ショートステイが排便ステイになる時「利用者と家族の思惑と対応方法」

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ショートステイは介護保険法で言うところの「短期入所生活介護(又は短期入所療養介護)」です。

その名の通り在宅生活などをしている利用者が「短期間入所」する形態の居宅系介護サービスに位置付けられた施設入所系の介護事業所になります。

とは言っても、「特養の入所待ち」などで、長期間入所している利用者も少なくありません。

これを俗に「ロングショートステイ」と呼ぶのですが、名前からして「長くて短い滞在」という文学小説のタイトルに出てきそうなミステリアスなものになっています。

ロングショートステイについては下記記事で解説していますので、ご参照下さい。

ショートステイとは「短期入所生活介護」のことで、名前の通り利用者は介護サービス提供事業所に「短期間」入所して介護を受ける「居宅系の介...

さて今回は、ロング利用ではなく、ちゃんと決まった曜日に利用して決まった曜日に帰っていく「ショートステイを正しい趣旨で定期利用されている利用者とその家族」について、「ショートステイを排便ステイとして利用しているケースとそれぞれの思惑」について記事を書きたいと思います。

ショートステイが排便ステイになる時

「ショートステイが排便ステイになる」とはどういう意味なのでしょうか。

滞在中に毎日下剤の服用を希望する家族

プルゼニドやラキソベロンなどの下剤がありますが、家族の希望で「ショートステイ滞在中は毎日服薬させて欲しい」ということがあります。

下剤を服用すれば大概は出ます。

そして大半は水様状のものになります。

水様のものは固形の場合とは違い扱いや処理が難しく、衣服やシーツ類をいとも容易く貫通し染み込んでいきます。

もちろん、それを処理するのが介護職員の仕事のひとつであるため、通常業務として介助を行います。

しかし、下剤を服用した場合、排便は一度だけではなく何度も何度も出ることがあり「なかなかの手間である」ということは間違いありません(徐々に量は少なくなっていきますが)。

そして、「毎日下剤服用希望」なのですから、この状態が滞在中、毎日繰り返されることになります。

家では下剤を服用していない

利用者にとって、便が出きってスッキリして帰っていくことは良いことなのですが、問題は「家では一切下剤を服用していない」ということです。

つまり、家では排便が一切ないのです。

もっと言えば「家で溜め込んでいる」ということになります。

そして排便ステイへ…

そして決まった曜日になればショートステイへ行きます。

前述したようにショートステイには「毎日下剤服用の希望」をして、「家で便を溜め込んで」利用します。

溜め込んでから来ているのですから、そりゃ出ます。

それはもう「ショートステイという名の排便ステイ」なのです。

排便ステイにおける利用者と家族の思惑

利用者の認知機能や心身状態にもよりますが、「排便ステイ」をしている利用者と家族の思惑はどのようなことが考えられるでしょうか。

利用者の思惑

ショートステイの滞在中に何度も便失禁をしてしまう利用者本人は、

  • 恥ずかしい気持ち
  • 申し訳ない気持ち
  • 腹部痛や不快感
  • 不安感

などの思いや気持ちがあるでしょうし、水様便が繰り返し出ることで皮膚異常や尿路感染などのリスクも高くなります(もちろん毎回陰部洗浄をするにしても)。

メリットがあるとすれば、「便が出てスッキリする」ということくらいでしょうか。

家族の思惑

ショートステイの滞在中に毎日下剤服用の希望をしつつ、家では一切下剤を服用させていない家族は、

  • 家で排便の処理をしなくて済む
  • お金を払っているのだからやってもらって当然
  • 介護のプロがやってくれるので安心

などの思惑があるのではないでしょうか。

ショートステイの利用目的として「レスパイト(休息)」もあるのは確かですが、この状況では「誰のための介護なのか」がわかりません。

このケースに限らず、利用者を中心とした介護のはずが、いつの間にか「家族を中心として家族のための介護」になってしまっている場合が往々にしてあり得ます。

介護事業所で介護サービスを提供したり受けたりする際に「介護士はプロなんだから完璧な介護をして当然」という考え方をしている人がごく稀に...

介護士の内心と対応方法

ショートステイを排便ステイとして利用されている利用者や家族に対して、介護士はどのような気持ちを持つのでしょうか。

【ポジティブな気持ち】

  • 便が出てスッキリしてくれるのならそれでいい
  • 仕事なのだからやるしかない
  • 家族の希望なのだからやるしかない

【ネガティブな気持ち】

  • 家で溜め込んでくるのは勘弁して欲しい
  • 時間と手間が掛かってしまって業務に支障が出る
  • 便を出すだけの毎日では利用者本人も可哀想だ

などなど、複雑な思いをするのではないでしょうか。

また、前述したように「皮膚異常」や「尿路感染」などのリスクも懸念されます。

では、こういったケースの場合、どういった対応方法があるのでしょうか。

【排便ステイへの対応方法】

  1. 排便の状態(便状、量、頻度など)や皮膚状態の観察を行いしっかりと記録をつける
  2. 職員会議などで議題に上げたり上司や他職種(看護師や生活相談員等)などと情報共有し今後排便ステイを「継続していく」のか「変えた方が良い」のかの案を出す
  3. その結果を利用者の記録や状態とともに理由を添えて担当居宅ケアマネへ報告し対応を仰いだりサービス担当者会議の開催を依頼する

というような順序でまずは施設内で検討し意見を取りまとめた上で担当居宅ケアマネへ報告することが大切です。

事業所のやり方や方針によって多少順序や内容に違いはあるかもしれませんが、大切なことは「自分の思いだけで行動しない」「いきなり家族に伝えない」「多職種で情報共有し連携を取る」ということです。

介護職員の思いだけでスタンドプレイに走ると思わぬカウンターパンチを食らったりクレームに発展してしまうなど、逆に窮地に陥ってしまう可能性がありますので注意が必要です。

介護は様々な人達とチームを組んで行います。 そのことを「チームケア」と呼んでいます。 介護職員が現場で介護を提供する場合...

最後に

今回は、ショートステイが排便ステイになる時「利用者と家族の思惑と対応方法」について記事を書きました。

ショートステイをこういった方法で利用されると、それはもう「排便ステイ」と言っても過言ではありません。

家族のフォローをしていくのも介護の仕事のひとつではありますが、「誰のための介護なのかわからない」ということになれば本末転倒です。

また、1日に何度も下剤の反応便を処理する時間と手間は相当な負担になります。

しかし、この点を前面に出しても「介護職員の勝手な都合」「事業所の問題」「それは理由にならない」と言って理解を得にくいのも事実です。

リアルな介護現場では色々なことがあり、まだまだ問題は山積みなのです。

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コメント

  1. かず より:

    排便スティですか、初めて聞きました。
    ショート利用中毎日または必ず何回とか入浴回数決めて入浴させてくれって家族はいましたが…。当然家では入浴してません。
    ポジティブな気持ちで援助していきたいところですが現場ではほとんどがネガティブな気持ちになって終うことが多いと思います。
    排便スティとかはケアマネや相談員が家族からのクレームや利用を断られる事を恐れて、または家族にいい顔したいから現場の介護職の事を考えずに家族のいいなりになってしまうから起きてしまうと思います。ケアマネ、相談員、家族に振り回される介護職、利用者は本当に大変だと思います。

    • アバター画像 介護職員A より:

      >かずさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      どの職種も大変でそれぞれの言い分があるのでしょうが、家族の言いなりになってしまう体制は良くないですね。

  2. デイちゃん より:

    定期的に排便しにくいなら、下剤飲まして、二日くらい訪問介護でオムツ交換いれたらいいんじゃないですか?
    もしくは在宅で訪看入れて浣腸してほしいですね。朝一に訪看で浣腸してある程度便を出して、昼夕に訪問介護でオムツ交換すればいい。
    で、排便が終わってからショートステイ利用してくださいって感じ。ww
    まあロングショートで排便がないとなれば、ショート中に何か対応しますけど。ww

    デイでも、朝家で利用者に下剤飲ませて送迎車に乗せる利用者家族がいましたよ。で、送迎車の中でブリブリうんこがはじまるんです。もう送迎車中うんこの臭いですよ。他の利用者に大迷惑だし、本人だって気持ち悪いでしょうに。あの奥さん、どうしてそんな自分勝手なことするんでしょうね。

    今でもデイで毎回利用時に浣腸or摘便してくださいって利用者が何人もいるんですよ。毎回グリセリン浣腸ですよ。おかしくないですか?
    そんなんだったら、訪看で浣腸すればいいのに。
    普通のデイは「浣腸なんてできません」て言うけど、うちの管理者はバカだから「何でもやりま~す」って言うから。
    だって訪看使えば、1時間で8000円とれるんだよ。併設の訪看にさせろよ。クソバカだよね~。デイでなんでもタダでしちゃったら会社が損するのに。

    管理人様のショートも、ケアマネに、「併設の訪看か訪問使って排便のコントロールさせたら、訪看や訪問の売り上げになるし、本人の負担も少なくなるのでいいと思いますけど」とか言ってみたらどうでしょう。
    さんざんためこんでショートでどばーッと出すとか、体には悪いですよね。
    利用者のためにもなるし、併設の事業所の売り上げにもなるし、ショートのスタッフは楽だし、みんな万々歳なのではないかしら。

    • アバター画像 介護職員A より:

      >デイちゃんさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      おっしゃる通りですね。
      しかし、訪看がしないのかそういうことになっているのかはわかりませんが、しわ寄せがショートステイや介護職員に回ってくる仕組みになっているのが闇深いところです。

      • デイちゃん より:

        う~ん、でもショートってすごい業務がタイトでしょう。
        なので、「できないことはできない」「しないことはしない」って言わないとダメですよね。
        他に手段がないならともかく、訪看で浣腸は普通にしてるので、できないことはないので。単にケアマネの怠慢だと思う。
        私のデイの利用者も、訪看で浣腸してる人はいるんですよ。だったらデイで浣腸してる人たちも、みんな訪看で浣腸すればいい。そうすれば、併設の訪看もうるおうし。
        毎回デイで浣腸摘便が当たり前とか、絶対おかしいから。
        しかも24時間痰の吸引が必要とか、全身皮膚剥離とか、暴力すごいとか、一日中金切り声で叫んでるとか、末期ガンとか、そんなんいれたらどうしようもないのにね。
        前の管理者の時、とにかくどんな人でもいいのでってとんでもない重度ばっかり入れたんですよ。したら途中からご新規さんが来なくなって。「あのデイはとんでもない重度を押し付けるところ」って認識がケアマネに定着したらしく、それ以降、「他の方とお話がしたい」「機能訓練で元気になりたい」「趣味活動を楽しみたい」っていう本来のデイの利用者は一人も来なくなりましたよ。
        おかしなことをすると、必ず失敗しますね。www

        • アバター画像 介護職員A より:

          >デイちゃんさん

          こんにちは~
          返信ありがとうございます^^

          まぁそういうことですよね。
          下剤による第2波、第3波の時に訪看がいない可能性があるから家族が嫌がっている可能性もありますね。

          色々おかしなことが多いです。