介護職員が職場に定着するためには、離職率を下げる必要があります。
つまり、退職する介護職員が減っていけばおのずと定着率も上がるのです。
となると、介護職員の退職理由に目を向ける必要があります。
ちなみに、近年は介護職員の離職率が下がってきて、「全産業平均と比べても1%程度高い水準になってきている」という統計もありますが、「入職してくる人材がいない(又は極端に少ない)のだから離職率も下がって当然」だと思っています(要は出ていくばかり)。
ですから、「離職率と定着率は関連性はあるけど別物」という点に留意しておく必要があります。
介護職員の退職理由の上位であるのが「人間関係」です。
職場において良好な人間関係であれば、辞めていく介護職員が減り、入職してきた人材を定着することが可能になります。
今回は、介護職員が職場に定着するための第3弾として「良好な人間関係を保つポイント」について記事を書きたいと思います。
良好な人間関係を保つポイント
介護事業所における人間関係については過去記事でも何度か触れてきましたが、介護職員個々が自己防衛をしたり最悪の場合は転職も考えていかなければならないのが現状です。
だから「職員が定着しない」のです。
「良好な人間関係を保つポイント」をご紹介したいと思います。
ポイント①「努力が必要なのは経営者や事業所」
介護職員個々が人間関係から身を守るために、自己防衛や我慢をしているのが現状です。
しかし、それは「良好」とは言い難い状態です。
ただただ「耐え忍び」「心が折れないように心を塞ぎ」「我慢」しているに過ぎません。
本当に大切なことは、介護職員が自己防衛し我慢する必要がないように、経営者や事業所側が「従業員に気持ち良く働いて貰える環境づくり」をすることです。
まずはここを履き違えてはいけません。
職場環境を整備するのは事業所側の責務なのです。
その上で、介護職員個々の努力が活きてくるのです。
経営者や事業所が、職場内の人間関係を良好にしていく努力を怠っていれば、人間関係に嫌気が差した介護職員が辞めていくことになり定着しないため、改めていくことが重要です。
ポイント②「経営者が現場に顔を出す」
人間関係を良好に保つために、具体的にはどのような方法があるのでしょうか。
その1つの方法として「経営者がもっと現場に興味を持つ」ことです。
ゼネラリストとして介護職員を含めた専門職をまとめあげ事業所を統括していくためには、経営者が現場に顔を出す必要があります。
現場の様子を見て、「上司が部下に」「先輩が後輩に」どのような接し方や物の言い方をしているかを感じ取ることで、「職場の雰囲気」や「人間関係」が垣間見えるでしょう。
そして、不適切な言葉遣いや人間関係があれば、ひいき目無しに指導したり是正していくことで、抑止力にもなり職場内の良好な人間関係を保っていくことが出来ます。
これができていないと、古株職員やお局職員などが幅を利かせ、横柄な態度でやりたい放題の職場となり人間関係も劣悪化していき、介護職員が職場に定着することが困難になります。
「古株やお局だけが働きやすい職場」ではなく「皆にとって働きやすい職場」にすることで、介護職員が職場に定着しやすくなることは少し考えれば理解ができるはずです。
ポイント③「挨拶をする環境づくり」
当たり前の話ですが、「出勤した時」「退勤する時」「その日初めて会った時」など、職場内で挨拶をする環境づくりをしていきましょう。
残念ながら、多くの介護事業所は園児でも理解ができるはずの「当たり前の挨拶」が出来ていません。
挨拶は良好な人間関係を構築するために大切なコミュニケーションのきほんの「き」です。
挨拶ひとつマトモにできない人間が、福祉に従事し対人援助を生業にしているのですから、恐ろしい世界です。
利用者には挨拶をしているにしても、「挨拶をするしないのダブルスタンダード」が横行している時点でその事業所のレベルと人間関係が窺い知れます。
目上であれ目下であれ、上司であれ部下であれ、先輩であれ後輩であれ、他職種であれ、職場全体で挨拶をするような雰囲気づくりができれば、介護職員が職場に定着するための良好な人間関係を保ちやすくなるのではないでしょうか。
それでも挨拶ができない職員がいるようなら、廊下や壁に「あいさつをしましょう」という貼り紙をしたらいかがでしょうか。
最後に
今回は、介護職員が職場に定着するための第3弾として「良好な人間関係を保つポイント」を3つご紹介しました。
職場の人間関係を良好にしていこうと思ったら、上の立場の人の能力や人間性で大体決まってしまいます。
現場のトップは上長ですが、上長では対応しきれなかったり、そもそも上長に問題がある場合も多くあります。
それでは一向に良好な人間関係を保っていくことは出来ません。
ですから、事業所や法人のトップである経営者がチェックを怠らないようにする必要があります。
しかしながら、介護事業所の中には「そもそも経営者自身に問題がある」という場合も少なくなく、根本的な解決が困難であることも十分にあり得ます。
そんな場合は、逃げ出すしかないのかもしれません。