最近、ブログ記事更新頻度が下がってきており、何人かの方々より心配の声を頂戴しております介護職員Aです。
ご心配をお掛けして心苦しい限りですが、最近ブログ以外に時間を割きたいことが少々ありまして、そちらを優先していた次第です。
よく「忙しいを言い訳にしてはいけない」「時間は作るもの」などという啓発的なことを言う人もいますが、「時間は有限なのだから時間的に無理なものは無理だろう」と思うわけです。
それは介護現場でも同じです。
というわけで、前置きが長くなってしまいましたが、私は元気にしておりますし低頻度ながらもブログは続けていきますので今後とも宜しくお願いします。
さて今回は、「ユニット型特養の真実について記事を書いて欲しい」というリクエストを頂戴しましたので、「ここが変だよユニット型特養(ユニットケア)の5つの真実」と題しまして記事にまとめていきたいと思います。
※ユニットケアは特養に限らずグループホーム(GH)等でも導入されていますので、共通する部分もあるでしょうし共通していない部分もあるかもしれません。
(スポンサーリンク)
ここが変だよユニット型特養(ユニットケア)の5つの真実
ユニットケアは利用者の尊厳を保持し自立支援をしていくための「新しい介護のカタチ」として導入された個別ケアのことです。
元々は、「従来型多床棟のアンチテーゼ」として登場したと言われていますので、業界内では「従来型は古くてユニットケアは新しい」という認識や風潮があります。
しかし、そんな「新しいカイゴ」は利用者にとって良いことだらけのはずなのに、実際の介護現場ではユニットケアは「崩壊寸前」「既に崩壊している」という声があるのも事実です。
一体何故なのでしょうか。
以下で、ここが変だよユニット型特養(ユニットケア)の5つの真実をご紹介していきます。
①人間関係が濃くなりすぎる
人間関係が薄っぺらいよりも濃い方が良いように思われるかもしれませんが、職場内で必要以上に濃密な人間関係が存在するのは少々危険です。
何故ならば、
- 派閥やムラ社会に組み込まれて逃げ場が無くなる
- 井の中の蛙、猿山の大将という状況が発生しやすくなる
- 特別又は特殊な人間関係が構築されやすくなる
ということになりかねないからです。
この状況を地でいってしまっているのが「ユニットケア」なのです。
それは、職員同士や利用者同士であったり職員と利用者との人間関係であったりします。
従来型と比べて更に職員や利用者の逃げ場がないユニット型特養はトラブルが発生する確率が高くなる点で変なのです。
②シフトが組めない
ユニットケア(ユニット型特養)は1ユニット10人の利用者が生活をしています。
しかし、完全に1ユニットごとで区切ってシフトが組まれている特養がどれだけあるでしょうか。
多くの場合は、隣り合った2つのユニット(利用者20人)に対して職員を共有している状態です。
隣り合ったユニットのことを「協力ユニット」と呼びますが、そうやって職員を2つのユニットで共有させないとシフトが組めないのです。
つまり、職員が1つのユニットにしか所属していないと他のユニットではシフトに組み込めないことになってしまうため、協力ユニットという形でどちらにも配置できるようにしているのです。
そうしないと、シフト作成が無理ゲーになってしまいますし全く人員が足りません。
夜勤を2ユニット(利用者20人)に対して1人の職員で対応させているワンオペ夜勤もそういった事情でしょう。
しかし、ここでよくよく考えてみれば「じゃあ、ユニットケアの目指す個別ケアって一体何だったの?」という疑問と違和感が生じてきます。
1人でも職員が欠けたら途端に破綻してしまう脆弱な状況の中で、夜勤明けで入浴介助をさせられるユニット型特養もあるとかないとか。
シフトが組めないために個別ケアという大前提には蓋をして、従来型多床棟よりも手薄になる人員配置になるユニット型特養は変なのです。
③馴染みの関係とは名ばかりの高頻度のユニット編成
ユニットケアでは、「馴染みの関係の構築」も1つのメリットとされています。
それは、利用者同士だけでなく職員と利用者の人間関係であったりします。
しかし、馴染みの関係の構築とは名ばかりに職員は高頻度でユニット編成や異動によってコロコロ変わるのが実情です。
何故なら、職員が辞めていくたびにユニットメンバーを編成し直したり、パワーバランスを考えた人員補充のために異動をさせなければならなくなるからです。
離職率の高い事業所ほどユニット編成や異動が行われる頻度が高いのですから、馴染みの関係どころではありません。
ユニットケアを導入したことで、人員の配置やシフト作成に困窮し高頻度でユニット編成が行われることで従来型よりも馴染みの関係が構築できなくなってしまったという皮肉な結果になってしまったため、ユニット型特養は変なのです。
④つぎはぎだらけのユニットリーダー
ユニット型特養では1つのユニットに必ず常勤のユニットリーダーを配置しなければなりません。
「リーダー」と言えば聞こえが良いですが、必ずしも資質が備わっていてリーダーシップや人徳や実力がある人がユニットリーダーに抜擢されているわけではありません。
何故なら、ユニットリーダーさえ頻繁に退職していく実情があるため、資質が無くても取り急ぎの人材がリーダーに抜擢されることが往々にしてあるからです。
もっと言えば、ユニットリーダーは、
- 日替わり弁当
- 役職というよりも役割(突然の降格さえあるポスト)
- 介護主任、係長、課長、部長などの上司の操り人形
- 数合わせ
という存在になるのです。
人員配置基準で「常勤のユニットリーダーを配置しなければならない」と規定してあるから、無理くりつぎはぎだらけのユニットリーダーを選出しているユニット型特養は変なのです。
(勤務体制の確保等)
第四十条
三 ユニットごとに、常勤のユニットリーダーを配置すること。
⑤個別ケアが虐待の温床
ユニットケアでは、個別ケアで手厚い介護をしていく方針でしたが、前述してきたように人員確保や職員の処遇をおざなりにしたまま箱(ハード面)や方針だけを先行させたためにその歪みで崩壊寸前、いや、既に崩壊していると言っても過言ではありません。
何故なら、ユニットケアのメリットの1つであったはずの個別ケアが虐待の温床となっているからです。
虐待や介護事件は人目がある所では発生頻度が低くなるのは、感情の抑止力が働いたり他の職員に助けを求めることができるからです。
逆に言えば、それらが無いマンツーマンの個別ケアでは虐待や介護事件が発生しやすくなると言えるのではないでしょうか。
ニュース報道などを見ていても、その多くは個別ケア(マンツーマン介護)の時に発生しています。
つまり、皮肉なことに手厚い介護になるはずのユニットケアが虐待の温床になってしまっているのです。
虐待や介護事件を続出させることになるユニット型特養は変なのです。
最後に
今回は、リクエストにお応えして「ここが変だよユニット型特養の5つの真実」について記事を書きました。
もっと個別具体的な阿鼻叫喚のケースを期待してのリクエストだったのかもしれませんが、そうであれば改めて記事にまとめたいと思います(守秘義務違反にならない範囲で)。
尚、ユニットケアが既に破綻しているということについては過去記事でも触れていますのでチェックしてみて下さい。