本日2019年9月16日(月)は祝日法で定められた「敬老の日」です。
老人福祉法では9月15日から9月21日までの1週間を老人週間とし、9月15日を「老人の日」と定めています。
全国の介護施設でも「敬老祝賀会」が開催されているのではないでしょうか。
介護施設の一大行事になりますが、規模が大きければ大きいほど職員が疲弊してしまうイベントであるのも事実です。
今回は、「介護施設の敬老祝賀会によって職員が疲弊する実情」について記事を書きたいと思います。
敬老祝賀会で職員が疲弊する実情
介護施設では様々な行事が行われていますが、特に敬老祝賀会は職員が疲弊します。
一大行事としては他にも7月~8月に行われる夏祭り(盆踊り)がありますが、それは敬老祝賀会とはまた性質の異なる疲弊感になります。
では早速、敬老祝賀会で職員が疲弊する実情について解説していきたいと思います。
実情①「現場が人員不足なのに準備に追われる」
敬老祝賀会は生活相談員等が要綱を作成することから始まります。
介護職員だけでなく、全スタッフが一丸となって取り組む行事になるため、当日出勤の職員に役割が与えられます。
【役割】
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などになります。
役割が与えられた職員は、前日に総出でリハーサルを行います。
介護現場が人員不足であろうと関係なく、役割の与えられた介護職員は準備やリハーサルが優先されます。
介護職員が準備やリハーサルに駆り出されることで、現場では職員が手薄になり業務を圧迫したり、利用者の対応がスムーズにいかなくなることにもなってしまいます。
敬老祝賀会を成功させるための準備段階で、職員は疲弊し利用者に不憫な思いをさせてしまう本末転倒な状況に陥ってしまうのが実情です。
実情②「上司や経営者がピリピリする」
敬老祝賀会が、「ただ利用者(高齢者)を敬い楽しんでもらうための会」であれば、上司や経営者もそれほどピリピリはしないのですが、「式典」がある場合はピリピリムードが高まります。
式典には来賓が来るためです。
その来賓が「地方議員」「市長」「地元の国会議員」など(又は代理人)が祝辞を述べに来るため、上司や経営者は「来賓のお偉い様方に粗相があってはならない」という思いでいっぱいになります。
前日のリハーサルをピークにピリピリとした空気が事業所内に蔓延し、周りのスタッフにまで伝染していきます。
多くの職員は顔色が悪く伏し目がちになります。
朝礼などでもピリピリとした空気が流れ、介護現場の申し送りにも八つ当たりのような意味不明なつっこみが入ったりします。
特にワンマン経営の介護施設では、全てが経営者の機嫌次第なのです。
敬老祝賀会を成功させるために、上司や経営者の機嫌が悪くなりピリピリとした張り詰めた空気が蔓延することで、職員が嫌な思いをしながら疲弊していくのが実情です。
そんな気分では良い仕事が出来ず、利用者にも迷惑を掛けてしまう可能性も出てきてしまいます。
実情③「来賓に粗相が無ければ満足」
敬老祝賀会が無事に終われば上司も経営者も満足します。
職員たちもピリピリムードからやっと解放されるのです。
式典が終われば、利用者が楽しめるアトラクションなどがありますが、来賓さえ帰れば多少のことは「ご愛嬌」で済みます。
つまり、上司や経営者の考える敬老祝賀会の成功とは「来賓のお偉いさん達に粗相がないこと」になってしまっているのです。
介護施設の敬老祝賀会では、「高齢者(利用者)を敬い大切にする会」ということを前面には出すものの、実情としては「来賓のお偉い様方に粗相が無く祝辞を述べて貰える場を提供すること」に主眼が置かれてしまっていると言えます。
それによって、職員が疲弊することになりますし、状況もよくわからないまま頭数を揃えるためだけに式典に参加させられる利用者にとっても本末転倒な実情であると言えるのではないでしょうか。
最後に
今回は、「介護施設の敬老祝賀会によって職員が疲弊する実情」について記事を書きました。
介護施設に来賓としてお偉いさんを呼び、盛大で華々しい式典を行うことは介護施設や経営者にとっては名誉なことなのかもしれません。
施設内機関紙や公式ブログやフェイスブックなどで式典の写真を取り上げれば、一見見栄えも良いことでしょう。
しかし、人員不足のまま強行してしまっていたり、目的が「来賓者に粗相がないこと」になってしまっていれば本末転倒です。
敬老祝賀会の成功の裏には職員の自己犠牲と疲弊があり、利用者にさえ迷惑を掛けてしまっている可能性が往々にしてあり得るのが実情です。