団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題がありますが、2025年には介護職員が約38万人不足していると言われています。
既に人員不足の介護現場ですが、介護職員が確保できない以上、今後は「介護助手」「介護補助員」の活躍が期待されています(既に導入されている所もありますが)。
今回は、「介護助手、介護補助員とはどういう仕事をするのか」「メリットやデメリット」「どのような人に適した仕事なのか」について記事を書きたいと思います。
「介護助手」「介護補助員」とは?
「介護助手」「介護補助員」とは、読んで字の如く介護職員の「手助け」「補助」をする人材のことです。
病院などの医療機関で看護師の補助をする職種に「看護助手」と呼ばれる職種がありますが、それの「介護職員バージョン」だと思ってもらって間違いないかと思います。
看護師の補助をするのが「看護助手」で、介護職員の補助をするのが「介護助手」ということになります。
どのような仕事をするのか
既に「介護助手」「介護補助員」という職種を導入している事業所も多数あることでしょう。
では、「介護助手」や「介護補助員」はどんな業務をする職種なのでしょうか。
「公益社団法人 全国老人保健施設協会」の資料をみると、仕事内容は以下の3分類になっています。
①Aクラス
一定程度の専門的知識・技術・経験を要する比較的高度な業務(認知症の方への対応、見守り、話し相手、趣味活動のお手伝い等)
②Bクラス
短期間の研修で習得可能な専門的知識・技術が必要となる業務(ADL=日常生活動作に応じたベッドメイキング、配膳時の注意等)
③Cクラス
マニュアル化・パターン化が容易で、専門的知識・技術がほとんどない方でも行える業務 (清掃、片付け、備品の準備等)
【引用元】公益社団法人 全国老人保健施設協会「元気高齢者の介護助手事業について」
まずは「Cクラス」からスタートして、「Aクラス」がより高度で専門的な業務内容となっています。
メリットとデメリット
介護職員にとっては、普段利用者をケアしながら行っている様々な業務の一部を「補助」して貰えたら肉体的にも精神的にも時間的にも大変助かります。
スポット的に単発でしか応援に来ない事務所職員よりも何倍もありがたい存在だと言えます。
徘徊や帰宅願望の強い利用者に付き添っておいてもらうだけで大助かりです。
介護現場にしてみれば、「デメリットはなくメリットばかり」と言っても過言ではありません。
では、「介護助手」「介護補助員」本人にはどのようなメリット、デメリットがあるでしょうか。
メリット
介護職員よりも「業務範囲が限定」されており
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というメリットがあります。
デメリット
介護職員よりも「業務範囲が限定」されているので
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というデメリットがあります。
こうしてメリットとデメリットを見てみると「介護助手や介護補助員になる人というのも限定されてくる」のではないかということがわかります。
どのような人に適した仕事なのか
出世に関しては、介護職員として働いたとしても大したキャリアパスはないので良いにしても「責任が少なくて、給料が安い」という点から、介護助手や介護補助員になる人は
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が対象となるかと思います。
その条件で思い浮かぶのは
- 定年退職後のシルバー人材
- 収入が少なくても良いパート人材
くらいではないでしょうか。
しかし特に現役世代のパート人材などは、事業所に「こいつは使える」と思われてしまうと「介護職員に格上げされてしまう」こともあり得ます。
介護職員になることが「格上げなのか」という謎はありますが、そもそもそれなら「最初から介護職員として入職」すれば良かっただけの話なので、色々と本末転倒な気がします。
となると、基本的に「介護助手や介護補助員はシルバー人材が担っていく」と言えます。
介護助手事業の資料を見ても「元気高齢者」を対象にしたものであることがわかります。
最後に
今回は、「介護助手や介護補助員が今後の介護現場での活躍に期待されている」ということについて記事を書きました。
言い方は悪いですが、要は「介護現場での老老介護の推進」ということになろうかと思います。
介護業務は単純作業ではありませんが、単純作業もあることは事実です。
そういった部分を「介護助手」に担ってもらうことで、介護職員はもっと働きやすくなるのではないでしょうか。
但し、元気高齢者を介護現場に集めたからと言って本当の意味の人材不足は解消できません。
また、高齢者特有の「頑固さ」などで職場内に新たな人間関係問題が発生する可能性もありますし、高齢者の状態や体調は短期間で変化しやすいので、その辺りの管理が今後の課題となっていくのかもしれません。