北海道日高町にある認知症のある高齢者向けのグループホームの施設長が入所者への虐待容疑で再逮捕されたというニュースが流れてきました。
元々は、先月(2019年7月)に、80代男性入所者の頬を手で叩き、怪我を負わせたことで傷害容疑で逮捕され起訴をされていたようです。
その後の調べで、今年4月にも90代女性入所者を車イスで屋外へ連れ出し、雨の中約40分間置き去りにした保護責任者遺棄容疑で再逮捕された、という流れになります。
今回は、この介護事件について考察していきたいと思います。
ニュース概要
施設長を別の虐待容疑で再逮捕
日高町にある認知症の高齢者向けのグループホームで入所者にけがをさせたとして逮捕・起訴された55歳の施設長が、別の入所者に対しても雨の中、屋外に置き去りにする虐待をしていたとして保護責任者遺棄の疑いで再逮捕されました。
再逮捕されたのは、日高町にある認知症の高齢者向けグループホーム「あすなろ」の施設長、宗京みどり容疑者(55)です。
宗京容疑者は、先月、施設に入所していた80代の男性のほおを手でたたいてけがをさせたとして傷害の疑いで逮捕され、その後、起訴されています。
警察によりますと、これまでの調べで、ことし4月にも車いすで生活していた別の90代の女性を雨の中、屋外に置き去りにしていたことがわかったということで、警察は14日、宗京容疑者を保護責任者遺棄の疑いで再逮捕しました。
女性は「運動のため」という理由で気温が5度を下回る寒さのなか外に連れ出され、ほかの職員が気づくまでのおよそ40分間、雨にぬれていたということです。
調べに対し「仕事や人間関係でストレスがあった」などと供述しているということで、警察は、ほかにも入所者に虐待を繰り返していたと見てさらに調べています。【出典】北海道 NEWS WEB
介護事件考察
それでは、今回の介護事件について考察していきたいと思います。
加害者が施設長
今回の虐待事件で特筆すべきは「逮捕された加害者が施設長」ということです。
介護職員が加害者となるニュース報道が続いていましたが、施設を運営したり管理する立場の施設長が虐待の加害者となる事件はあまり聞きません。
小規模な事業所などでは、施設長自らが介護サービスを提供していくことも珍しくないのかもしれませんが、事業所を運営管理する立場の人物が虐待行為で逮捕されてしまうなんて「ちょっと普通ではないな」という気がします。
いち介護職員と施設長では立場も業務範囲も責任の大きさも違うため、介護職員が加害者となる介護事件と同列で考えるのは「ちょっと違うのかな」と思います。
今回逮捕された施設長が「雇われ施設長」なのか「経営者」なのかはわかりませんが、どちらにしても「あってはならないこと」であることは間違いありません。
動機が「仕事や人間関係のストレス」
施設長であれば、施設運営が正常に出来るように管理していく必要があります。
その施設長自らが、入所者に対してこのような虐待行為をしてしまっては「異常事態」であり「本末転倒」です。
動機が「仕事や人間関係のストレス」とのことですが、職員のストレスが過多にならないように配慮していく立場の人が、自らのストレスの矛先を入所者に向けている時点で「何か(又は全て)が破綻」してしまっています。
もっと言えば、その施設長の下で働いている職員は「もっと大きなストレスを抱える環境があったのではないか」とさえ推測できます。
そんな環境の中で生活している入所者が幸せだとは思えません。
もちろん、施設長であっても人間ですから、ストレスもあれば人間関係に思い悩むこともあるでしょう。
しかし、その結果が虐待行為であれば「あまりにもお粗末」だと言えます。
虐待の背景に言及していくことが必要
どんな理由があれ、加害者の施設長が行った行為はあってはならないことです。
しかし、断罪してしまうことは簡単ですが、もっと大切なことは「その背景に何があったのか」「どういう背景があってこのような結果になってしまったのか」ということに言及していくことです(警察も更なる余罪もあると見て調べているようなので、日常的に異常だったのでしょう)。
そして、その背景にある問題について対策なり改善をしていかなければ、今後も全国の介護事業所のどこかで再び同じような事件が発生することでしょう。
つまり、こういった介護事件が発生するたびに「トカゲのシッポ切りをして断罪していくだけではキリがない」のです。
物事には全て「原因があって結果がある」のです。
最後に
今回は、北海道日高町にあるグループホームで発生した介護事件について考察しました。
加害者が施設を運営管理していく立場の施設長であったことが特徴的でした。
「虐待はあってはならないこと」だということは当たり前のことで、今必要なのは「何故、介護業界ではあってはならないことが続発するのか」ということに言及して対策を練ったり改善をしていくことではないでしょうか。