介護現場では、利用者を中心として利用者のニーズに沿った介護をしていくことがとても大切になります。
ですから、利用者の声に耳を傾けながらより良い信頼関係を築いていくことが必要です。
しかし、介護職員としてケアをしていく中で、「利用者の発言を鵜呑みにしてしまうとつまずいてしまうパターン」も存在します。
「つまずく」とは、「ミスや失敗」又は「勘違いや認識のズレが生じてしまう」という意味です。
利用者のニーズをもとに介護サービスを提供しているのに、利用者の発言を鵜呑みにするとつまずいてしまうとはどういうことなのでしょうか。
今回は、介護現場で利用者の言うことを鵜呑みにするとつまずくパターン3選をご紹介したいと思います。
介護現場で利用者の発言を鵜呑みにするとつまずくパターン3選
それでは早速、介護現場で利用者の言うことを鵜呑みにするとつまずくパターン3選を詳しくみていきたいと思います。
①認知症や虚言癖がある利用者
認知症があり意思疎通が図れなかったり不十分である利用者や虚言癖や作話症がある利用者の言うことを鵜呑みにしてしまうとつまずいてしまいます。
何故ならば、「本当のことではない可能性が非常に高いから」です。
本来であれば、介護職員は利用者の状態を把握しているのでそういう利用者の発言を鵜呑みにするということはまずありませんが、利用者の状態を把握していない人は鵜呑みにしてしまいがちです。
例えば、
- 新人職員
- 現場に殆ど来ない上司や経営者
- 外部の人(ボランティアや他の利用者の家族など)
などです。
新人職員の場合は、発言内容を鵜呑みにして対応をしてしまうことでミスや失敗に繋がりかねませんし、現場を知らない上司や外部の人にしてみれば、真に受けて信用してしまうことで誤解や認識のズレが生じ介護現場を混乱させるような事態に発展してしまうこともあり得ます。
②共依存の関係になってしまう
利用者と自分(職員)がお互いに依存しあうような関係になってしまうとつまずきやすくなります。
利用者に
「あんたは本当に色々やってくれて助かる」
「あんたは他の職員とは違う特別な存在」
ということを言われれば悪い気はしないことでしょう。
しかし、それを真に受けて、その利用者だけに
- スタンドプレイで特別な介護をしてしまう
- 必要以上の過剰な介護をしてしまう
- 特別な感情を抱いてしまう
ということになれば「共依存の関係となり非常に危険」です。
何故なら、統一した介護をしていくことが大切なのに、そのチームプレイを乱すことになる上に明らかに不健全な状態だからです。
そもそも、長い人生経験のある海千山千の高齢者であれば「同じことを誰にでも言っている」ということも往々にしてあり得るのです。
例えば、自分1人が利用者からの性的なニーズに応えていて、利用者もそれに満足している場合であっても「普通に考えて良くない状況」であることは明白です。
共依存の介護は自己満足であってプロの仕事とは言えません。
利用者の言うことを鵜呑みにしてしまうことで「人間関係や信頼関係の構築方法を履き違えてチームワークの和を乱してしまうことになる」ため、つまずいてしまうことになります。
③利用者の記憶違いや勘違い
意思疎通が図れる利用者であっても、その発言内容を鵜呑みにしてしまうとつまずいてしまうことがあります。
何故ならば、利用者の記憶違いや勘違いがあり得るからです。
他にも、
- 羞恥心
- 高齢者特有の意地や遠慮深さ
などで、実際とは異なることを言う場合も考えられます。
高齢者の心理面の把握が難しい理由については、下記記事をチェックしてみて下さい。
例えば、トイレの声掛けをした時に、
「さっき行った」
という返答があった場合、それを鵜呑みにしてしまうと「さっきトイレに行ったのなら今行かなくても大丈夫だな」という判断をしてしまうことでしょう。
しかし、「さっきトイレに行った」というのが、
- 6時間ほど前のことを指している
- さっき行ったような気がしているだけ
- 排泄介助をされるのが恥ずかしいので適当に答えている
ということも往々にしてあり得ます。
ですから、利用者の言うことを鵜呑みにせずに他職員に確認したり記録をチェックするなど冷静に判断しないと、その後失禁をしてしまったり、1人でトイレに行こうとして転倒してしまうということにもなりかねません。
言葉は悪いですが、「介護現場では目の前のことを疑って掛かるくらいの慎重さも必要」なのです。
最後に
今回は、介護現場で利用者の言うことを鵜呑みにするとつまずくパターン3選をご紹介しました。
もちろん、利用者のことを疑ってばかりでは信頼関係が築きにくくなるのも事実ですが、「常に気づきを得ようとする姿勢が大切」と言い換えればシックリくるかもしれません。
言い放たれた言葉そのものよりも、その裏にある本心や状態の把握に目を向けて、情報を共有しながらチームプレイで統一した介護をしていくことが重要なのです。