以前、介護事業所に存在する「お局職員」の特徴と対処法について記事を書きました。
お局職員と似て非なる存在が「老害職員」です。
老害とは、元々は高齢者が実権を握り若者が活躍できず世代交代が円滑に行われていない「組織」を指す言葉ですが、転じて、能力が老朽化し衰えた高齢者が組織の中で「若者の活動を阻害してしまうこと」を言います。
ですから、「老害職員」とは老害によって若者や周りの職員の正常な業務を妨げてしまう職員のことを指します。
「周りが迷惑を被る」という点ではお局職員と共通しています。
今回は、介護事業所に存在する「老害職員」の10の特徴と対処法について記事を書きたいと思います。
老害職員の10の特徴
介護事業所に限らず全業界や世間でも共通するものもあるかもしれませんが、特に介護事業所でよく見掛ける「老害職員」の特徴をご紹介します。
特徴①「頑固」
高齢になるに従って、考え方や思考に柔軟さがなくなり固定概念で凝り固まってきます。
職員会議やユニット会議などで話し合いや検討をしようとしても、自分の意見を押し通そうとしたり意地を張って話が前へ進みません。
とにかく「わからずや」なのです。
特徴②「人の話を聞いていない」
自分は絶対的に正しいと思っている節があることと、理解力も低下してきているため、あまり人の話を聞いていません。
話を聞いていないため内容も理解をしておらず、皆で決めたことも忘れてしまっていたり足並みを揃えてチームケアを実行することが出来ません。
とにかく「自分勝手」なのです。
特徴③「何度も同じ話をする」
自分が話している内容をいつ誰にしたのか覚えていないため、同じ人に何度も同じ話をしてきます。
「その話は以前にも聞きました」と言っても、そう返答されたことも忘れてしまうため、また暫くしたら同じ話をしてきます。
とにかく「しつこい」のです。
特徴④「プライドが高くくどい」
人生を長く生きているというだけで「自分は若い人よりも気高い」と思っています。
ですからプライド(自尊心)が高く、自分を守るために話もくどくて要点を得ず長くなりがちです。
人生経験や勤続年数でマウンティングをしてくる時点で「プライドだけで中身が無い」ということを物語っています。
特徴⑤「すぐ怒る」
自分の意に反することがあればすぐに怒り出します。
怒りで自分のプライドを守り意見を押し通そうとするため、冷静に話し合いをすることさえ出来ません。
更年期障害の症状のひとつでもあります。
とにかく「ヒステリック」なのです。
特徴⑥「間違いを認めない」
人間であればミスもすれば間違いもします。
それは仕方がないことなのですが、老害職員は自分のミスや間違いを認めようとしません。
プライドの高さが邪魔をして素直になれず、くどくどと言い訳をしたり自分を正当化したりします。
とにかく「プライドが高く自分勝手な都合だけで凝り固まっていて悔い改めることができない」のです。
特徴⑦「まだ若いと思っている」
年齢は重ねてきたとは言え、自分はまだ気持ちも体も若いと思っているため、「まだまだ若い者には負けない」という自負が異常に強くなります。
その負けん気は良いのですが、プライドが高いため素直になれず、「わからないことをわからない」と言えなかったり「間違いやミスを認めなかったり」するために周りが苦労します。
とにかく「年齢の上下や多い少ないで勝ち負けを意識するようになったら老害」なのです。
特徴⑧「都合が悪くなると歳のせいにする」
今まで散々「若い者には負けない自尊心の暴力」「人生経験や勤続年数のマウンティング」をしてきたにも関わらず、都合が悪くなると途端に歳のせいにします。
重い利用者の移乗や真夏の入浴介助などの過酷な業務に直面したり、間違いやミスを指摘されると「もう歳なので…」と言って「か弱い老人」に化け、逃げ出す口実にします。
無理な業務を無理やりする必要はないですが、「普段の横暴な立ち振る舞いとの整合性が図られていないため老害」なのです。
特徴⑨「過去の栄光にしがみつく」
我々よりも長い年月を生きてきた人は、過去に光り輝いていた時期もあったことでしょう。
しかし、いつまでも過去の栄光にしがみつき、何かにつけて「昔はこうだった」「偉いさんのカバン持ちをしていた」「介護とはこうあるべきだ」などという昔の古い話をされても正直困ります。
過去は過去、現在は現在なのです。
世代も時代も変わり、社会の情勢も変化しています。
「温故知新」は大切ですが、「過去の栄光でしか自分の価値を見出せず、過去の栄光にしがみついた内容でしか話が出来なくなってしまうと老害」なのです。
特徴⑩「自覚症状がない」
老害職員は自分が老害であることの自覚症状がありません。
自覚症状があれば意識して自分を規律したり修正していくことも可能ですが、自覚症状がないために老害職員が老害と言われる所以でもあります。
老害職員の対処法
一般的な会社や職場以外であれば、「一切関わらない」という対応が可能かもしれませんが、介護現場ではチームで統一した介護を行っていく必要があるためにそうもいきません。
1人でもスタンドプレーをするような職員がいると、職場全体で働きづらくなってしまいます。
では、介護現場での老害職員はどうすればいいのでしょうか。
対処法①「必要以上に関わらない」
完全に無視やスルーするのではなく、必要以上に関わらないように業務に支障が出ない範囲で最低限の関わりに留めます。
簡単に言えば「大人の対応」をするのです。
老害職員の自尊心を刺激しないように当たり障りなく接します。
お局職員と違うのは、こちらが必要以上に関わらなければ当たり屋のような悪質な被害を最小限に抑えることができるという点です。
対処法②「何度でも言うしかないと割り切る」
老害職員は決めたことや言われたことを忘れたり、自分勝手な行動に出ることがあります。
しかし、それを放置していると「職員によって違う介護が行われるカオスな世界」になってしまい利用者にも迷惑を掛けてしまいます。
ですから、出来るだけ老害職員のプライドを傷つけないように、「こういうやり方で統一しようってことになったんですよ」「そのやり方も良いと思うのですが、皆で検討してからにしませんか」等と何度も同じことを言う必要があります。
「不毛な業務が増える」「誰の介護をしているのかわからない」という不満が出てきてしまうかもしれませんが、「それは割り切るしかない」のです。
事業所が老害職員も1人の職員として雇用している以上、まずは現場の業務を正常化させなければなりません。
老害職員と言い合いをしたり腹を立ててストレスを溜め込んでしまってはこちらが損です。
割り切ってもストレスが溜まるでしょうが、最小のストレスで済む方法を選択する方が明らかに得策です。
対処法③「上司に相談する」
上司に相談するというのは、一番オーソドックスでありながら効果が不明な方法です。
何故なら、上司の人間性や管理能力によってその差が大きくなるからです。
大体の場合は「まあまあ…そう言わずに上手くやってよ」などと言われて終わりでしょう。
能力の高い上司であれば、適宜の指導や職員個々の特性を見極めた上で適材適所の配置転換をしてくれる可能性もあります。
対処法④「反面教師にする」
「他人の振り見て我が振り直せ」ということわざがあるように、老害職員を毛嫌いして完全拒否をするのではなく、「自分はこうならないようにしよう」「こんな事を言い出したら自分も老害になってしまうな」ということを学習し、反面教師として受け入れる方法です。
実は老害職員と呼ばれている人の中には、老害行為は迷惑なものの、別の側面では気さくな人柄だったり気の良い部分があったりします。
人間性さえも最低最悪な老害職員はさておき、そうでもない場合は反面教師として密かに観察して自分への戒めとするのも1つの対処法だと思います。
対処法⑤「信頼関係を築く」
「老害職員と信頼関係なんて築けない」と思われるかもしれませんが、前述したように別の側面では人柄や気前が良かったりする部分があったりします。
老害は老害ですが、誰だって良い部分もあれば悪い部分もあります。
つまり、自分だって完璧な人間ではないことを知っていれば「人間vs人間」の話なのです。
老害職員と呼ばれている人と信頼関係を築くという「ウルトラC」が出来れば、「きみがそう言うのならわかった」「あなたの意見を立てよう」という気持ちになってくれる老害職員もいるかもしれません。
まずは「自分が何者であるのかを知っておく」という自己覚知が大切です。
最後に
今回は、介護事業所に存在する「老害職員」の10の特徴と対処法について記事を書きました。
老害と逆で、高齢となっても驕ることなく若者のモチベーションを牽引し尊敬に値するような存在は「レジェンド」と呼ばれます。
自分の考え方や世界観を持つことは大切なことですが、時代の流れについていけなかったり、周りに古い価値観を押し付けてしまったり、若者の邪魔をしてしまうことで「老害」となります。
いずれ自分も歳を取ります。
レジェンドになれるかなれないかは別として、老害職員を反面教師として、自分も老害にならないように意識して注意をしておきたいところです。
ただ、自覚症状がないため「自分で気づく」ということが難しいのが老害の特徴でもあります。
今後、2025年問題と並行して「老害問題」も密かな社会問題として増えていくのではないでしょうか。