む」という意思確認は一体どうやって行うのでしょうか。

利用者の状態や職員の配置状況に応じてオムツゼロを推進していくのならわかるのですが、現状では

「とにもかくにもオムツゼロが素晴らしい」

「だから高い加算をつけてやる」

という方針です。

「いや、だからあくまで方針なんだから強制でも義務でもないでしょ」と思われるかもしれませんが、国が高加算を付ける時点で「半強制」なのです。

オムツゼロというエゴイストの方針を推し進めていけば、過酷な労働で腰や精神を痛める介護職員が増加し、辞めていく職員も増加し、益々人員不足に拍車が掛かり、地獄絵図のような介護現場が待っているのではないでしょうか。

 

 

 

最後に

 

今回は「闇雲なオムツゼロ運動は誰も得をしないエゴイストの方針」であることについて記事を書きました。

高齢者は赤ちゃんや子供のように、身体能力や内臓機能が年々成長していくものではありません。

オムツを必要としない人のオムツは外していけば良いとは思いますが、闇雲に「自立支援」と言ってニーズもないのにオムツ狩りをするのはエゴイストとしか言いようがありません。

出来ることと出来ないことを判断し、まずは環境を整え処遇を改善して人員を確保し、利用者の状態や状況に応じた「実情に沿った意味のある方針」を示して頂くよう心から願っております。

おむつゼロ運動はゼロにすることだけが目的になっているのではないか

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