以前見たニュース報道で、介護職員としてとても気になるものがありました。
その内容としては
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というものになります。
私は「利用者からのセクハラは受け入れる必要がない」と考えており、更には「今後の介護業界や現場からそういった職員への人権侵害がなくなっていけばいいなぁ」と念願しています。
今回は「同じ介護福祉士でもこうまで考え方が違うのか」と思ったニュースについて記事を書きたいと思います。
ニュース概要
「胸触らせて」本当にあった介護セクハラ、美人介護士の“神対応”にSHELLYも驚き
【出典】https://times.abema.tv/posts/3162705
キツそう、給料が安そう……などマイナスイメージがつきまといがちな介護の仕事。
毎週土曜夜23時からAbemaTV(アベマTV)で放送中の『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』では、番組MCを務めるSHELLYと共に「介護ほどステキなお仕事はない」をテーマに、現役の介護福祉士たちが介護現場の実態と本音を赤裸々に語った。
介護福祉士とモデル業を両立している上条百里奈さんは、利用者のお世話をする中で、おじいちゃんに「結婚したい!」と求婚されたことがあるという。
シングルマザー芸人・介護福祉士 “ももち”こと柏崎桃子さんも「セクハラみたいなことなんて日常茶飯事」と発言。他の介護福祉士たちも大きく頷いた。
続けて「ものすごく失禁が多かった男性の利用者さんが、私へのスキンシップによってか、シャキッとして、失禁が止まった」という不思議な体験も語った。
SHELLYは「そういうのを怒ったりしないんですね! 相手にするんですね!」と驚いた様子。
上条さんは「怒ることはありえないですね、プロとして失格。例えば私の場合、寝たきりで左側が半身麻痺のおじいちゃんに『どうしても胸が触りたい』と真剣にせがまれたことがあります。
なので『左手(麻痺している方)ならいいですよ~』って答えたら、今まで全然リハビリしなかったおじいちゃんが、その日から一生懸命リハビリしだした。
胸を触りたい、そんなことで『明日も生きたい!』と思ってくれたらそれで充分」と話した。
“欲望とは立派な生きる原動力”であるということを身を持って知っている介護福祉士のかわし方は、さすがプロ級だ。
上条さんの神対応にSHELLYは「夜のお姉さんじゃないけど、お酒の席みたいな、かわし方を身につけていくんですね!」とコメント。
上条さんは「銀座ホステスのクラブのママのブログを熟読し、おしゃれなかわした方や粋なかわし方を勉強した」という。
( AbemaTV /『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』より)
【出典・引用元】Abema TIMES
利用者のセクハラを肯定する内容
まずひとつ言えるのは、このニュースに書かれている内容は「セクハラを肯定する内容」であるということです。
相手は「高齢者」「利用者」「お客様」「認知症者」だから
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という内容には違和感を感じてしまいます。
介護現場において、セクハラを容認してはいけない環境づくりが必要なはずなのに、肯定されてしまっては元の木阿弥です。
セクハラを受け入れることを賛美
ニュースを読むと、
「どうしても胸が触りたい」
と真剣にせがむ利用者に
「麻痺側の手でなら触って良いよ」
と答える介護福祉士。
そしてそれによってリハビリを頑張る利用者。
「明日も生きたい」と思ってくれたらそれで充分 |
だそうです。
女性介護士へのスキンシップで失禁がなくなった男性利用者がいたという内容も書かれています。
「利用者の幸せ」を追求したらそういう対応になってしまうのでしょうか。
そしてそれを「神対応」と言って賛美する番組。
「何か違う」
「気持ちが悪い」 「気分が悪い」 「馬鹿にしている」 「馬鹿にされている」 |
という印象を受けてしまいます。
セクハラを受け入れないとプロ失格?
「セクハラは仕方がない」という考え方は、 百歩譲ってそういう考えの職員もいるのかもしれません。
もちろん、「仕方が無い」以前に「どうしようもない」という環境しか準備されていないのも事実です。
「セクハラを怒ることはプロ失格」というようなことが書かれていますが、「ダメなことを怒らないことがプロなのではなく、ダメなことをダメだと言えることが本当のプロ」なのではないでしょうか。
介護現場に「特別」は必要ない
こういった対応ができる介護福祉士が「資質が高い」と言われる業界なのでしょうか。
そもそも、介護現場には「統一した介護」が推奨されています。
誰かがセクハラを受け入れているなら、 他のスタッフも受け入れなければ「統一した介護」とは言えなくなってしまいます。
もし、一人でもセクハラを受け入れ、そしてそれが神対応だとするならば、利用者から
「あの職員は触らせてくれたのに、アンタは触らせてくれないのか」
という事になりかねません。
「この施設は統一した介護が出来とらん!」
とお叱りを受けるかもしれません。
それとも、情報を共有して統一した介護をするために、スタッフ全員が利用者から体を触られ続けなければならないのでしょうか。
そんなバカな話はありません。
たった1人の職員のスタンドプレー(神対応らしいですが)によって、他のスタッフも迷惑を被ることになります。
介護現場に「特別」は必要ないのです。
新たなハラスメントを生じさせる
もし、自分の職場に同じようなことをしている女性スタッフがいたらと想像すると、とてもおぞましい気分になります。
そういう対応をやめるように言ってしまうかもしれません。
しかし、そういった「セクハラを受け入れている現場」を見せられることによって、不快になる同僚や他利用者がいたとしたら、その行為自体が「セクハラ」や「モラハラ」ではないでしょうか。
1人でもセクハラを受け入れる特殊な対応をする職員がいるだけで、職場は更なる「ハラスメント」を生じさせる危険があるのです。
介護保険外でやればいい
介護現場の多くは「介護保険という税金で運営」されています。
財源が乏しく、なかなか介護職員の給与水準も上がらない状態の中で、わざわざそんなセクハラまで受け入れるサービスまで提供する必要はありません。
但し、介護の行きつく先として、「セクハラも受け入れる」という選択肢があるのだとすれば、介護保険外のビジネスモデルで検討されてはいかがでしょうか。
例えば
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などで実費で利用をしていけば問題はありません。
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が集まるのですから、ビジネスとしては成立するのではないでしょうか。
そして誰も不快な思いもしませんし損もしません。
最後に
今回は「介護現場でセクハラを受け入れることが本当に神対応と言えるのか」ということについて記事を書きました。
介護現場では今なお
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が存在します。
そういう人達にとって「セクハラを受け入れる介護士を神対応と賛美し、誤解を招く情報発信」は明らかに逆風となります。
この番組を目にした一般の人や世間の人や高齢者やその家族などが「介護士はセクハラも受け入れてくれる」と思われてしまうことがあれば大変遺憾に思います。
介護現場ではセクハラは受け入れられませんし容認もできません。
むしろ排除していく必要があるものです。
同じ介護福祉士でも、こうまで考え方が違って、一方では賛美される内容に「違和感と不快感」を覚えてしまうところに「介護業界の闇」があるのかもしれません。