現在は個々の働き方も多様化してきて、介護職員でも派遣社員として働いている人も増えてきました。
派遣社員として働くメリットとデメリットはそれぞれあるので、それを否定するつもりはありません。
正に「働き方改革」であり、個々人の選択の自由であると思っています。
その反面、派遣社員を雇っている側の介護施設にとってもメリットとデメリットがあります。
もちろんこちらも事業所の自由ではあるものの、掘り下げて考えていくと「介護現場にとっては良くない状況」だということが見えてきます。
今回は、「派遣介護職員を雇っている介護施設がヤバい理由」について記事を書きたいと思います。
※この記事の内容は、直接雇用を予定している「紹介予定派遣」を除きます。
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介護施設側のメリットとデメリット
派遣社員を雇っている介護施設にもメリットとデメリットがあり、「メリットの方が大きい」という判断の上で派遣社員を雇用しているわけですが、往々にして「デメリットの方が大きいけれど派遣社員を雇用しなければならない状況に陥っている」という場合があります。
派遣社員を雇用するメリット
まずは派遣社員を雇用する事業所側のメリットから見ていきたいと思います。
【メリット】
など |
確かに事業所側にもメリットがありますが、いくらボーナスを支給しなくても良いにしても、人件費として本人に支払われるお金以外にも派遣会社の取り分も支払う必要があるため、長期的に見ると「正職員と同等かそれ以上の負担がある」ことになります。
ですから、実質のメリットとしては「人員の補填」と「派遣切り」ということになるでしょう。
派遣社員を雇用するデメリット
次に、派遣社員を雇用する事業所側のデメリットを見ていきたいと思います。
【デメリット】
など |
コストに関しては前述した通りです。
直接雇用していない派遣社員に指示を出す際は、内容によっては派遣元の派遣会社を通さなければならない場合もありますし、「スムーズさ」や「臨機応変さ」に欠けてしまうことが考えられます。
また、多くの場合は「派遣人材を指名することはできない」ために、同じ料金を支払っていても質にばらつきが出てしまいます。
派遣介護職員を雇用している介護施設がヤバい理由
どちらにしてもメリットもデメリットもあり一長一短なように感じますが、掘り下げて考えていくと「派遣介護職員を雇用している介護施設はヤバい」と言えます。
ヤバい理由「派遣社員でしか補えない人員不足」
介護施設などの事業所が派遣社員を雇用する最大の理由は「人員不足」です。
人員不足さえ無ければ派遣社員を雇用する必要はありません。
ごく稀に「人員は足りているけど保険のために」という事業所もあるかもしれませんが、例外的であり一般的ではないでしょう。
平成28年度老人保健事業推進費等補助金老人保健健康増進等事業「特別養護老人ホームの開設状況に関する調査研究」においても、「派遣社員の雇用は人員配置を満たしていないときの対策」という調査結果が出ています。
【出典】https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/63_mizuho_1.pdf
これがどういうことかと言うと、「本当ならば派遣社員を雇用せずに直接雇用の職員を確保したかったがそれが出来なかったため繋ぎとして派遣社員を雇用している」と考えることができます。
つまり、派遣社員を雇用している介護施設には「直接雇用の人材を確保できない何かがある」と深読みすることができます。
施設独自で職員を雇用できず「派遣社員を雇用することで凌いでいる介護施設はヤバい」のです。
派遣社員を雇用している介護施設は労働環境が劣悪?
前述のように、直接雇用をしたくても求人応募も来ず、起爆剤的に派遣社員で繋いでいかなければならない介護施設は「労働環境が劣悪」なのではないでしょうか。
それは「過重労働」であったり「人間関係」であったりします。
事業所の運営の立て直しや、業務改善のために一時的に派遣社員を雇用しているのなら致し方がない部分はありますが、派遣社員の雇用が常態化している事業所は「どこかに問題がある」と言えます。
そもそも、ただでさえ介護職員の給料となる財源の問題が言われている中で、派遣介護職員個人だけでなく派遣会社にもお金が流れていく構図を常態化させてしまうことは「健全ではない」のではないでしょうか。
今後の課題は直接雇用の介護職員を充足させていくこと
以上により、「労働環境を省みずに派遣社員を雇用している介護施設はヤバい」と言えます。
今後「派遣介護職員を雇用しなくても良い環境づくりと人員の充足」ということが課題になります。
つまり、介護施設や介護現場にとっては「直接雇用の介護職員だけで業務を回せるのが健全な姿」なわけですから、そうなるように職場環境を見直して退職者を減らしたり、求人応募が増えるような環境づくりをしていくことが急務です。
最後に
今回は、「派遣社員の介護職員を雇用している介護施設がヤバい理由」について記事を書きました。
個人の働き方や雇用形態については自由ではありますが、事業所側に立って考えてみると「派遣社員の募集=人員不足=ヤバい何かがある」と言えます。
ですから、今後介護業界全体が健全化していくのだとすれば、派遣介護士の求人は減っていくのが妥当ではないでしょうか。