【介護現場のリスク管理】目の前の業務を疑いながら働くことの重要性

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介護現場でのリスク管理は、リスクを予見したり再発防止策を情報共有することでリスクの発生が軽減するように管理することです。

「発生してしまったリスクの再発防止」に重点が置かれがちですが、他にも「リスクを予見し事前に防止すること」も大切です。

それは介護職員に必要なスキルのひとつである「気づき」によって「ミスや事故を防止すること」に直結します。

しかしながら、現状の介護現場では「気づきすぎる介護職員は不幸になってしまう」という現実もあります。

こういった矛盾がある中で、今回は「自分や利用者を守るために、目の前の業務を疑いながら働くことの重要性」について記事を書きたいと思います。

「気づき」というのは介護職員にとって、とても大切なスキルであり専門性のひとつです。 利用者の表情・顔色・行動・言動を見ていち早...

自分と利用者を守るために疑って掛かることの重要性

介護現場で「チームケア」だとか「多職種連携」をしていく中で、自分や他職員や他職種を「過信」してしまうことがあります。

もちろん、常に周りを疑いながら仕事をするのは「何だか不健全な気がする」わけですが、常に現場最前線で業務を行う介護職員にとっては「常に疑って掛かるくらいが丁度いい」と言えます。

「疑いながら働く」と言うと言い方が悪いので、言い換えると「常に自分の目で確かめて自分の頭で考えながら働く」ということになります。

何故なら、介護職員が現場最前線で働いている以上、最終的な責任が自分に来るからです。

ですから、「疑いながら仕事をすること」は「自分や利用者を守ること」だと言えます。

介護職員として介護現場で働いていると「これだけはやってはいけない」と思うものがあります。 「それは事故です」と言いたいところで...

頼まれた業務を疑う

介護職員同士であっても、声掛けをしながら役割分担をしていくことが大切です。

そんな中、同僚や上司から色々な声掛けや指示があるのですが、時として「あれ、おかしいぞ?」と思うものもあります。

同僚や上司の指示なのですから、何の疑いもなく行ってしまいがちですが、もし何かあった場合の最終的な責任は、「指示を出した人ではなく実行した自分に来てしまう」のが現状の介護現場です。

例えば、

「〇〇さんに薬を飲ませておいて」

と言われて手渡された薬が違う利用者の薬の場合があります。

これを自分の目で確認して、「あれ、これは違う人の薬だ」と気づき、「これは〇〇さんに飲ませてはいけないものだ」と考え、指示を受けた職員に再度確認することで誤薬(服薬ミス)が防げます。

利用者を守れたばかりか、自分のことも守れることになります。

違う利用者の薬であれば「そんなもの誰でも気づくだろう」と思われがちですが、忙しい介護現場の業務の流れの中で、「思い込み」や「流れのままになすがまま」という状況は発生しがちです。

そんな時こそ「疑って掛かる」ことが大切です。

他職種も疑う

他職種になってくると業務範囲が違ってくるが故に、疑いにくくなります。

例えば、薬のセットは看護師の業務ですが、介護職員にしてみれば業務範囲が違うため、「セットされた薬は間違いのないもの」という前提で業務を進めがちです。

しかし、看護師だって人間なのですから間違いやミスはあります。

例えば、

「朝食後薬の中に昼食後薬が混じっていた」

というようなミスです。

この間違いに気づかずに介護職員が服薬介助をしてしまえば「誤薬(服薬ミス)」になってしまいます。

当然、薬をセットした看護師にも責任はありますが、実際に手を下してしまった介護職員にも大きな責任が掛かってきます。

ですから、他職種が行った業務に関しても、現場最前線で働く介護職員は「疑って掛かる」ということが大切です。

それは、自分を守るためでもあり、利用者を守るためでもあるのです。

自分のやっていることを疑う

自分が実際にやっている業務について常に「何故だろう」という思考を持つことが大切です。

根拠や理由だけでなく、やり方や手順や優先順位についても意識しながら疑いながら業務を進めることで気づきにも繋がります。

「いつもの流れ」「当たり前の業務」「自分の技術や能力」を過信しすぎると思わぬところでリスクが発生してしまうことがあります。

思考を停止させないことは自分を守ることでもあり、利用者を守ることになるのです。

疑って掛かるのは目の前のことだけ

疑いの心ばかり持って働いていると、疑心暗鬼になり人間関係がギスギスしたり、職場の雰囲気が良くならないように感じるかもしれません。

しかし、「疑って掛かるのは自分の目の前のことだけ」です。

そもそも、介護現場全体や他職種の業務全てを疑って掛かっている時間的な余裕もありませんし、そんなことをしていたら業務が回りません。

また、「周りの職員の人間性や業務の質」を疑うわけではありません(疑ってしまいそうになる時は多々ありますが)。

あくまで「自分の目の前にあることについて自分の目で確かめて自分の頭で考える」ということになります。

この当たり前のことを失念してしまうことで、ヒューマンエラーが発生してしまう確率が上がるのです。

現場最前線で働く介護職員は、自分が「最後の砦」「ストッパー」であることも意識しておく必要があります。

最後に

今回は、介護現場のリスク管理のために、目の前の業務を疑いながら働くことの重要性について記事を書きました。

「誤薬(服薬ミス)」に関することをメインに書きましたが、それだけ薬は慎重に取り扱わなければならないものです。

実際、私も新人の頃に先輩職員の指示を疑いもせず信用してしまいミスをしてしまった経験があります。

利用者に大変申し訳ない気持ちと、自分の情けなさが10年近く経った今でも鮮明に思い起こされます。

新人職員もそうですが、慣れてきた頃の中堅やベテランも注意が必要です。

言い方は悪いかもしれませんが「常に介護現場では目の前の業務を疑いながら働くことが重要」だと思っています。

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