介護施設では、咀嚼(そしゃく:噛むこと)する機能や嚥下(えんげ:飲み込むこと)する機能に配慮した様々な食事形態があります。
- 普通食
- 刻み食
- 粗刻み食
- 超刻み食
- ムース食
- ミキサー食
などの種類があり、水分や汁物のトロミの濃さにも配慮をしています。
他にも、低たんぱく高カロリーな腎臓病食や塩分制限食や糖質制限食などの療養食もあり、更には利用者個々で提供禁止の食品(禁止食)があったりもします。
もちろん、利用者の状態や体調が変われば食事形態などもそれに合わせて変えていく必要があるため、思い込みで配膳してしまうとミスをしてしまいかねません。
おやつがゼリーに変更になっていたのに食事形態の確認をしていなかったためにドーナツを提供してしまった事故(その後、事件となりました)の裁判も記憶に新しいところです。
今回は、介護施設において利用者の状態によって提供禁止になりがちな食品3選をご紹介したいと思います。
介護施設で提供禁止になりがちな食品3選
介護施設では利用者の状態によって「提供してはいけない食品」が存在します。
提供禁止になりがちな食品を3つご紹介していきます。
①鯖(サバ)
鯖などの青魚が食べれない利用者は「鯖の提供禁止」になります。
鯖を食べるとアレルギー症状に似た症状(蕁麻疹など)が出るということで「鯖アレルギー」が理由となりますが、鯖の場合は「アレルギーのようでアレルギーではないヒスタミン中毒」ということもあるようです。
高齢者ともなると、過去にヒスタミン中毒の食中毒の経験があり、「鯖はアレルギーが出るから食べれない」と思われている可能性もあります。
ちなみに、アレルギー食品として「特定原材料7品目」は以下のようになっています。
- 卵
- 乳
- 小麦
- そば
- エビ
- カニ
- 落花生
この7品目に鯖は含まれておらず、特定原材料に準ずる20品目の中に鯖は含まれています。
私の経験上、特定7品目のアレルギーの利用者は殆どいませんでしたが、「鯖の提供禁止」の利用者は少なくない頻度で見掛けました。
②納豆
納豆の提供禁止の利用者もいます。
本人が納豆が嫌いとか食べられないという理由ではなく、「薬との飲み合わせの関係」です。
ワーファリンなどの抗凝固剤は血液をサラサラにする薬ですが、納豆や青汁に含まれているビタミンKと結合すると効果を弱めてしまうことが知られています。
ですから、ワーファリンを服用している利用者は納豆の提供が禁止となります。
③グレープフルーツ
グレープフルーツの提供禁止の利用者もいます。
グレープフルーツの場合も、「薬との飲み合わせの関係」です。
グレープフルーツと飲み合わせが悪い薬は降圧剤や高脂血症治療薬など意外と多くあり、薬の効果が強まったり副作用が出やすくなってしまいます。
ですから、グレープフルーツ提供禁止の利用者も多いのですが、そもそも介護施設ではグレープフルーツが出てくることはありません。
薬との飲み合わせの関係で、介護施設で提供する食材には敢えてグレープフルーツを使わないようにしている場合が多いのです。
では何故、わざわざ「グレープフルーツ提供禁止」としているのかと言えば、
- 万が一のため
- 情報共有し注意喚起するため
であると考えられます。
万が一、誤って提供してしまった場合の対処法
利用者本人も「自分が何の食品を食べたらダメなのかを把握していない(又は覚えていない)」ということも往々にしてあるため、配膳してしまうと気づかずにそのまま食べてしまうことはあり得ます。
では、提供を禁止されている食品を介護職員等が誤って提供してしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
まだ食べていない場合は速やかに取り替える
配膳ミスをしてしまっても、まだ利用者が食べる前に気づいた場合は速やかに禁止食品を取り下げたり本来のものに取り替えましょう。
「配膳ミスというヒヤリハット」になりますが、利用者が口に入れていない以上、利用者に影響が出ることだけは回避できます。
既に食べてしまった場合は速やかに看護師等へ報告
配膳ミスに気づいたのが、利用者が既に食べてしまった後の場合は、速やかに看護師や上司などに報告をして指示を仰ぎましょう。
まだ口の中に残っている場合は、吐き出してもらったり、うがいをしてもらったり、口の中のものを掻き出すなどの対応も必要です。
利用者が口の中に入れてしまった場合は、「事故(アクシデント)又はインシデント」になります。
また、利用者に健康被害があったり命にかかわることになれば、損害賠償を求められる裁判沙汰になってしまったり、罪を問われることにもなりかねません。
「介護現場で起こったミスは誰も守ってくれないハイリスクな仕事」であることを肝に銘じて、慎重に慎重を重ね思い込みで介護をしないよう最大限の注意をしていく必要があります。
最後に
今回は、介護施設で利用者の状態によって提供禁止になりがちな食品3選と配膳ミスをしてしまった場合の対処法について記事を書きました。
ユニットケアを推奨し「家庭的な雰囲気」のために、介護職員がユニットで盛り付けし配膳することで、時間も掛かりますしミスを誘発する原因にもなります。
そのミスで利用者に万が一のことがあれば、介護職員個人の責任や罪にされるような現状であれば、利用者のためにも介護職員のためにも業界のためにもユニットケアの方向性を改めて考え直していく必要があるのではないでしょうか。
コメント
ユニットケアの無駄で非効率なやり方が、利用者を危険にさらしてる気がしますね。
厨房で盛りつけてチェックした後、お膳をカートで運んで配膳のみ現場でしたほうがいいと思うのですが。
お膳には名札がついてて、「〇〇様 〇〇は× きざみ食」などと書かれていたら、厨房さんと配膳するスタッフでダブルチェックが簡単にできますけどね。
ユニットケアって誰が得するんでしょ?利用者?家族?スタッフ?法人?
いい加減ユニットケアは間違いだったと認めて、修正した方がいいと思うのですが。
私がユニットで働いてた時は、「ご飯の炊ける香りがいいんだ!」とか言って、ユニットでご飯炊いてました。
でも炊きたてのご飯って熱くて利用者は食べれないから食介に時間がかかるし、最近の研究では室温程度に冷めたご飯は食べたときの血糖値が上がりにくいことが分かってるので、厨房でまとめて盛りつけてカートでお膳を運んだ方が品温も適度に下がってるのでいいことばかりだと思うのですが・・。
現場第一っていう言葉をユニットケア推奨者に教えてあげたいです。ww
>デイちゃんさん
コメントありがとうございます^^
ユニットケアはもう破綻していると言っても過言ではありませんよね。
利用者のニーズや介護現場の現状を無視して推進されるユニットケアは国や業界の自己満足にしか過ぎないのは明白ですが、認めようとはせず益々推奨してくる姿には恐怖さえ感じます。
それでも推進するのなら、まずは人員確保(人員配置基準の見直し)は必須であり先決ですね。
ナースのドーナツ誤嚥事故も、結局は「スタッフ一人で大勢を見なければならない」「できもしないことをしなければならない」「できもしないことができないと非難される」という理不尽な状況から生まれたと思うんですよね。
その理不尽な状況をどう改善するか考えるのは、一体誰なんでしょう。
今は現場スタッフ、特に介護スタッフにすべて丸投げされてるとしか思えません。
なので、丸投げされたらそれをスルーする私のデイのカスタッフみたいな人しか、仕事は続かないんですよね。
さてさて、トイレが3つも壊れたままの私のカスデイ。
とうとう認知症ばあさん看護師がやめることになりました。管理者の心ない発言で。ww
それでナースがいなくなるので、赤字たれながしの訪看からナースが入るらしい。訪看は常勤換算2.5人いたらいいので、デイに0.5人分入るらしいです。
訪看でのーんびり働いてたカスナースが、デイに来たら重度ばかり30人見なきゃいけないから目を白黒させていて、さっそく「もうデイには行きたくない」と言ったみたいです。こっちもいらないで~す。ww
あと30分はトイレに行ってさぼってる中国人は今月で終わりらしく(コロナウイルス?ww)、辞めるナースとあわせると160hくらい減るから、かなり壊滅的。
今月の勤務表も、配置基準は×ばかりでした。
私に「もうちょっと入れない?」とか管理者は言うけど、入るわけないじゃん、バーカ。特定処遇改善も払わないのに。時給上げてから言えよ。
昨日も重度ばかり30人入浴だけど、入浴スタッフは私と中国人のみ。
でも他の日は、もっと絶望的なシフトがあるので別に腹は立たないです。
むしろこんなスタッフいない状況なのに、利用者と笑いあいながら仕事してる私って本当にすごいと思います。ww
さぼりまくりの常勤元妊婦は、今月から結局福祉用具に異動らしいけど(訪問は無理と判断されたらしいww)、全く姿を見かけません。早く引継ぎをしないと仕事にならないと思うけど、また子供が熱出して休んだのかしらね~。
どこもめちゃくちゃ。たまにいい職場があるけど、「あそこは人がいるぞ」って社内で異動させたりしてうまくいってるとこも崩壊させられるから。なまじうまくいってるとこが崩壊させられる方が、怒りは大きいかもしれない。
会社的には、働く人は欲しいけど、人件費削りたいから人は勤務には入れたくない。
そんなんじゃ、人は減る一方ですよね。
スタッフにあわせて利用者を減らすしかないと思います。ww
>デイちゃんさん
返信ありがとうございます^^
色々大変ですね><
やはり自分を守りながら働くしかありませんね。
「自分を守りながら働く」って具体的にはどうすればいいんでしょうか?
もしよければ管理人様が実践してることを記事にしていただければ・・・。
>デイちゃんさん
無理なことは無理と言うなどになりますね。
また記事にしてみたいと思います^^