2025年問題や状態的な人手不足が叫ばれる介護業界ですが、その打開策のひとつとして「ポジティブキャンペーン」を頑張っていらっしゃいます。
介護の素晴らしい点、介護のやりがいなどをアピールし、一人でも多くの人に介護に興味を持ってもらったり介護人材の確保をしていきたいという目的があります。
それはそれで大変良いことだと思うのですが、愚痴やネガティブな発言対して「敏感」だったり、「敵対心」さえ感じてしまうことがあります。
その様相は、あたかも「封殺したい」「臭いものには蓋をしたい」「隠蔽したい」という思惑が渦巻いているようで違和感を覚えてしまいます。
今回は、「介護職員の愚痴やネガティブな発言に敏感な人達の特徴と違和感」について記事を書きたいと思います。
介護職員の愚痴やネガティブ発言に敏感な人達の特徴
愚痴やネガティブには負のイメージがつきまといますが、悪いことばかりではありません。
例えば、
- 問題点の可視化
- リスク管理の慎重さ
- 深く物事を考察
という良い点もあるのです。
しかし、「そんなこたぁ関係ない」と言わんばかりに「愚痴もネガティブも一切ダメ!」と規制してしまえば弾圧になってしまいますから、そのラインを超えない範囲で注意喚起や否定や批判が行われています。
では、介護職員のネガティブ発言に敏感になってしまう人達の特徴はどのようなものがあるのでしょうか。
特徴①「介護現場で働いていない人」
介護職員の愚痴やネガティブ発言に対して否定的で敏感な人達の特徴は「介護現場で働いていない人」が多い印象です。
国を筆頭に業界団体や職能団体、行政、民間福祉団体、コンサルタントなどになります。
現に介護現場で働いていないだけでなく「全く介護経験がない」という人も多数含まれているのが特徴です。
介護未経験だったり聞きかじった程度で一体何がわかるというのでしょうか。
また、他にも「元介護士」「元ケアマネ」などの過去に介護現場で働いていたが現在は違う仕事をしている人もごく稀にいます。
辞めても尚、介護現場が気になるのでしょう。
気になるのは別に構いませんが、何故現役介護職員の「生の発言」に敏感に反応したり否定してしまうのでしょうか。
こういった人達を端的に表した言葉に「外野がうるさい」という台詞があります。
介護現場で働いていない人にとっては、「高みの見物」か「対岸の火事」なのかもしれませんが、実際に働いてみないとわからないことも沢山あるのです。
特徴②「介護現場に片足だけ突っ込んでいる人」
他にも、介護職員の愚痴やネガティブ発言に対して否定的で敏感な反応をする人の特徴として「介護現場に片足だけ突っ込んでいる人」がいます。
例えば、介護現場の経営者や管理者、出勤しても全然仕事をしない介護士、自分のやりたい業務しかやらない介護士などです。
要は、介護現場のごく僅か一部分しか体験していないため、本当の苦労がわからないのです。
もちろん、嫌な体験はしないに越したことはありませんが、そのしわ寄せが他の介護職員にいっています。
こうした介護現場に片足だけ突っ込んでいい気になっていたり、他の介護職員の愚痴やネガティブ発言に敏感に反応して批判してしまう人達は「人の痛みがわからない」だけでなく、「他の介護職員につらい業務を押し付けている」のが特徴です。
ネガティブ発言に敏感な人達に感じる違和感
介護職員の愚痴やネガティブ発言に敏感な人達の特徴をご紹介しましたが、こういう人達には違和感を覚えてしまいます。
違和感①「不寛容」
多様な価値観を認め合う社会になってきたというのに、ネガティブなものばかりを一方的に否定してしまうのはあまりにも不寛容です。
そもそも、ネガティブな発言をしている側はポジティブを否定していません。
何事にもメリットがあってデメリットもあるように、介護現場にもポジティブなこともあってネガティブなこともあるのが当然ではないでしょうか。
それなのに、ネガティブだけ封殺しようとする姿には違和感しか感じません。
違和感②「隠蔽体質そのもの」
ネガティブに敏感で不寛容で封殺しようとする姿は、「隠蔽体質そのもの」に見えてしまいます。
「臭いものには蓋」とも受け取れます。
いくら表面上に綺麗なメッキを施しても、中身が変わらなければ意味がありませんし、メッキもいつか剥がれてしまいます。
それではあまりにも短絡的ですし違和感を覚えてしまいます。
違和感③「責任転嫁している」
どこかで見たのですが、「介護職員が不足しているのはネガティブイメージのせいだ」という発信がされていました。
敏感になって否定するどころか、介護人材不足を「ネガティブイメージの責任に転嫁」してしまっています。
そしてこう続きます。
「ネガティブイメージが払拭できれば介護人材が確保できる」…らしいです。
あまりにも見当違い甚だしいのではないでしょうか。
ネガティブなイメージのせいで介護人材が集まらないのではなく、「介護現場には実際にネガティブなことが多いから介護人材が集まらない」のです。
先ほども言いましたが、表面上のイメージや印象だけを変えても上辺だけのメッキに過ぎません。
物事には全て「原因があって結果がある」のですが、ここまで華麗に原因を見誤り責任転嫁をしているのは「わざと」としか思えません。
もし本気でそう思っているとしたら、言わなくてもわかる「相当ヤバい業界」です。
違和感④「今いる人材を大切に思っていない」
ポジティブキャンペーンを推進して新たな介護人材を確保していこうとするのは良いですが、もっと大切なことは「今いる人材を大切にしていくこと」ではないでしょうか。
せっかく介護の仕事をやりたい人が増えても、今働いている介護職員がどんどん辞めていけば本末転倒です。
今頑張っている介護職員を守るために、愚痴やネガティブを斬り捨ててしまうのではなく、もっと真摯に受け止めていくことが重要ですし、ひいては、それが新たな人材確保にも繋がっていきます。
ですから、ネガティブな発言に敏感になって封殺したり斬り捨ててしまうのではなく、ネガティブな原因そのものを改善したり解決していける方針の方がよっぽど建設的です。
違和感⑤「実情に沿っていない」
介護業界は介護現場を知らない人が主導しているため、本当によくあることなのですが「実情に沿っていない」ということにはいつも違和感を覚えてしまいます。
つまり、「リアルな介護現場の真実」です。
統計やアンケートなどのデータや紙媒体の資料だけわかることはたかが知れています。
リアルな介護現場を知っているのは介護職員です。
その介護職員がネガティブな発言をしてしまうということは、「そこにはネガティブなことが存在するという真実」でしかありません。
これは「一種の宝」です。
そこからどんどん良い業界にしていけます。
それなのに「封殺」「隠蔽」「臭いものには蓋」をされてしまっているのが現状です。
だからいつも「実情に沿っていない」と言われてしまうのです。
介護職員の愚痴やネガティブ発言に敏感になったり封殺してしまう人達は、一度リアルな介護現場を体験してみてはいかがでしょうか(特にワンオペ夜勤やハラスメントをする利用者の対応)。
最後に
今回は、「介護職員の愚痴やネガティブな発言に敏感な人達の特徴と違和感」について記事を書きました。
現状で忌み嫌われてしまっている「愚痴やネガティブ発言」ですが、そこを封殺してしまったり目の敵にしてしまうと逆に良くないのではないでしょうか。
対人援助法では「受容」や「共感」が求められていますが、介護職員のネガティブ発言に対しては「否定」や「封殺」のダブルスタンダードではお互いに上手くいきません。
介護保険を使う人を最優先してきた制度ですが、そろそろ「介護保険を支えている人」にも目を向ける時が来ているのではないでしょうか。