リアル介護現場の実情

介護士はプロなので「完璧な介護をして当然」という危険な考え方

投稿日:2019年3月7日 更新日:

 

介護事業所で介護サービスを提供したり受けたりする際に「介護士はプロなんだから完璧な介護をして当然」という考え方をしている人がごく稀に存在します。

そういう考え方をしているのは「利用者」だったり「家族」だったり、「介護士」や「上司」の中にもいたりします。

今回は「何故、完璧な介護を求めている人達の考え方が危険なのか」ということについて記事を書きたいと思います。

「事故を未然に防ぐのが介護のプロでしょ」→「無理です」

 

 

 

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介護士に「完璧」を求めることが危険な理由

「プロ=完璧な仕事」というイメージが強いので、介護のプロである我々は「いつでも完璧な介護を提供するものだ」という間違った認識をされている人がいます。

「何故、そのような考え方が危険なのか」という理由を考えてみたいと思います。

 

理由①「介護士を過信しすぎている」

介護士はプロとして、可能な限り完璧な介護を提供しようと努力しています。

リスク予防や管理を行い、質の高い介護サービスの提供を目指していますが、介護士だって人間なのです。

人間である以上、ヒューマンエラー(人為的ミス)は必ず発生します。

プロ野球選手であっても「打率4割以上あれば首位打者」です。

三振もすればエラーもするでしょう。

「完璧ではないからプロではない」とは言えないはずです。

介護士も一人の人間として精一杯の努力はしていますが、スーパーマンやロボットでは無いので「人智を超えた介護は提供出来ない」という事です。

また、残念ながら介護士の中には「資質が低くプロとは言えない職員」も紛れ込んでいます。

常に介護現場は人員不足なので「誰でも雇う」のです。

ですから、介護士を過信しすぎることは「危険」だと言えます。

【2025年問題】「介護職員が37.7万人も不足」その理由は?

 

理由②「お金を払っている、という強い権利者意識」

「お金を払っているんだから」とか「給料を貰っているんだから」と言って、強い権利者意識を持っていらっしゃる人もいます。

おっしゃることもよくわかりますし、当然、介護士も一人の人間として精一杯努力しています。

しかし、介護職員も人間なのです。

先程申し上げたように、ヒューマンエラーはあり得ますし、過剰な権利者意識は益々介護士を委縮させる原因になります。

余計に委縮してしまい、良い仕事ができなくなりますし、「義務と権利」「労働と対価」が正比例していないことを痛烈に意識させることでしょう。

介護士の労働環境は、有給や休憩が取れない等の「権利侵害」が横行しています。

自分の権利が侵害されているのに、利用者に完璧な介護を提供するという義務が発生しているのです。

また、どんなに完璧な介護をしたとしても、それが給料に反映されることはありません。

「頑張れば頑張るほど損をした気持ちになる業界の中で、それでも頑張っている職員を更に追い詰めること」は非人道的です。

益々、現場職員を追い詰めることになり、人材不足が加速していくでしょう。

そしてその結果、「益々、完璧な介護から遠のいていく」のです。

また、介護サービスは「介護保険料」で成り立っています。

介護保険制度の中で、利用者の負担割合は「1割~3割」です。

残りの9割~7割の中には「我々現役世代(40歳以上)が給料から天引きされている介護保険料」が使われています。

どちらかと言えば、我々がお金の面でも支えており、更に介護まで提供しているのですから「お金を払っているんだぞ」などと恥ずかしいことを言うのはやめておいた方が無難です。

そういう「介護保険制度を理解していない人や、過度で過剰な権利者意識を持つ人」がいると、更に人員不足を招き、益々完璧な介護を遠のかせる結果となり「危険」なのです。

 

理由③「何でもして貰えると思っている」

介護サービスは「介護」を提供するサービスです。

それを勘違いして、介護士のことを「何でもしてもらえる家政婦か召使い」だと思っている人がいます。

「自分で出来ることは自分で行う」「自分で出来ない事を支援する」ということが介護保険制度の基本です(自立支援)。

介護士が召使いのような動きをしないからと言って「完璧な介護を提供して当然」「何でも言うことを聞け」などと言っている人がいれば大間違いです。

また、人員配置や人員不足の関係で、「24時間付きっきりの介護は不可能」になります。

それは誰がどう考えても、どんなに足掻いても無理なものは無理なのです。

つまり、職員の目が離れる時間が必ず発生します。

その時間に「事故」などが発生したとしても「不可抗力」でしかありません。

介護士は召使いではありませんし、付きっきりの介護もできません。

「何でもするのが介護のプロではなく、出来ることと出来ないことを判断できる職員こそが本当のプロ」なのです。

以上のことが理解できていれば「介護士に完璧な介護を求めることはとても危険な考え方」だと言えます。

ナースコールは召使いを召喚する装置ではない

 

 

 

最後に

 

今回は「介護士に完璧を求めることが危険である理由」について記事を書きました。

「介護のプロなんだからちゃんとやってよね」などと現場の職員をいじめてみたところで何も変わりません。

変わらないどころか、心象が悪い上に介護士を追い詰める「危険な発言」です。

そして、そういうごく稀に存在する危険な存在によって「介護士の人員不足に拍車が掛かる」と言っても過言ではありません。

まずは「介護士も人間である」ということを認識した上で、お互いのより良い人間関係の構築をしていくことが今の介護現場に必要な最低限のスタートラインなのではないでしょうか。

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