多くの介護事業所が人員不足に喘いでいます。
その原因は
- 低賃金
- 過重労働
- 人間関係
などの劣悪な待遇や環境によるのは明らかです。
逆に言えば、それらが改善すれば人員不足も解決するはずです。
上司や管理者や経営者も含め、職場全体で改善に取り組めば少しずつでも解決していくはずですが、「そんなことはわかっているのに改善に取り組まない介護事業所」が無数に存在しています。
今回は、「介護事業所の劣悪な人間関係や労働環境の改善を職場全体で取り組めない3つの理由」について記事を書きたいと思います。
職場全体で取り組めない3つの理由
人間関係や職場環境の改善は職員個人レベルではどうにもなりません。
同僚や上司も含め、職場全体で考えていく必要があります。
しかしそれをしようとしない介護事業所が多いため、何も改善していないわけですが、何故職場全体で取り組めないのでしょうか。
理由を3つご紹介します。
理由①「上司や経営者が劣悪さを認識していない」
いくら現場スタッフが改善に取り組もうと思っても、上司や経営者が取り合わなかったり、認識の違いがあれば前へ進みません。
「介護業界はこういうもの」
「うちは介護業界の中ではマシな方」
「人間関係が劣悪だなんて思っていない」
「自分の捉え方次第だろう」
「愚痴や文句を言わずに働け」
と言われておしまいです。
正に「上見て暮らすな、下見て暮らせ」の世界です。
そもそも、パワハラの張本人である上司が「確かに人間関係は劣悪だね、改善しなきゃね」なんて言うはずがありません。
二言目には「そんなに言うなら具体案を出せ」と言う始末です。
介護職員が処遇の改善を訴えると「具体案を出せ」と言う人がいるけど、具体案を考える役割の人がちゃんと仕事をしたら少しは処遇も改善するんじゃないのかな。
— 介護職員A@介護福祉士ブロガー (@kaigosyokuinA) June 8, 2019
介護業界や事業所には「職場環境改善のための具体案を考える役割の人」は存在しないのでしょうか。
強いて具体案を言うなら「職場環境改善の具体案を考えるために存在する上司や経営者(ひいては役人達)が、ちゃんと具体案を考えて職場全体で改善に取り組むこと」ではないでしょうか。
そもそも、何でもかんでも介護職員に被せてくる時点で図々しいのです。
理由②「現状維持で良い職員がいる」
改善するためには職場全体で行動を起こしていく必要があるのですが「現状維持で良い職員」が少なからず存在するので一致団結することが困難です。
現状維持で良い職員とは
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などです。
これらの人達は「別に今のままで良い」のです。
そういう人達が少なからず存在する事業所では、残念ながら一致団結して職場全体で改善に取り組むことはまず不可能です。
理由③「労働組合がない」
介護事業所には労働組合が存在しないところが多いように感じます。
大手の株式会社などでは労働組合が存在する事業所もあるでしょうが、社会福祉法人ではあまり聞きません。
介護職員を対象とした全国規模の労働組合はありますが、事業所固有の労働組合ほど細やかな相談や対応は難しく、また職場全体で取り組むことも難しいのではないかと思います。
労働組合は労働者が団結して、労働環境の改善などの共通目標を事業所や経営者に交渉し達成することを目的とした集団です。
劣悪な人間関係や労働環境が叫ばれている介護業界にうってつけの集団と言えますが、その存在をあまり聞きませんし結成数が増えているとも聞きません。
労働組合を組織しようと考える人が極端に少ないのか、見えない力がそうさせているのかは闇深いところです。
最後に
今回は、介護事業所の劣悪な人間関係や労働環境を職場全体で取り組めない3つの理由をご紹介しました。
「しんどい時こそ職員一丸となりがんばろう」というセリフを呪文のように唱えている上司や経営者は、まずは「職員一丸となって労働環境の改善」に取り組んでみてはいかがでしょうか。
物事には全て「原因があって結果がある」のです。
人員不足の原因を改善できない限りは、いつまで経っても人員不足のままでしょうし、介護職員を使い捨てていった結果が「今」なのではないでしょうか。