介護現場で働いていると、今まで何度か「利用者の入れ歯(義歯)が紛失した」という事態に遭遇しました。
入れ歯は大切な物ですから職員が必死になって探し、すぐに見つかる場合もあればなかなか見つからない場合もあります。
今回は、「介護あるある」として介護現場で利用者の入れ歯が紛失した際にあり得る発見場所5選をご紹介したいと思います。
【介護あるある】あり得る入れ歯の発見場所5選
入れ歯が紛失していることに気づいた場合、「時間との勝負」になります。
時間が経てば経つほど「ゴミ等と一緒に業者が回収してしまう」「入れ歯自体が乾燥して破損してしまう」などのリスクが高くなっていくからです。
紛失した入れ歯の「あり得る発見場所」を5つご紹介したいと思います。
発見場所①「ティッシュにくるまれている」
一見、ゴミのように見える使用済みのティッシュの中に入れ歯をくるんでいることが多々あります。
利用者本人がそうしているのです。
ティッシュの中に入れ歯が入っていることに気づかずに捨ててしまうと大変なことになります。
「捨てる時の手触りでわかるだろう」と思われるかもしれませんが、「使用済みのティッシュが散乱している居室の掃除をする際に、流れの中で気づかずに捨ててしまう」というヒューマンエラーはあり得ます。
また、入れ歯のサイズ(部分義歯等)やくるみ方によっては「手触りでも気づかない」ということもあります。
高齢者は特にティッシュなどの紙類に特別な思いを持っている場合も多いため、身の回りの使用済みのティッシュ1枚であっても慎重な取り扱いが必要です。
発見場所②「衣服の中」
何かの弾みや利用者自身の動作によって「衣服の上に落ちている」という場合があります。
それは多々あり得ることなので、「気づかずに更に床に落として割れてしまう」ということを回避する必要があります。
しかし、衣服の上でなく「衣服の中」に入っていることもあります。
不可抗力ではあり得ない場所なので、利用者自身の意図的な動作によるものになります。
例えば「服の中のシャツのお腹の部分にくるんでいる」「ポケットの中」「パンツの中」などです。
「まさかパンツの中には無いだろう」という思い込みは危険です。
予想外のことが起こることを想定しておく必要があるのが介護現場ですので、パンツの中に入れ歯が入っていることもあるのです。
想定外の所も探すのが定石です。
発見場所③「ゴミや残飯の中」
ティッシュにくるんでいた入れ歯が利用者本人又は職員などによってゴミとして捨てられてしまったり、食事後の残飯と一緒に残飯入れに紛れ込んでしまうこともあり得ます。
この場合は本当に「時間との勝負」です。
業者がゴミを回収したり、残飯を処理されてしまうと発見できる可能性が限りなくゼロに近づいてしまうため、そうなる前にゴミや残飯をかき分けて発見しなければなりません。
汚いだの臭いだの言っていられません。
ゴミの中のティッシュにくるまっている場合もあるため、ひとつひとつのゴミを丁寧に確認していく必要があります。
発見場所④「洗面所の排水管の中」
洗面所の排水口にはゴミ受けがあるため、入れ歯のような大きい物は流れていかないはずですが、このゴミ受けが簡単に取れる構造になっている場合は、何かの原因(多くは利用者本人の行動かと思われます)で排水管の中に流れ落ちてしまっていることもあります。
排水管は臭いが上がってこないように途中が曲がった形状になっているため、多くはその部分に入れ歯があります。
排水管の中にあるかどうかは目視ではわかりませんので、排水管を分解して確認する必要があります。
素人が分解すると素材や老朽化などによって「排水管を割ってしまう」ということもありますので注意が必要です。
発見場所⑤「他の利用者の口の中」
「まさか」とは思うものの、他の利用者の口の中に紛失した入れ歯が入っていることがあります。
その利用者が置いてあった入れ歯を自分のものと思い込んで口に入れたり、あまり考えられませんが「職員が取り違えた」という可能性も否定できません。
「紛失していた他人の入れ歯を口に入れた」というよりも「他人の入れ歯を口に入れた利用者がいるから入れ歯が紛失した」と考えられます。
想定外のことが起こり得るのが介護現場なのです。
紛失した入れ歯が発見できない場所
とにもかくにも紛失した入れ歯が最終的に発見できれば御の字ですが、いくら探しても発見できない場合もあります。
「探す場所が足りなかった」という場合もありますが、その多くは「時間との勝負に負けてしまった」という場合になります。
①ゴミや残飯が処分されてしまった場合
ゴミや残飯が業者に回収され処分をされてしまった後では、入れ歯の発見はほぼ不可能になります。
リネン類などのリース会社であれば回収後に処分をするわけではないため、業者に問い合わせれば可能性は高くないものの「発見できる可能性」はまだ残されています。
②トイレに流してしまった場合
何らかの理由で入れ歯がトイレ内に落ちてしまった場合、気づかずにそのまま流してしまうと発見は困難になります。
排水マスに留まっている可能性もありますし下水道まで流れ込み下水処理場まで行ってしまっている可能性もあります。
どちらにしてもトイレに流してしまうと「発見は困難」です。
③想像を遥かに超えた場所
想定外のことが起こり得るのが介護現場ですが、想像もつかないような場所にある場合は発見できません。
ありとあらゆる場所や可能性を想定して捜索をしますが、どうしても発見できない場合もあります。
そんな場合の多くは上記①②の場合だと考えられますが、ひょっとしたらそれ以外の「想像を遥かに超えた場所」にあるのかもしれません。
最後に
今回は、介護現場で利用者の入れ歯が紛失した時のあり得る発見場所について記事を書きました。
紛失したままだと食事摂取に問題が出てきますし、発見するまでに食事形態を変更するなどの対応も必要です。
紛失した時点で早めに家族への連絡も行っておく必要があるでしょう。
ずっと入れ歯が無い状態は良くないので、発見できない場合は「新しく義歯を作り直す」という選択も検討していかなければなりません。
しかし、新しく入れ歯を作り直したあとに「ヒョイっと出てくる」ということがあるのも「介護あるある」になります。